「故郷」に必要なもの、豊かな自然に気の合う友達、そして美味しい郷土料理
2014/04/20 10:00
アットホームは2014年4月17日、「故郷」に関する意識調査結果を発表した。それによると東京在住で東京出身者と東京以外出身者が半々ずつで構成されている調査対象母集団においては、「故郷」と呼ぶ場所にあると良いと思うものの最上位には「豊かな自然」がついた。次いで「気の合う友達」「郷土料理」が続いている。特に「豊かな自然」は過半数の意見を集めており、何よりも自然の豊かさが「故郷」たる場所には欠かせないとの認識のようだ(【発表リリース:東京都在住の東京出身者と地方出身者に聞く、「故郷」に対する意識調査】)。
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今調査は2014年3月7日から10日にかけて、東京在住・既婚・子供有の男女30代から60代に対し、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は600人。男女比・10歳区切りの世代構成比・東京出身者と地方出身者の比率はほぼ均等割り当て。
まず調査対象母集団を東京出身者と非東京出身者に二分した上で(現在は双方とも東京に住んでいることに注意)、「故郷」と呼べる場所はあるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。
↑ 「故郷」と呼べる場所はあるか
地方出身者は9割近くが「ある」と答えている。東京以外の出身で、現在東京に住んでいるのだから、多分に東京以外の場所に回答者個々が「故郷」と定義している場所はあるはず。一方で東京出身者になるとその半分程度45.7%しか居ないのが目に留まる。東京都内の現行居住所以外に「故郷」がかつてあり、そこを何らかの理由で喪失してしまった、あるいは現居住地が「故郷」的なところではあるが、回答者のイメージする・定義する「故郷」とは似ても似つかなかったのだろうか。
地方出身者に「故郷がある」との回答が多い理由がそれとなく分かるのが、次に示すグラフ。これは「故郷にあると良いと思うもの」を答えてもらったもので、見方を変えれば回答者の頭の中にある「故郷」のイメージをも指し示している。
↑ 故郷にあると良いと思うもの(複数回答)
最上位の同意率は「豊かな自然」で51.5%。唯一過半数を得た項目である。次いで「気の合う友達」が44.3%、「美味しい郷土料理」が41.8%、「静かな環境」が35.7%と続く。元々選択肢にその系統のものが多いのも一因だが、ステレオタイプ的な「昔ながらの雰囲気を持つのどかな町村」的な雰囲気を支持する、「故郷」の構成要素としては欠かせないとする意見が多い。上記グラフで東京出身者(&現在東京在住者)に「故郷」と呼べる場所があるとの回答が少なかったのは、現在居住地域が生まれ育った場所だとしても、これらの要素に欠けるところがあるからだと考えれば道理は通る。
一方、「故郷」の要素として「良い学校」「ご当地キャラ」への認識、必要度は低い。特に「ご当地キャラ」については「(自分の)故郷にあった方がよい」と考えている人は2.7%しかいない。地方の知名度向上、活性化には大いに貢献しているご当地キャラだが、故郷としての必要性・関連性はほとんど無いようだ。
それでは「故郷」の要素として、これら各種環境ではなく、居住年数の視点から見た場合、どれほどの時間の経過が必要と考えているだろうか。1年、2年程度の居住でその場所を「故郷」と見なす人はあまりいない。例外として考えられるのは、学生時代に下宿などで住んだ場所位なものだろう。
↑ 子供が「故郷」と呼べる場所を持つためには、その土地に何年以上住めば良いと思うか(自由回答)
10年から15年未満がボリュームゾーン、20年から30年未満が次いで多い。大体10年から長くて30年程度は同じ場所に住まないと、「故郷」と呼んでもらえないと考えているようだ。ちなみに平均は14.8年となる。子供が生まれ成長し、成人に達するぐらい、言い換えれば一世代計画する時間を経て、はじめて「故郷」と呼べる場所の条件の一つが満たされるというところか。
リリースには明記されていないため設問上も単に「故郷」と記述した上での問いと思われるが、「故郷」を「こきょう」と読ませるか「ふるさと」と読ませるかで、ニュアンスは微妙に異なる。前者は場所的・物理的な意味合いが、後者は心理的・イメージ的な意味合いがやや強い感はある。
「ふるさと」といえば室生犀星(むろうさいせい)の詩句「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」が良く知られている。また石川啄木の短歌「ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」も著名である。いずれも現所在地とは離れた場所にある生まれ故郷をなつかしく思う心境が描かれたものだが、このような「今の環境とは離れた場所にある、心を和ませる場所、自分のルーツに連なるもの」的な場所こそが、多くの人が抱く「故郷」のイメージなのかもしれない。
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