スマホの動画視聴は短時間、きっかけはYouTube内の検索経由が一番

2014/04/18 08:30

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スマートフォンの利点の一つには場所と時間を問わずに動画視聴が出来る点にある。単なる映像ならポータブルテレビと変わるところはないが、インターネット上の動画をライブラリのように扱い、自由自在に選択して好きな動画を視聴できるのだから、魅力はケタ違いに大きなものとなる。今回はその「スマホ動画視聴」における、動画視聴のきっかけとなる行動について、博報堂DYホールディングスが2014年4月11日に発表した、スマホユーザーの動画視聴に関する調査結果を基に確認していくことにする(【発表リリース:博報堂DYグループ・スマートデバイス・ビジネスセンター「全国スマートフォンユーザー1000人定期調査」第9回分析結果発表】)。



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スマホの動画視聴は短め


今調査は2014年2月21日から23日にわたり高校生から60代のスマートフォンユーザーに対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。

今調査対象母集団では約7割にあたる68.3%の人が、2か月から3か月に1度以上の割合でストリーミング動画(オンラインでデータを受信して再生する動画)を視聴していると回答した。実質的にスマホ所有者のうち7割近くは「スマホで動画」を活用していることになる。この「スマホで動画」の人達に、ストリーミング動画の1機会あたりの平均視聴時間を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ スマートフォンによるストリーミング動画の平均視聴時間(1機会視聴あたり)(スマホユーザー、スマホで2-3か月に1回以上ストリーミング動画を視聴する人限定)
↑ スマートフォンによるストリーミング動画の平均視聴時間(1機会視聴あたり)(スマホユーザー、スマホで2-3か月に1回以上ストリーミング動画を視聴する人限定)

10分未満とする回答が35.2%と1/3強。10分から20分未満が17.5%。合わせて過半数が20分未満ということになる。先行する記事でも解説している通り、スマートフォンによる動画視聴は多分に「すき間時間」の活用であること、スマホの動画再生はバッテリーを多く消耗するため長時間の使用はあまり好まれない(肝心な時に電池切れとなる可能性が生じる)ことから、短時間の視聴が多数を占めることになる。平均時間の算出は機種単位における比較以上の意味はないのだが、一応資料ではスマホが33.6分、パソコンが51.2分、タブレット機が36.7分という結果も出ている。

スマートフォン向けの動画共有サービスとしては、先日【InstagramとSnapchat、写真や動画を共有する新たなアプリの米利用性向】で紹介したSnapchatやVineのような、短時間動画がよく使われる。これは動画を動画そのものとしてではなく、短時間の動きを見知れる写真のように取り扱うものである。昔のSF系漫画に「端にあるボタンを押すと音と数秒分の情景変化が再生される」紙焼きの写真がポラロイド式カメラで撮影できるというものがあったが、まさにその感覚でスマホにて動画を視聴できる。このような動画の利用スタイルもまた、すき間時間やバッテリー問題と共に、スマートフォンにおける動画視聴時間を短く留める理由なのだろう。

スマホ動画のきっかけは検索


それではスマホで動画を視聴している人たちは、何をきっかけにその動画を探し当てているのだろうか。

↑ 動画視聴のきっかけ(複数回答、スマホユーザー、スマホで2-3か月に1回以上ストリーミング動画を視聴する人限定)
↑ 動画視聴のきっかけ(複数回答、スマホユーザー、スマホで2-3か月に1回以上ストリーミング動画を視聴する人限定)

最上位は「YouTubeの検索機能」で49.1%。見方を変えればスマホの動画視聴者のうち5割近くはYouTubeにアクセスして動画を探していることになる。次いで多いのは「検索サイトの検索結果」で32.8%。昨今では検索ワードに対して該当しうる動画も結果一覧に表示するため、動画共有サイトのトップページを経由することなく、直接該当動画へアクセスすることが容易になった(無論、検索サイトのオプションとして「動画のみ」を選んで探すこともできる)。画像やウェブサイト同様、動画も「探したいものの結果」として認識されていることの証でもある。

また、YouTubeの関連動画・おすすめ機能やお気に入り・登録チャンネル経由での動画視聴も多く、これらの機能が有効に働いていることがうかがえる。

動画サイト自身以外からの経由としては、検索サイト以外では「ニュースサイトやブログの記事紹介」によるところがもっとも多く16.7%、次いで「友人や知人との会話で薦められた」が11.1%と続く。ソーシャルメディア経由での視聴は案外高くない。サムネイル機能が使えない事例も想定されるため、警戒されているのかもしれない。



「短時間視聴」「YouTube内の検索経由がトップのきっかけ」と、スマホにおける動画視聴は一種の独特な視聴スタイルで行われている感はある。ちょっとした時間帯の暇を充足させるためのクラウド的な動画ライブラリへのアクセスと実行、そのような雰囲気で動画視聴を行っているのかもしれない。

YouTubeやニコ動のような動画共有サイトを一つのコミュニティととらえ、その中でいかに多数の人にチェックをしてもらえるか。スマホ向け動画を展開する際には、ブログやサイトとの連動以上に、各動画共有サイト内での創意工夫が求められよう。


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