大手二紙が群を抜く…米新聞の電子版登録者数(SNM2014版)

2014/04/11 08:30

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アメリカの新聞協会におけるデータ更新が停止状態にあるため2013年以降の全体的な動向ははっきりと把握できているわけではないが、日本同様、むしろ日本以上にアメリカの新聞業界は苦境に立たされている。ニュースメディアという観点では今なお最大の売上を示しているものの、デジタル界隈にシェアを奪われ、その状況を鑑みて新聞各社でも各媒体向けの有料サービスを展開し、デジタル版の新聞を刊行している。今回はアメリカの調査機関である【Pew Research Center】が2014年3月26日に発表した、同国のニュースメディアの動向と展望に関する報告書【State of the News Media 2014】から、大手新聞各社が展開しているデジタル版の有料新聞の登録者数の現状を確認していくことにする。



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具体的に各新聞社名を検索してその新聞社のウェブサイトを確認すればお分かりいただける通り、日本同様にアメリカでも大手新聞社はウェブ版の新聞を展開している。半ば以上はお試し版の意味合いがあり、「続きは有料登録」「紙媒体の新聞購読者ならば登録すれば全部閲覧できる」などの仕組みが施されている。また有料ウェブ版ならではの記事を掲載する場合もある。要は「紙媒体の新聞向けコンテンツの流用」と「ニュース掲載の媒体が紙であるかデジタル嬢であるかの違いに過ぎない」を並行して行っている次第。

デジタルルートの有料新聞としてはもっとも古いウェブ版(後述のタブレットもスマートフォンも、実用に耐えられるだけの流通量・機能を有するようになったのはここ数年)の有料登録者数は次の通り。上位2紙、Wall Street JournalとNew York Timesが共に60万台、それ以外は5万台に留まっている。

↑ 有料ウェブ版登録者数上位5紙(米、平日版)
↑ 有料ウェブ版登録者数上位5紙(米、平日版)

Wall Street Journalの紙媒体版は200万部前後とされている。それと比較して3割強のウェブ有料版の購読者(広告モデルでは無く、課金制モデルによるウェブ展開)がいることになる。もっとも欧米では電子版の登録が加速化していることに加え、ご承知の通りタブレット機もスマートフォンも急速に普及を続けていることから、これらの数は今後さらに増加を示すことだろう。

続いては昨今注目を集めつつあるモバイル端末、スマートフォンとタブレット機版。縦軸の区切りの数字がウェブ版とは異なることに注意。

↑ 有料・スマホ向け版登録者数上位5紙(米、平日版)
↑ 有料・スマホ向け版登録者数上位5紙(米、平日版)

↑ 有料・タブレット向け版登録者数上位5紙(米、平日版)
↑ 有料・タブレット向け版登録者数上位5紙(米、平日版)

順位の差し換えも見られるが、上位2紙のラインアップそのものに変わりは無し。第3位以降にちらほらと初耳の人も多いであろう紙面の名前が出てくる。

意外にもスマートフォン版よりはタブレット機版の方が登録者数が多い。スマートフォンでの新聞購読は「ざっと読み」、タブレット機では「ある程度じっくりと読み進める」という状況が想定されるため、前者の場合はわざわざ有料登録する必要は無いと判断する人が多いのだろうか。

最後に上位2紙について、それぞれの機種版の数字を抽出して置き換え、別の視点から生成したグラフを。

↑ 大手新聞のメディア別有料会員数
↑ 大手新聞のメディア別有料会員数

モバイル端末の急速な浸透が進んでいる昨今でも、有料登録版の登録会員数は今なおウェブ版が圧倒的で、次にタブレット、スマートフォンの順。New York Times紙はスマートフォン版の方が多いが、上記グラフにある通り他紙の動向を見るに、むしろレアなケースと見た方が良い。



日本の大手新聞社発行の新聞発行部数と比べれば、アメリカのそれは知名度が高いものでも随分と少ない値に留まっている。それらとの比較になるため、一概にこれらデジタル版の会員数そのものを日本の状況とそのまま比較するのには難がある。

例えば日経新聞の電子版は有料・無料合わせて2013年12月時点で約209万人と公知されている(【メディアガイド 電子版会員数・属性】)。同年8月時点の報道ではそのうち有料会員は31万人との話もある。今後電子版の利用がさらに進み、普及するに従い、各社も一連の情報の公知を積極的に行うようになれば、紙版の動向同様、デジタル版についてもその比較を行い、推移を精査することができるようになるだろう。


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