米成人の3割はFacebook経由でニュースを読む・ソーシャルメディアとニュースの遠くて近い関係(SNM2014版)
2014/04/03 14:30
ソーシャルメディアは多種多様な機能を実装し、それ自身にアクセスするだけでインターネット上の色々なサービスを受けられることを一つの特徴としている。日記の作成と閲覧、編集、ゲームプレイ、他人とのチャット、さらには掲示板などのコミュニティ機能、そして主要報道メディアからの配信ニュースの取得。いわゆる「囲い込み戦略」の行き着くところではある。それではそれらソーシャルメディア内における、ニュースの取得状況はいかなるものとなっているのだろうか。アメリカの民間調査機関Pew Research Centerが2014年3月26日付で公開した白書【State of the News Media 2014】から、アメリカの成人における現状を探ることにする。
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次に示すグラフは主要ソーシャルメディアの利用状況と、その利用者において各ソーシャルメディア内でニュースを取得している人の割合。例えばFacebookならばアメリカの成人(インターネット利用者のみではない)の64%が利用し、30%がFacebookでニュースを取得していることになる。
↑ ソーシャルメディア利用率と、その利用者における利用メディア内でのニュース取得率(米、18歳以上、2013年8月)
冒頭で「主要報道メディアからの配信ニュース」との表現を用いたが、ソーシャルメディア内のニュース配信元は報道メディアに限らない。個人ベースでのニュースを流す人もいれば、ニュースの引用、リンクの提示など、二次的な配信を行う人も多い。自らの覚え書きとして、さらには「このニュースは興味深いので自分の知り合いにも知ってほしい」との思惑によるものだ。短文でのやりとりがメインとなるツイッターでは、特にこの傾向が強い。
今グラフではニュース取得者の比率が多い順に並べているが、Facebookでは利用者は64%、ニュース取得者は30%。つまり全米成人の3割はFacebookでニュースを読んでいることになる。
次いで多いのはYouTube。利用者51%に対しニュース取得者は10%。ツイッターが16%・8%、Google+が14%・4%と続く。Pinterestは利用者率は15%と高めだが、ニュースの二次的配信すらほとんど行われていない状況もあり、ニュース取得者率は事実上ゼロ%となっている。
利用者率そのものの多い少ないはグラフの横軸の並びの通りだが、「利用者率全体に占めるニュース取得者」率という仕切りで見ると、それぞれのソーシャルメディアの特性、ニュースの流通量の違いが見えてくる。Facebookやツイッターは利用者の半数前後がニュースを取得している。一方、YouTubeやGoogle+では2割前後しかない。redditは3割強だが、これは整数ケタまでしかデータが公開されていないために誤差が生じている可能性が多分にある。
Facebookやツイッターは多分にニュースを目に留める機会が多い、YouTubeなどは流通量の問題、インターフェイス上の問題もあるが、ともあれニュースに触れる機会はさほど多くないことになる。どのソーシャルメディアでニュースが流れると、多くの人に公知され得るか、広まりやすいかを考える際には、参考になる指針といえよう。
ソーシャルメディアではFacebookが一番ニュースメディアとして影響力を持つことが明らかにされたわけだが、そのニュース取得の機会として、ニュースをFacebookで読む人のうち「ニュースを読もう」と主目的でアクセスする人は22%に過ぎないとの結果も出ている。残りの78%は他の目的でアクセスし、ついでにとばかりにニュースに目が留まったことになる。
また、特定のメディアやジャーナリストのFacebookページに「いいね」をしてそのニュースを追いかけている人は、Facebookのニュース取得者のうち34%に過ぎない。つまり2/3は自分の知人が「こんなニュースがあるよ」とタイムライン上に掲げたものを目にしていることになる。言い換えれば「Facebook上における口コミ経由のニュース」という次第だ。
さらにFacebook上でニュースを取得する人における、そのニュース取得ジャンルとしてはエンタメがもっとも多く、自分のコミュニティでの他人の動向やイベント、そしてスポーツなど、ライト感覚の井戸端会議的な内容が上位を占めている。
↑ どのようなニュースを見るのか(Facebookでニュースを取得する人限定)(米、2013年8月、18歳以上限定)
お堅い話はあまり需要は無い。リアルな口コミの伝播がそのままFacebook上でデジタルとして、ニュースの形にて伝えられている感はある。今件はアメリカでの話だが、日本でもこの傾向に大きな差はないだろう。
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