米では成人の36%が動画でニュースを観る時代…米動画ニュース動向(SNM2014版)

2014/04/02 08:30

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先に掲載した【新聞はそれでも一番…米ニュースメディアの売上規模を比較してみる(SNM2014版)】にある通り、アメリカの民間調査機関【Pew Research Center】は2014年3月26日付で、同国のニュースメディア動向をまとめた白書【State of the News Media 2014】を公開した。今回は同白書に掲載されているデータの中から、同国におけるオンライン動画と、その動画で配信されるニュースに関する動きを確認していくことにする。



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テレビニュースを観るように…1/3超が動画でニュースを観る時代


動画視聴端末の高性能化、動画再生技術の進歩、インターネット回線の高速化など、さまざまな進歩発展に伴い、動画を観る環境は日々改善され、今ではテレビ映像さながらの動画が低いハードルで閲覧できるようになった。また、動画配信技術も洗練され、動画共有サイトも多数整備され、生放送での映像配信も含め、動画の配信も簡便化している。

このような状況の変化を受け、各メディアから個人に至るまで、動画でニュースを配信する機会が増えている。主要テレビ局は自社のチャネルを動画共有サイト上に設けて逐次自社局で流したニュース映像を配信し、注意関心を集めさせているし、動画専用のニュース局的なものを創るグループ、法人も増えている(それこそ個人に至るまで)。

オンライン動画(ここでは端末にファイルをダウンロードした上での動画視聴では無く、YouTubeなどのように逐次データを受信して閲覧する、ストリーミングタイプの動画を意味する)を視聴している人は、成人全体の63%。そのうち半数以上の36%(全体比)が、オンライン動画でニュースを観るとしている。ネットはすでに立派な映像ニュースメディアとしての立ち位置を確立している。

↑ オンライン動画でのニュース視聴傾向(米、18歳以上対象、2013年)
↑ オンライン動画でのニュース視聴傾向(米、18歳以上対象、2013年)

この状況は動画視聴環境の整備と共に進んでおり、2007年当時はオンライン動画を視聴する人自身4割に留まり、その半数強の26%しかニュースを観ていなかった。

↑ オンライン動画でのニュース視聴傾向(米、18歳以上対象)
↑ オンライン動画でのニュース視聴傾向(米、18歳以上対象)

オンライン動画視聴者率と、ニュース視聴者率の関係は計測年すべてでほぼ一致しており、動画を観る、観ることができる人が増えるにつれて、ニュース動画を観る人も増えていくと考えて良いだろう。

また昨今では浸透著しいスマートフォンも、オンライン動画視聴および動画ニュース視聴の利用率増加に大きく貢献している。2013年時点ではスマートフォンを所有している人としていない人との間で、オンライン動画の視聴状況でこれほどまでの差異が生じている。

↑ オンライン動画と同ニュース視聴状況(スマートフォン所有動向別)(米、18歳以上対象)
↑ オンライン動画と同ニュース視聴状況(スマートフォン所有動向別)(米、18歳以上対象)

オンライン動画では2倍以上、ニュースでは3倍近くもの差が出でいる。スマートフォンがオンライン動画の視聴を大きく助け、特にニュースでは絶大な後押しをしていることになる。「いつでもどこででもニュースを観たい」とする需要は大きい。携帯テレビの需要の大きさと、そのテレビで視聴される番組がどのようなものなのかを考えれば、十分に納得のいく結果ではある。

オンライン動画やニュースの属性別視聴動向


それでは世代別や年収別など、属性別の動画視聴動向はいかなる状況なのだろうか。それを示したのが次のグラフ。

↑ オンライン動画でのニュース視聴傾向(米、18歳以上対象、2013年)(属性別)
↑ オンライン動画でのニュース視聴傾向(米、18歳以上対象、2013年)(属性別)

各属性それぞれ全員に対する比率なので、当然インターネットへのアクセスが前提となり、また上記にある通りスマートフォン所有状況も多分に影響を与える。結果として、他のインターネット関連サービスの動向同様、若年層・高年収・高学歴の方が高い値を示している。

一方、オンライン動画を観る人全体に対する、ニュースを観る人の比率を確認すると、世代別ではほとんど違いが出ていないのに対し、世帯年収や学歴では、高い属性ほどニュース視聴者率も増える傾向がある。例えば学歴では、高卒以下はオンライン動画視聴率の半分以下に留まっているが、大卒以上ではほぼ2/3に達している。動画ニュースの必要性、さらにはニュースそのものへの興味関心の違いが、そのままオンライン動画でニュースを視聴するか否かの利用性向に反映されているのだろう。



今件データはあくまでもアメリカでの話だが、日本でも大きな差は出ないものと思われる。もちろんニュースを動画で配信することへの姿勢の観点で、各報道、メディアは日本では遅れていることに違いは無く、それだけ視聴側も選択肢が限られてしまうため、同じような調査をしても低い値に留まることだろう。今後の状況改善に期待したいところだ。

やや余談になるが、ニュースも含めた各ジャンル毎のオンライン動画視聴状況を世代別に見たのが次のグラフ。

↑ オンライン動画視聴動向(ジャンル別、米、18歳以上対象)
↑ オンライン動画視聴動向(ジャンル別、米、18歳以上対象)

ニュースはむしろその内容の特性から中堅層の視聴が高め、それ以外のジャンルは政治をのぞけば概して若年層が積極的で、それ以外はほぼ高年齢ほど視聴率が下がっている。もちろん視聴環境の整備度合も一因だが、オンライン動画でこれらのコンテンツを視聴するという楽しみ方、時間の過ごし方に、どれだけ慣れているか、違和感を覚えず溶け込めるか否かの違いが、そのまま視聴動向に表れているのだろう。


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