日常生活における音楽との接点(2014年)(最新)
2014/03/19 14:30
音楽業界ではとかくCDの売り上げ動向に関する注目が集まるもの。業界の活力となる原資を得る最大の源だから仕方がない面もあるが、音楽を堪能する観点ではCD以外の経由でも、多種多様な方法が世の中には存在している。今回は日本レコード協会が2014年3月17日付で発表した「音楽メディアユーザー実態調査」の最新版となる2013年度版から、人々の日常生活における音楽との接点について見ていくことにする(【発表リリース:2013年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。
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調査対象母集団の要項は先行する記事【CDの購入・レンタル性向】を参考のこと。その記事にある通り、音楽を楽しむ媒体としてのCDはレンタルも新品購入も、概して利用比率が減少する傾向にある。2013年は新品CDでかろうじて持ち直しが見られる程度。
↑ CD購入・レンタル性向(各年・半年間)(再録)
そこでは人々はCD以外に、どのようなサービスで音楽を楽しんでいるのだろうか……という疑問に答えるのが今回の項目。仮にその他の手段でも利用が減っていたのなら、単に「CD離れ」では無く「音楽離れ」との認識をしなければならない。
↑ 生活における音楽の接点(複数回答)(半年間)
普段から音楽を聴いている人は6割強。前年からやや値を増やしており、いわゆる「音楽そのもの離れ」は心配しなくても良さそうな感はある。全体的には多くの項目で前年比プラスの傾向があり、特定の分野での音楽から距離を置くという話も見受けられない。
ごく少数の例外として、「好きな、気になるアーティストが居る(ので音楽を聴いている)」「ラジオで音楽番組を聴く」「高音質CDや高音質音楽配信に興味がある」の3項目は前年から値を減らしている。特定の、強い関心を抱くアーティストに対する熱心さからそのアーティストの曲を聴くという「指定買い」的な行動が減るという話は時折耳にするが、その気配が見受けられる。またラジオ周りはラジオというメディアそのものが使われなくなっている可能性はある。そして「高音質CDや高音質音楽配信」関連は、音楽の品質そのものに強いこだわりを有する人が減っている可能性を示唆している。
ラジオはともかく「好きなアーティスト」「高音質」の2項目の回答率減少は、音楽視聴に関してコア的な執着を持つのではなく、さほど強いロイヤリティを持たずに曲を楽しむ層が増えている可能性を想起させる。今年分はまだ未発表だが、去年の別調査による結果【販売ビデオを支えるコア層・ビデオソフトの販売実態(2012年分反映版)】でも、ビデオソフト分野でもコア層の減少という、似たような状況が確認されており、留意に値する動きといえよう。
また、「昔はもっと音楽にお金を使ったり聴いたりした」との項目も、前年から増加している。これもまた、無料で音楽を楽しめる環境(特にインターネット周り)が整備されたことで、利用場面・機会が増え、相対的に対価を支払うことによる音楽の視聴機会が減っている現状をうかがわせる流れではある。
ちなみに世代別の回答項目数の概算平均値を算出した結果は次の通り。
↑ 「生活における音楽の接点」年代別回答項目数(概算平均値)
30代と50歳以上、特に後者の回答項目数が少ない、つまり日常生活における音楽との接点が少ない。接する場面が多ければ多いほど、好みに合う音楽に触れる可能性が増え、その曲に対する興味関心をいだき、さまざまな行動につながる可能性がある。いかにこの層へのアピールをしていくかが、音楽業界へ求められている課題の一つといえよう。
■関連記事:
【CDレンタル店舗数】
【ビデオソフトのレンタル動向(2012年分反映版)】
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