春をひかえてケータイと自動車躍進、トイレタリーも伸びる(民放テレビCM動向:2014年2月分)

2014/03/11 15:30

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新年度到来を間近にひかえ、何かと騒がしくなる昨今。生活の大きな節目でもあることから、新商品や新サービスの登場が相次ぎ、それらの周知のために大手企業が続々とプロモーションの展開に励んでいる。テレビCMでもその動きは顕著で、早くも2月から多くの企業がCM攻勢の動きに出てるのが見受けられる。映像音声検索技術「AVマーカー」などの各種自社技術を活用して取得したテレビCMのメタデータを提供するゼータ・ブリッジは2014年3月10日付で、その2014年2月度分となる関東民放5放送局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)のテレビCMオンエアランキングを公開した。その内容でも少々早めながらも春の息吹を覚える各企業の挙動を垣間見ることができる(【ゼータ・ブリッジ公式サイト】)。



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花王が首位奪還・上位は自動車、携帯、トイレタリーでぎっしりと


データの取得場所、各種データの語彙、今件記事が関東地域のみを対象としていることに関する説明は、記事集約ページ【定期更新記事:関東民放テレビCM動向(ゼータ・ブリッジ)】で行っている。確認はそちらのページで。

発表資料では「出演者ランキング」をはじめとして、複数項目の視線から集計されたランキングが公開されている。その中でまずは「企業別オンエアランキング(放送回数順位)」の上位10位を抽出し、当サイト側でグラフとして生成したのが次の図。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年2月、上位10位)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年2月、上位10位)

前回月はユーキャンにトップを明け渡した花王だが、今回は再び第2位以降に大きな差をつける形で最上位についた(ユーキャンは第14位にまで後退している)。花王はトイレタリー商品企業として多種多様な商品展開を行っているが、春は新年度で生活が改まる、区切りがつく季節であることから、該当商品の需要が高まることもあり、一層の公知展開を行っている。女性向けの化粧品が圧倒的だが、特に季節柄色々と気になる人も少なくないであろう花粉対策商品や、健康を気遣う人のための飲料シリーズ「ヘルシア」が目に留まる。


↑ 花粉もさくっとふき取れるクイックルウェットシート。:花王 クイックル クイックルウェットシート 花粉ぶらさがり CM 阿部サダヲ


↑ 花王ヘルシア緑茶のCM。:花王 ヘルシア緑茶 HA CM 香川照之

類似の企業としては興和が第9位につけている。こちらは高密着マスクや鼻炎用カプセルなど、花粉症対策に向けた商品展開を積極的に行い、その商品CMも続々投入している(【興和CMギャラリー】)。

今回月は前回月同様、自動車関連企業や携帯電話関連企業も複数上位入りしている。前者はトヨタ自動車、スズキ、日産自動車の3社、後者はKDDIとソフトバンクモバイルの2社で、合わせて5社となり、この2業種だけで上位10位の半分を占めるほど。ちなみにドコモは今回月は上位20居以内には確認できなかった。

これら上位10位の企業のCM出稿量について、各放送先のテレビ局ごとに細分化した上で再構築したのが次のグラフ。

↑ 企業別放送回数ランキング(2014年2月、上位10位)(局別)
↑ 企業別放送回数ランキング(2014年2月、上位10位)(局別)

群を抜いて出稿数が多い花王だが、テレビ局毎の回数の偏りはいつも通り、日本テレビとフジテレビが突出している。この傾向は今回10位のリクルートも変わらない。興和は逆に、その2局にのみ放送回数が少ないのが目に留まる。ソフトバンクモバイルはフジテレビへの傾注が特徴的。若年層向けの放送が多いことが、展開商品との相性が良いと判断されているのかもしれない。

10位以内の企業に限って放送回数を累算すると、今回月はフジテレビがトップ、僅差で日本テレビ、そしてテレビ朝日とTBSが横並びの結果が出ている。ここ数日来、週単位でのテレビ視聴率に関する話がちらほらと話題に登っているが、出稿量・放送回数の差異からも各社の勢いが透けて見える。

携帯電話と自動車で大賑わい


企業別の区切りからさらに細分化し、個別商品のCM別に算出したランキングは次の通り。企業別ランキングで言及したが、今回月はトイレタリー商品・自動車・携帯の3分野でテレビCMが大いに展開されている。しかしトイレタリーは商品数が多く、特定の商品にのみ大規模なCMが打たれることはあまりないため、このような商品単位でのランキングとなるとなかなか上位には食い込めない。
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年2月)
↑ 商品別オンエアランキング(放送回数、2014年2月)

商品区分でも比較的まとまっている携帯電話系、自動車系が目立つ。


↑ スピーディーでスタイリッシュな印象を全面に押し出すAudi初のプレミアムコンパクトセダンのテレビCM。:The Audi A3 Sedan debut: TVCM (30sec)

中でもソフトバンクモバイルは他の家族やあの「ふなっしー」まで登場させ、大盤振る舞いモードで大々的なCM展開を行っている。携帯事業会社では春が一番のかき入れ時であることから、ここが天王山だという認識もあるのだろう。

KDDIの「CHANNEL au」も同様だが、携帯電話事業者のテレビCMは「利用者の身近な存在」をアピールするため、CMそのものをシリーズ化して常に同一世界観・イメージの中で次々と新作を切り出しており、CMそのものを楽しませる工夫を凝らしているのが嬉しいところ。この点では常に先行するソフトバンクモバイル、新たな切り口で迫るKDDI、そしてその後を追うドコモというスタイルが続いている。

ドコモは今回月では学割とかける形で、学割が効いている3年間で人生は大きく変わるというコンセプトを打ちだし、キャンペーンも実施している。

ドコモの参入でいわゆる「iPhoneプレミアム」が無くなった上で初めて迎える年度末商戦期であるだけに、3社とも気合いが入っている様子がうかがえる。

次回月3月は年度末切り替え直前の月となるため、新年度向けの商材、サービスがこぞってアピールのためにCMを展開することになる。また消費税率引上げが4月から実施されるため、その直前の駆け込み需要を狙う観点もあり、これまで以上に各社は注力してくるだろう。入学祝いなどで子供向け商材も大きく動くかもしれない。各社の動向を大いに楽しみたいところだ。


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