意外? 当然!? 新興国の携帯電話・スマートフォンの世代間所有率動向
2014/03/04 11:30
携帯電話、特にスマートフォンの普及は、社会に大きな変化をもたらすことになる。単に他人への通話連絡が携帯型の端末で出来るようになるだけでなく、SMS(ショートメッセージサービス)による文章での意思通達、さらにはスマートフォンならば多種多様なサービスで不特定多数の人との意見交換や、世界中からの情報取得が可能となるインターネットへのアクセスの門戸が開かれるからだ。今回はアメリカの大手調査機関【Pew Research Center】が2014年2月13日に公式サイト上で公開した、新興国の携帯電話(一般携帯電話(フィーチャーフォン)とスマートフォン双方を含む)事情の調査報告書【Emerging Nations Embrace Internet, Mobile Technology】を基に、新興国における携帯電話、そしてスマートフォンの所有率について、世代間の違いを見ていくことにする。
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世代を超えて高い所有率の携帯電話
今調査は新興国24か国の18歳以上の人、それぞれ800人から3200人程度を対象に、対面調査方式で2013年3月から5月に渡って実施されている。各国の大人を代表するように抽出されたが、一部国では特定地域の除外がなされている。
まずは携帯電話の所有率。これは冒頭にもある通り、一般携帯電話とスマートフォンの双方を含む。フィリピンやメキシコのように一部シニア層で低い所有率に留まっている国もあるが、概して世代間の格差はさほど見られない。ウガンダ、ベネズエラのように、むしろ若年層より中堅層の方が高い値を示す国すらある。
↑ 携帯電話を持っているか(世代別、2013年3月-5月)
また全般的には9割台をはじき出す国が多数に及び、携帯電話そのものの普及率の高さを再確認させられる。今回の調査対象国では一番低い値を示したパキスタンでも、若年層で6割近く、シニア層でも4割の所有率を見せている。携帯電話が世界中に広がりつつあるようすが分かる。
国別・世代別の差異が大きいスマホ所有率
スマートフォン所有率はさすがに国別、そして世代別の差異が大きく出る。
↑ スマートフォンを持っているか(世代別、2013年3月-5月)
もっとも高い値を示しているのは中国の若年層で69%。ただし同国では他国同様世代間格差も大きく、中堅層でほぼ半分の34%、さらにシニア層では7%にまで落ちる。レバノンは若年層の利用率は62%だが、中堅層でも55%と高い値を示しているのが特徴的。似たような傾向はチリやメキシコ、フィリピンなどでも見受けられる。また南アフリカやセネガルでは、中堅層の所有率が若年層と同等、むしろ中堅層の方が高い状況にある。
シニア層の保有率はいずれの国でも低迷している。もっともその中でもチリの22%をはじめ、南アフリカの17%、エジプトの15%など、比較的高めな値を見せる国もある。
南アフリカの例にあるように、スマートフォンの保有率がインターネット、そしてソーシャルメディアの利用状況を大きく底上げする事例は、その度合いの違いはあれど新興国の多くで見受けられる。一般携帯電話の需要は今後も一定数・比率で継続するが、今後は新興国でもスマートフォンの需要が増え、それにつれてインターネットにアクセスできる人の割合はますます増加していくことになる。
そしてネット人口もまた、新興国経由による比率が増加し、各種サービスもその状況変化に合わせた変貌を遂げていくことになるのだろう。
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