ロシアやアルゼンチンでは大人の半数以上…新興国のソーシャルメディア利用事情を探る
2014/02/26 11:30
インターネットの普及、さらには機動力の高いミニパソコンともいえるスマートフォンの浸透に伴い、飛躍的に利用者が増えたウェブ系サービスの一つがソーシャルメディア。情報の相互交換性により意志疎通の度合いは加速度的に増え、さまざまな社会現象をもたらしている。それでは携帯電話の普及著しい新興国では、利用状況はどのような具合なのだろうか。アメリカの大手調査機関【Pew Research Center】が2014年2月13日に発表した、新興国の携帯電話(一般携帯電話とスマートフォン双方を含む)事情の調査報告書【Emerging Nations Embrace Internet, Mobile Technology】を基に、その実情を探ることにする。
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ネットが利用できる人の多くはソーシャルメディアを使う
今調査は新興国24か国の18歳以上の人、各国毎に800人から3200人程度を対象に、対面調査方式で2013年3月から5月にかけて行われている。原則、各国の大人を代表するような抽出が行われているが、一部国では特定地域の除外がなされている。
先行する別途記事で解説したように、パソコンなどを使ってインターネットにアクセスする人の他に、スマートフォン所有者はインターネットにアクセスしている人と見なしても問題はない。そこで実態としてのインターネット利用者率を示したのが次のグラフ。
↑ スマホ保有かネットを時々以上使う人(2013年3月-5月)(再録)
このネット利用者に、ソーシャルメディアを使っているか否かを尋ねた結果が次のグラフ。ちなみに利用しているソーシャルメディアは国によりさまざまで、個々の国の状況に合わせた設問が成されている。どの国でもFacebookとツイッター、LinkedInに関する利用状況を聞いているわけではない。
↑ ソーシャルメディアを使っている(スマホ所有者か時々以上ネットを使っている人限定)(2013年3月-5月)
南アフリカと中国でやや低い値を示しているが、それ以外の国では7割から8割の人たちが、ソーシャルメディアを利用している。国毎の違いはさほど無い。報告書では「新興国では一度ネットにアクセスできる環境を持つと、多くの人がソーシャルメディアに飛び付き、情報交換や写真の掲載をするようになる」と解説している。このグラフの結果を見れば、理解はできる。
一つ目のグラフと二つ目のグラフを掛け合わせることで、「個々の国の調査対象母集団に対するソーシャルメディア利用率」を概算だが算出できる。例えばロシアなら88%×66%≒57%で、成人の約6割がソーシャルメディアを使っている計算になる。
↑ ソーシャルメディアを使っている(概算)(2013年3月-5月)
スマートフォン、あるいはパソコンなどのインターネット環境の普及状況で多分に左右されるところがあり、利用率にはかなりの違いが見受けられる。上位国では5割前後に達しているが、(登場している国の)下位国では2割程度でしかない。それでも人口を多く有するこれらの国々で、少なからぬ人たちがソーシャルメディアを利用している実情がうかがえる。
ネット環境を持つと毎日使いたくなる
ソーシャルメディアをはじめ、多種多様なサービスを利用可能なインターネット環境を利用できるようになると、当然高頻度でアクセスをしたくなるというもの。次のグラフはネット利用者に占める、毎日何らかの形でインターネットを使っている人の割合。
↑ インターネットを毎日使っている(スマホ所有者)
多い国ではネット利用者の8割から9割もの人が、毎日何らかのサービスを利用するためにインターネットにアクセスしている。日常生活に浸透しているのは間違いない。またセネガル、フィリピン、ボリビアではやや低い値を示しているものの、それ以外の国では過半数の人が「日々アクセス者」であることも分かる。先進国・新興国の別を問わず、ネットの魅力に取りつかれる人は多いようだ。
上位国には中東諸国が多く顔を見せているのが分かる。いわゆる「ジャスミン革命」で主に舞台となった地中海沿岸諸国で、携帯電話、特にスマートフォンが急速に普及し、ソーシャルメディアやSMSなどが多用された状況が容易に想像できるというものである。
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