不安派8割超え、コストを下げつつ国内生産を進めるべき…食料の生産・供給への考え方
2014/02/25 14:30
内閣府は2014年2月20日付で「食料の供給に関する特別世論調査結果」の概要を公式ページで公開した。その内容によれば、将来の日本の食料供給について不安を持つ人は8割を超えていることが分かった。前世紀末から比べると不安派は増加する傾向にある。また食料の生産・供給に関して「外国産の方が安ければ輸入する方が良い」とする意見は少数にとどまり、現状価格は外国産より高くても、低コスト化を目指しながら出来る限り国内生産を進めるべきとの意見が多数を占めていることが判明している(【内閣府世論調査発表一覧ページ:食料の供給に関する特別世論調査(平成26年1月)】)。
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今調査は2014年1月9日から19日にかけて、日本国籍を有する20歳以上の男女に対して、調査員による個別面接聴取方式で行われたもの。有効回答数は1781人。
回答時時点における、日本の将来の食料供給について不安のあるなしを尋ねたところ、直近では32.2%が非常に不安、50.8%がある程度不安とし、合わせて8割以上が不安を抱いていることが分かった。
↑ 将来の我が国の食料供給についての受け止め方
調査期間の間隔はまちまちだが、概して不安派は増加する傾向にある。特に2008年9月は高い値を示しているが、これは2007年末から2008年頭にかけて発生した「中国製冷凍ぎょうざ事件」と、それをきっかけとして生じた中国などからの輸入食品に対する不信感の表れといえる。もっともその後に行われた2回分の調査(直近回も含む)はやや値を落としており、いわゆる「冷静さを取り戻した」「熱が醒めた」状態となっている。
一方で輸入食材への過度の傾注、見方を変えれば食料自給率の低さに対する不安が高まりを見せると共に、その不安を解消する一つの手立てとなる食料の国内生産に関する考え方も、少しずつ変化を示している。
↑ 食料の生産・供給の在り方についての受け止め方
外国産より国内産の方が高くつく、という前提を認めつつ、出来る限り多くの食種で、あるいは米などの基本食料に限っても、国産品の生産を推し進めるべきであるとの意見が多数を占めている。しかも国産品を望む声は経年で少しずつだが増加を示している(2008年9月に跳ね上がっている理由は、上記の説明の通り)。
「生産コストの引き下げ」と「生産量の拡大」は得てして相反する事象となる。ここで言われている「生産コストの引き下げ」は消費者の立場からは「販売価格の引下げ」を意味するが、価格の引き下げは生産業者の利益の削減となり、儲けが出なければその職種に従事する人は減り、生産量は減少してしまう。
この課題を解決するには、資本主義社会の国においては、大量生産の仕組みを作り上げてコストを下げるか、画期的な技術・手法の開発に頼るしかない(社会主義国家ならば国有化という手がある。結局のところ、幅広い負担が増えるだけの話となるが)。
国内の総意としては「食料供給の現状は不安。国内生産量を増やすべき」との方向で固まりつつある。しかしそれをどのような形で成し遂げていくべきなのか、課題はあまりにも難しく、解決する手立ては容易に見つかりそうにない。各方面の知恵を結集して事に当たるべきだろう。
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