「低い、高めるべき」が過半数日本の食料自給率はどうあるべきか

2014/02/25 11:30

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内閣府は2014年2月20日、食料の供給に関する特別世論調査結果の概要を発表した。それによるとカロリーベースでの日本の食料自給率について低いと考えている人は、ほぼ7割に達していることが分かった。生産額ベースでは8割を超えている(【内閣府世論調査発表一覧ページ:食料の供給に関する特別世論調査(平成26年1月)】)。



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カロリーベースでみた食料自給率、低いと思う人は過半数


今調査は2014年1月9日から19日にかけて、日本国籍を有する20歳以上の男女に対して、調査員による個別面接聴取方式で行われたもの。有効回答数は1781人。

食料自給率を算出するにはいくつかの考え方がある。もっともよく知られているのはカロリーベースによるもので、その方式では現在の日本における食料自給率は39%となっている。この値を提示した上で、どのように思うかを尋ねた結果が次のグラフ。過去の値については、それぞれ調査時点の値を伝えて尋ねている。

↑ カロリーベースにおける日本の食料自給率に対する受け止め方
↑ カロリーベースにおける日本の食料自給率に対する受け止め方

直近の2014年1月では44.2%が「低い」、25.2%が「どちらかというと低い」。合わせて7割近くが「低め」という心境を抱いている。「高い」派は1割にも満たず、「妥当」とする意見が15.9%に達している。

「低い」と認識している人は概して多く、「低い」と「どちらかというと低い」を合わせた値はいずれの調査でも5割を超えている。特に2008年9月は飛びぬけて高く、8割近い値を示している。これは2007年末から2008年頭にかけて、いわゆる「中国製冷凍ぎょうざ事件」(中国製の冷凍ぎょうざからメタミドホスなどの殺虫剤が混入していたことが発覚し、それ以降中国からの輸入食品に対する消費者の忌避感が強まった)が原因と考えられる。

一方、その事件直後の機運の高まりをピークとし、それ以降は自給率が低いと考える人の割合は漸減する動きを示している。しかし「高い」とする意見は変わりが無く、「低い」回答者の一部が「妥当」に回った形となっている。

生産額ベースでみると?


食料自給率に関してはカロリーベースだけでなく、生産額ベースによる試算もある。これは国内農業生産の経済的価値を表す金額に着目したもので、カロリーベースに比べて「野菜や果物など比較的高価だがカロリーの低い品目」「畜産物のように飼料を輸入に依存している品目」の値が強く反映される。この生産額ベースで食料自給率を算出すると、今の日本では68%という値となる。

これについて「今後高めるべきか」「高める必要はないか」を聞いた結果が次のグラフ。カロリーベースの「低い」「高い」と似たようなものだが、意外にもカロリーベース以上に「現行値は低い」との認識率が高い。

↑ 生産額ベースにおける日本の食料自給率に対する受け止め方(2014年1月)
↑ 生産額ベースにおける日本の食料自給率に対する受け止め方(2014年1月)

生産額ベースは過去の調査記録が無いので今回分のみだが、ほぼ8割の人が今の値は低いのでさらに高めるべきだとの考えを持っている。そのままで良いとする人は1割強でしかない。



食料自給率を高める必要性があるのは、自然災害などで不作に陥ったり価格が高騰した時に、国内の食料事情が不安定化するリスクを減らすため。また食料分野で過度な対外傾注をすると、対象国に外交面での交渉カードを与えることにもなる。さらに何か問題が生じた際、国内のような規制・統括が海外に対しては不可能に近いのも問題となる(本文中にあるぎょうざ事件が好例)。

一方、食料自給に関してはカロリーベースでは実態を反映していないとの意見も多く、さまざまな切り口での実情把握が試みられている。より妥当性の高い指標構築を模索しながら、国内産業(特に農業)の活性化によるメリットも考慮し、しかるべき値を目指すべく施策を練る必要があろう。


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