消費税率引き上げのやり玉は外食費・節約意識も節約強化対象も最上位
2014/02/23 20:00


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節約意識強化、トップは食費・外食費
今調査は2014年2月4日から10日にかけて、消費税率引上げが間近に迫り「節約意識が強くなった」「どちらかといえば節約意識が強くなった」と回答した人を対象に、インターネット経由で行ったもので、有効回答数は6397人。男女比は5766対631。世代構成比は20歳未満2%、20代15%、30代34%、40代29%、50歳以上20%。
今4月からの消費税率の引上げに伴い、消費性向が抑えられ、節約意識が高まるとの話をよく見聞きする。今調査では税率引き上げに際して節約意識が高まった人、どちらかといえば高まった人を対象にしており、消費税率関連で節約意識が増幅された人の挙動を推し量ることができる。
まずは具体的に家計においてどの要目でさらなる節約を試みるようになったのか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。最上位は「食費・外食費」で77%の人が節約をより強く意識すると答えている。

↑ 消費税率引き上げを前に節約意識が高まっている項目(複数回答、節約意識が強くなった人限定)
節約関連の意識調査では必ずといって良いほど「外食」さらには「食費」が上位陣に付くことになる。日々消費する対象で選択肢も多い、「外食」に限れば贅沢な娯楽というイメージが強いなど、理由は多種多様に考えられる。昨今の中食・内食への傾倒もまた、遠因としては「外食はぜい沢だからひかえめに」との意識があるのが一因(主要因は中食の充実と、家族そろっての食事の需要増加だが)。
次いで多いのは「日用雑貨」。こちらも日々という程ではないが日頃から消費をするため、節約の対象となりやすい。トイレットペーパーや石けん、洗剤などが好例。
「外食」と近い立ち位置にあるのが「ファッション・美容費」。ぜいたく品的な扱いを受けてのもの。特に女性にとっては必需品ともいえるが、トレードダウン(行きつけの店を下げる)なり、化粧品の質を落とすなりの対応が想定できる。
一方で削りにくい物の代表格として挙げられることが多い「教育・自己研さん費」「住宅費」「医療・保険費」などは値が低い。節約意識を持ったとしても、削り様がない場合が多いからだ。
興味深いのは「通信費」が比較的低い値に留まっていること。プランの変更や利用の削減で、ある程度出費を抑えることはできるはずだが、節約対象としては挙げられにくい。節約の手続きが面倒なことに加え、出来れば今の利用スタイルを維持したい、手をつけたくないという想いが強く、節約の優先順位も低いポジションに留められているのだろう。
節約行動の対象もトップは外食
それでは特に食費や調理に必要となる光熱費関連で、今後節約の度合いを強めたい対象はどのようなものだろうか。

↑ 食費・料理にかかる光熱費の節約で今後強化したいこと(複数回答、節約意識が強くなった人限定)
最上位は「外食をひかえる」で68%。節約を意識する対象に食費と共に外食が選択されている以上、当然の話といえる。次いで上位にある「内食の強化」も「外食控え」の裏返しの意味を持つことを考えれば、トップと第2位の項目は事実上同じ内容といえる(厳密には中食部分が異なるが)。
次いで「安価な食材での料理のレパートリーを強化する」「安価な食材でかさ増し」と、安い食材を用いて料理を工夫するとの回答が上位についている。鶏肉を使う時はモモ肉ではなくムネ肉を使うようにする、もやしなど食べ応えのある安い食材を使うなど、工夫はいくらでも考えられるし、これまでにも数多くの手法が考案され伝承されている。
他にも「弁当持参」「まとめ買い」など、これまで節約話が持ち上げられた際に良く使われた手法が上位についており、新鮮味はあまりない。あるいは日常の食生活、調理の延長上に過ぎない部分もあるのだろう。
本文中でも触れているが、昨今の内食志向は多分に、震災以降の肉親や身近な人たちとの絆を強める、関係性の確認を意図するところが大きい。節約志向によるものはあくまでも副次的要因でしかない。しかし消費税率の引き上げに伴い節約の動きが強まるにつれ、さらに食生活における内食重視の動きは加速化する可能性がある。
その動きは当然関連業界に小さからぬ影響を与える。今件調査結果のみですべてを断じるのはリスクが大きいが、留意するにこしたことは無かろう。
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