際立つ日本の特異性…主要国の携帯電話コミュニケーションサービス利用状況(ICMR2013版)
2014/02/18 08:30
車装電話をルーツとし、単純に持ち運びが出来る電話に始まり、今や手帳のように機動力の高い情報総合端末にまで発展した携帯電話。それを用いて利用できるサービスは数多い。今回はイギリスの情報通信省が2013年12月12日付で同省公式ウェブサイトで公開した通信白書の最新版【International Communications Market Report 2013】から、携帯電話を用いたコミュニケーション系サービスの利用状況を、主要国別の違いを絡めて見ていくことにする。
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次のグラフは携帯電話(一般携帯電話、スマートフォンの双方を含む)利用者に占める、主要コミュニケーション系サービスの利用状況。例えばイギリスではSMS(ショートメッセージサービス)が89%と出ているので、イギリスの携帯電話所有者の89%がSMSを使っていることになる。
↑ 次のサービスを使っているか(携帯電話所有者限定)(2013年9月)
注意してほしいのは、この結果の調査対象母集団ではインターネットへアクセスできないシンプルな携帯電話も含まれること(日本では携帯電話=インターネットへのアクセスが出来るが普通だが、ネットアクセス機能を持たない携帯電話も多分にある)。それらの携帯電話でもSMSを使える場合は多いので、必然的にSMSの利用者は多くなる。他方、電子メールはその端末がインターネットにアクセスできることが必要不可欠となるため、利用率が必然的に下がる。
ところが日本ではSMSの利用率が非常に低く、その分電子メールが高い値を示している。これは白書でも指摘されているが、日本ではSMSがあまり使われず、電子メールでSMS的な使われ方がされているのが主要因。インスタントメッセンジャーの利用率が低いのも、遠因としてはそれがあると見て良い。
ツイッターの利用率は3割前後。スペインと中国では、インスタントメッセンジャーとツイッターの利用率がやや高めに出ているのが印象的。
日本の事情をもう少し詳しく説明すると、日本では携帯電話の普及・進化の流れが海外とは少々異なり、インターネット接続が出来ない携帯電話から、インターネットへの接続が可能な多機能携帯電話(マルチメディアフォン)への進化の流れがあった。これがSMSの利用率が低く、インターネットを使った電子メールが良く使われる理由でもある。その流れは同時に、海外が携帯電話からスマートフォンに一挙にシフトしたのに対し、日本ではマルチメディアフォンが間に挟まったため、スマートフォンの普及が諸外国と比べて遅れてしまうという状況を生み出す形となっている。
今後スマートフォンが日本でも浸透するに連れ、各コミュニケーションサービスはどのような普及率の変化を遂げていくのだろうか。もはやSMSはソーシャルメディアに取って代わられる状態にあるので(電話番号さえ知っていれば送れる便宜性はSMSの方が上だが)、日本のSMS利用率が上昇することは無いものと思われる。むしろツイッターなどの利用率がさらに上がることだろう。
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