消費税率引上げ認知度94%、理由まで知っているのは半数足らず

2014/01/26 15:00

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インターワイヤードのディムスドライブ事業局では2014年1月23日付で、消費税率引上げに係わる調査結果を発表した。その内容によれば調査対象母集団では、今年4月からの消費税率引き上げについて税率・時期双方を知っているひとは94%に達していることが分かった。まったく知らなかった人は1%強に留まっている。一方、消費税(の引き上げ分)がどのような用途で運用されるのかをある程度以上知っている人は4割強に留まっていた。世代別では高齢者ほど、世帯年収別では高年収ほど認知度が高い結果が出ている(【発表リリース:「消費税率引き上げ」に関するアンケート】)。



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引上げ期日、率共にほとんど認知されている消費税率引上げ


今調査は2013年12月12日から27日に渡り、インターネット経由で行われたもの。有効回答数は7275人。男女比は59.7対40.3、世代構成比は10代から10歳区切り(「70歳以上」まで)で0.3%・3.8%・15.7%・31.0%・27.3%・15.5%・6.4%。

消費税率がこの4月以降、現行の5%から8%に引き上げられることになる。このことについて、「4月」「8%」2つの要素に絞り、認知しているか否かを聞いたところ、双方とも知っている人は93.5%に達していた。ほとんどの人は税率、期間共に知っているようだ(今件が2013年12月に実施されたことに注意)。

↑ 消費税率引上げに関する認知状況(「8%」「4月から」それぞれの要素について)
↑ 消費税率引上げに関する認知状況(「8%」「4月から」それぞれの要素について)

引上げ税率のみ知っており、いつからなのかは知らなかった人が2.6%。いつからかのみ知っていて、税率を知らなかった人は0.9%。双方とも知らず「いつか引き上げられるっぽいね」的な感覚だった人は1.3%。引上げが決定されていたことを知らなかった人は1.7%(検討段階だと思っていた0.3%+まったく知らなかった1.4%)。

これらの回答は誤差範囲、あるいはそれに近いごく少数派でしかなく、周知そのものは十分であるといえる。さらにいえば今調査は昨年末実施であることから、税率切り替え時期に近づくにつれ、さらに周知度は高まることは容易に想像できる。

理由まで知っている人は半数足らず


それでは消費者にとっては「直接には」関連性が薄い、消費税引き上げ分がどのように運用されるのかに関しては、どれほどの人が認識しているだろうか。財務省の説明【副大臣がお答えします > 消費税引き上げの理由】【消費税など(消費課税)に関する資料(平成25年5月末現在)】によると、「高齢化社会の到来で不足する社会保障財源の確保」「国民全体で広く負担する消費税による補完が好ましい」「不景気でも減収傾向が薄い消費税の方が安定しており、同じく支出が安定・漸増する社会保障財源として望ましい」との説明がなされている。他方消費税そのものは一般税であり、特定財源への割り当てを目的とした「(福祉)目的税」ではないことも留意しておく必要がある(説明文では「福祉目的化」との言い回しが多数使われているが、法令上明確に区分した上での割り当ては成されていない)。

↑ 「消費税(の引き上げ分)が何に運用されるのか」明確に・ある程度認知している人の割合
↑ 「消費税(の引き上げ分)が何に運用されるのか」明確に・ある程度認知している人の割合

全体の認知度は46.7%。実行される内容そのものはほとんどの人が知っていても、「なぜ」という点まではあまり知られていない。特に、家計周りで細かい金額を日々消費して影響を受け得る女性の認知度が31.3%と低い。(内容の正当性はともかくとして)理由を知らず、理解できずに事実だけを知っていたのでは、誤解を招いたり無益な反発が生じる可能性が高い。

世代別では概して若年層ほど知らず、高齢層ほど認知度が高い。これは掲げられている目的が社会保障財源であり、その恩恵を大いに受けるのが高齢者だからといえる。また多額の金額を自ら動かす可能性が歳を経るに連れて増え、その際に消費税周りも目に留まるのも一因だろう。似たような理由からか、世帯年収でも高年収ほど内容の周知度は高い。最大で26.3%ポイントもの差が出ている。

社会の高齢化に伴い社会保障費が漸増しているのは周知の事実であり、その増加分をまかなうために税負担が必要で、それには安定税収が必要になるのは理解できる。しかしその話すら周知度が今一つなのは、啓蒙活動が不足していることに他ならない。さらなる運動が求められよう。

一方、目的税でない限り、「福祉目的化」という枠組みはいつでも外される得る(【「住民税が2倍に増えた」「自営業者はツラい」の謎を探る(2)……定率減税廃止がかなめ!?】にもある通り、財務省曰くの「恒久的」は「恒久」ではないからとの理由で廃止された定率減税が前例としてある)。人口構成を見る限り、多分の社会保障費が必要不可欠であるという状況にしばらく変化はないが、常に監視は必要だろう。


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