パソコンからタブレットや電子書籍リーダーへ…米電子書籍の購読端末の変化

2014/01/22 15:30

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米大手民間調査機関【Pew Research Center】は2014年1月16日付で同公式サイトにおいて、同国内での電子書籍とそれを読む端末の普及状況の調査レポート【E-Reading Rises as Device Ownership Jumps】を公開した。それによると電子書籍で読書をした人のうち、半数は電子書籍リーダーやタブレット機などを用いて読んでいることが分かった。3年前はパソコンが4割強で最多利用媒体だったが、直近では3割を切り、電子書籍リーダーやタブレット機よりも少ない回答率に留まっている。



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今調査の調査要項、「タブレット機」「電子書籍リーダー」の定義は先行記事の【米国タブレット普及率は42%にまで躍進】を参照のこと。

先行する記事の通り、アメリカでは読書をする人において電子書籍を用いる人の割合は年々増加する傾向にある。

↑ 過去1年間で電子書籍で読書をした人(米、18歳以上、該当年で過去1年間に何らかの媒体で読書をした人限定)(再録)
↑ 過去1年間で電子書籍で読書をした人(米、18歳以上、該当年で過去1年間に何らかの媒体で読書をした人限定)(再録)

そこで、この電子書籍による読者はどのような端末を介して購読しているのかを見たのが次以降のグラフ。まずは端末を「電子書籍リーダー」「タブレット機」「パソコン」「携帯電話(一般携帯、スマートフォン双方)」に大別し、その端末で電子書籍を読んだか否かを尋ねている。複数回答のため、例えば「スマートフォンとパソコンの双方で電子書籍を読んでいる」という人は、それぞれの項目に該当する。例えば2014年のタブレット機は55%とあるので、電子書籍で読書をした人のうち55%は、タブレット機を使っていたことになる。

↑ どの端末で電子書籍を読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人限定)
↑ どの端末で電子書籍を読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人限定)

2011年時点では電子書籍による読者のうちパソコンを使っていた人は42%でトップ。次いで電子書籍リーダー、携帯電話、タブレット機の順だった。それが直近の2014年では電子書籍リーダーが57%、タブレット機が55%と過半数を超え、そして携帯電話が続き、パソコンは3割を切っている。これは先行記事にある通り、電子書籍リーダーやタブレット機が急速に普及したのに伴い、より使いやすい、機動力のあるこれらの端末での読書性向が高まったことで、パソコンが電子書籍の購読媒体としては使われなくなったことを意味する。

↑ タブレット機/電子書籍リーダー所有率(米、18歳以上)(再録)
↑ タブレット機/電子書籍リーダー所有率(米、18歳以上)(再録)

また、電子書籍リーダーやタブレット機を所有している人は、電子書籍を読む傾向が強い。次に示すのは「過去1年間に電子書籍で読書をした人」のうち、「個々の選択肢の端末保有者」が「その端末で電子書籍を読んだ」人の割合。例えば2014年の電子書籍リーダーは87%なので、過去1年間に電子書籍を読んだ人のうち、電子書籍リーダー所有者に限定すると、そのうち87%は電子書籍を読んでいることになる。

↑ どの端末で電子書籍を読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人で、個々の選択肢の端末保有者限定)
↑ どの端末で電子書籍を読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人で、個々の選択肢の端末保有者限定)

特に電子書籍を読む人で電子書籍リーダーを持つ人は(例え他にタブレット機やパソコン、携帯電話を持っていたとしても)9割近くが電子書籍リーダーで電子書籍を読んでいることになる。電子書籍リーダーやタブレット機が、電子書籍を読むのに適した端末であることを、実利用の結果から裏付けた値ではある。一方これが、「電子書籍リーダーなどがより多くの読書をうながす」さらには「読書を好む人は電子書籍リーダーの所有率が高い」を証明するまでには至らないことには注意する必要がある。



ちなみに今報告書では、「どの端末で電子書籍を読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人で、個々の選択肢の端末保有者限定)」のデータで、さらに厳しい条件、具体的には「週一以上の頻度で読んでいるか否か」についての結果も記されている。

↑ どの端末で電子書籍を「週一以上の頻度で」読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人で、個々の選択肢の端末保有者限定) (2014年1月、米)
↑ どの端末で電子書籍を「週一以上の頻度で」読んでいるか(過去1年間に電子書籍で読書をした人で、個々の選択肢の端末保有者限定) (2014年1月、米)

パソコンや携帯電話と比べれば、電子書籍リーダーやタブレット機は電子書籍による読書をし易い環境を提供しており、読書を後押しすることは間違いないようだ。


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