「読書」は電子書籍の浸透進むが紙がまだ優勢…アメリカ読書事情

2014/01/21 08:30

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アメリカの大手民間調査機関【Pew Research Center】は2014年1月16日付で、同国内における電子書籍、そしてそれを読む端末の浸透状況を調査したレポート【E-Reading Rises as Device Ownership Jumps】を公開した。それによれば同国の成人の3/4が過去1年間に読書(文庫本など。雑誌は含まず)をしていることが分かった。紙媒体で読書をした人は69%、電子書籍では28%に及ぶ。属性別ではタブレット機や電子書籍リーダーの所有率が高い高年収や高学歴ほど、電子書籍による読書経験率が高いことが確認されている。



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今調査の調査要項、「タブレット機」「電子書籍リーダー」の定義は先行記事の【米国タブレット普及率は42%にまで躍進】を参照のこと。

調査対象母集団に「過去1年間、読書をしたか(媒体問わず)」と聞いた結果が次のグラフ。全体では76%の人が読書経験あり、としている。冒頭でも触れているが、雑誌は含まれていないことに注意。

↑ 過去1年間で媒体を問わず読書をした人(米、18歳以上、2014年1月)
↑ 過去1年間で媒体を問わず読書をした人(米、18歳以上、2014年1月)

男女別では女性の方が読書性向が強い。また世代別では若年層の方が高めたが、大きな差は出ていない。他方学歴別・世帯収入別では高学歴・高収入の方が良く読書をするとの結果が出ている。書籍を読む余力が生じているからなのか、あるいは読む必要性にかられるからなのか。

この「読書」は媒体を問わずの結果。これを主要媒体、具体的には「紙」「電子書籍」「オーディオ」別に区分して再整理したのが次のグラフ。「紙」は圧倒的でいずれの属性でも読書全体の値に近い結果が出ている。見方を変えれば、「紙媒体では読書をせず、電子書籍でのみ読書をした人」も多くは無いが居ることになる。

↑ 過去1年間で各媒体において読書をした人(米、18歳以上、2014年1月)(属性別)
↑ 過去1年間で各媒体において読書をした人(米、18歳以上、2014年1月)(属性別)

紙媒体での読者層は属性別でも大きな違いは出ていない(オーディオも同様)。これはメディア利用におけるハードルが低いという、紙媒体の特性、長所の表れでもある。

一方、電子書籍は属性別での差が大きい。例えば世代別では最大で約3倍もの差が出ている。これは先行記事でも解説した通り、電子書籍を読む環境そのもののあるなしによるもので、いわゆるデジタルデバイド(技術間格差)がそのまま電子書籍による読書性向の差となって現れている。

↑ タブレット機/電子書籍リーダー所有率(米、18歳以上、2014年1月)(再録)
↑ タブレット機/電子書籍リーダー所有率(米、18歳以上、2014年1月)(再録)

具体的数字はともあれ、属性別の違いの動きが、タブレット機や電子書籍リーダーの所有率と、電子書籍の読書経験者との間では、似通っているのが分かるはずだ。

今調査結果からも分かる通り、すでにアメリカでは「メディアが紙であろうと電子書籍であろうと、読書には違いない」という考えが一般的。その一方で、「読書」は今なお紙媒体によるものが主流のまま推移している。もっとも、電子書籍を読む主な媒体であるタブレット機や電子書籍リーダーの所有率が急速に上昇していることを考慮すると、今後数年でさらに「読書」の内部事情が変わっていくことは、容易に想像できそうである。


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