米は通信だけで32兆円…主要国のコミュニケーション業界の売上状況(ICMR2013版)
2014/01/08 11:30
イギリスの情報通信省は2013年12月12日、同国を中心とした世界各国の通信業界・メディア動向をまとめた通信白書「International Communications Market Report」の最新版となる【International Communications Market Report 2013】を公開した。今回はその公開データを基に、「主要国でのコミュニケーション業界における売上高の現況」を確認していくことにする。
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今件項目ではコミュニケーション分野の代表的業界として「通信全般(電話通信)」「テレビ」「郵便」「ラジオ」の4業界を提示。それぞれの業界の2012年における売上を提示している。次の図はそれを積み上げグラフにしたもの。なお元データは1単位が10億ポンド(約1700億円)であり、それ以下のものはデータの上でも、そしてグラフ上でも切り捨てている。ゼロの表記がなされている業界で、実際に売上がまったく無いわけでは無い。また、上位3か国がそれより下の国と比べて額面が大きすぎるため、あえてその3か国を除いた版も合わせて作成する。
↑ コミュニケーション分野での売上(2012年、億ポンド=170億円)
↑ コミュニケーション分野での売上(2012年、億ポンド=170億円)(上位3か国抜き)
何と言ってもまず注目しなければならないのは、アメリカの市場規模の大きさ。通信分野だけで1910億ポンド、つまり日本円では約32.5兆円。グラフから見ても一目瞭然だが、この分野だけで第2位の日本の4分野の総額1400億ポンドをはるかに超えている。人口の差がそのまま市場規模の差につながっているのも一因だが、それにも増してアメリカにおけるコミュニケーション市場の成熟ぶり、活性ぶりがうかがい知れるというもの。
また、テレビ分野も1000億ポンド(17兆円)で、この分野だけでも日本以外のいずれの国の4分野総額に対しても優位となる(つまりアメリカのテレビ市場分だけでも、今件グラフでは第3位の位置につく)。この巨額を1年間で売り上げているのだから、改めて同国のメディアパワー、マネーパワーのすさまじさが分かる。
第2位は日本で1400億ポンド(23.8兆円)。それなりに大きな額だが、アメリカの前にはこじんまりとしか見えない。とはいえ、通信分野の大きさは注目に値する。次いで中国が入っているが、これは多分に人口の大きさに寄るところが大きい。一方で同国のコミュケーション分野が各端末の普及や生活水準の向上に伴い急成長をしているのも事実で、前年比で14%もの成長を遂げている。特にテレビ分野での伸びが著しく(約3割増)、個人消費において娯楽に振り分ける割合が増加してきたことの表れといえる。
市場の金額的な大きさは、そのまま各業界の影響力や勢いをも表す。大きな市場なら相乗効果も大きいと判断され、その業界へ参入を意図するために新しいコンテンツが次々と足を踏み入れ、他業界もタイアップを検討するようになる。また為替レートの問題もあるが、国を超えてのアプローチの検討の際の材料にもなる。大きな市場で展開できれば、それだけ成功時の見返りも大きくなる。
多数のコミュニケーションサービスがアメリカで生まれ、あるいは活性化しているのも理解が出来るというものだ。
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