アメリカ人の3分の1のみがダーウィンの進化論を信じている
2014/01/03 10:00
米民間調査機関【Pew Research Center】は2013年12月30日付で、同国内における人間の進化についての考え方を調査した報告書【Public’s Views on Human Evolution】を公開した。それによると米成人のうち33%は進化論そのものに否定的で、この世の始まりから人類やその他の生物は今と同じ姿をしていたと考えていることが分かった。60%は進化論を信じているが、いわゆるチャールズ・ダーウィンが提唱する自然環境の変化に伴う淘汰によって進化が生じたとする「自然選択説による進化論」を信じている人は、進化論を信じている人の半数程度でしかなく、残りの大半は「神的な偉大なる存在」が進化を導いたと考えている。
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今調査は2013年3月21日から4月8日にかけて、アメリカ合衆国内に居住する18歳以上の男女に対し、RDD方式によって選ばれた電話番号に対し、英語あるいはスペイン語による通話インタビュー方式で行われたもので、有効回答数は1983人。固定電話での回答者は1017人、携帯電話は966人。各調査結果は人口統計学に基づきウェイトバックが実施されている。
人類やその他生命体の進化の流れには諸説があるが、現在ではダーウィンが提唱する自然選択型と、遺伝子学的な突然変異体の登場に基づく融合的な進化論が科学的には有力。一方で信仰的・宗教的な観点で、人類などは創造主によって創生されたもので、世の始まりから押し並べてその姿かたちを維持しているとの考えも根強い支持を受けている。
今回の調査においても、全体の1/3にあたる33%の人が進化論に対しては否定的で、この世の始まりから人は人の姿を、他の生物もそのままの姿をしていたと答えている。
↑ 人類は昔からその姿かたちだったのか、それとも進化の結果今の姿かたちをしているのか
学歴別では高学歴、世代別では若年層の方が進化論には肯定的。高卒以下では38%と4割近い人が進化論に否定的な意見を持っている。また宗教の観点で見ると、聖書の記述への信奉を強調する福音派では2/3近い人が進化論否定派で占められているなど、人の成り立ちへの考え方と宗教・信仰には深い関係があることが確認できる。
ただし「進化論」の肯定派も、上記に示した科学的な進化論を信じている人は半数程度でしかない。
↑ 「人類は進化の結果、今の姿かたちをしている」との回答者の具体的内容
自然環境に対応する形で進化したとする(上記説明の通り遺伝子学的なものも含む)科学的進化論によって進化をしたとする人は53%、至高なる存在(神的な存在)の導きで進化が成されたとする人は40%に達している。つまり調査対象母集団全体では、科学的進化論を信じている人は32%でしかない。
このような結果が生じているのは、信仰、宗教が進化論の受け止め方に大きな影響を及ぼしているのが原因。そしてこれは多分に進化論だけに限った話では無い。多くの事柄において教育や信奉が、物事のとらえ方に大きな影響を与えるという事実の表れといえよう。
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