全国平均で礼金1.01か月、関西圏では1.11か月…賃貸住宅の敷金・礼金や入居条件交渉の変化(2021年6月発表分)(最新)
2021/08/05 03:31


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全国平均で敷金は家賃の1.19か月分、礼金は1.01か月分
各種調査要項などについては先行記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化】に記載されている。詳しくはそちらで確認してほしい。
まずは礼金・敷金の平均動向について。最初に用語の再確認をしておく。「礼金」は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた時に、貸主(大家)に支払われる「お礼金」のこと。一方「敷金」は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」との概念によるもの。その賃貸住宅から退去する際に、次の借主が支障無く使えるよう、原状復帰のために使われるお金でもある。ただし通常使用における損耗は、自然に生じるものとして、その分の責は利用者には無いとするのが一般的(【民間賃貸住宅の賃貸借関係をめぐるトラブルの未然防止に関する制度解説の映像について(国土交通省)】【「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について(国土交通省)】などを参照のこと)。
今回の計測期間において、全国平均では礼金は家賃の1.01か月分、敷金は1.19か月分との結果が出ている。

↑ 入居時の条件(一時金、平均月数)(2020年10月-2021年3月)
「関西圏」では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として返還しない仕組み。保証金そのものは家賃の半年から8か月分とされ、これには礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが原則)制度が商習慣として根付いて「いた」(過去形であることに注意)。その名残もあり、礼金の額が他地域と比べて高い結果が出ている。
また「首都圏」と比べると「首都圏・関西圏以外」で敷金が高めに出ているのが気になる。契約物件のリスクが高いのかもしれない。
今件値は業者側の調査に基づいた結果。地域、周辺環境の違いも多分に影響するが、この値を覚えておけば、無駄な探索をしたり、怪しげな物件に惑わされる心配はずいぶんと減る。
入居時の条件交渉の変化
各賃貸住宅管理会社が管理している賃貸物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機など)について、居住希望者との間での交渉度合はどのような変化を示しているのか。借り手・貸し手の力関係を推し量れるデータともいえるが、それぞれについてその移り変わり(前期比)を尋ねたところ、全国では回答企業の4割強が入居の際に「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も4割近くに上っている。

↑ 入居時の条件交渉の変化(前期比)(2020年10月-2021年3月)
「首都圏」と「関西圏」を比較すると、「関西圏」の方が増加の値は高い。「賃料」「礼金・敷金など」では増加の値について2倍以上もの差がついている。「設備設置」では5倍近くもの差。
さらに「首都圏・関西圏以外」では「賃料」の増加の値は関西圏と同程度で、「礼金・敷金など」「設備設置」の値は関西圏を超えている。首都圏や関西圏と比べ、その他の地域では貸主側の競争が激化している、賃貸物件が供給過剰状態にあることが透けて見えてくる。
ともあれ、「首都圏」ですら賃料や礼金・敷金など金銭面において、25.0%が「交渉増加」と回答している結果が出ている。ダメ元との点もあるのだろうが、「賃貸住宅は入居希望者が主導権を握る借り手市場」との認識に違いはないのだろう。
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