有給取得率が低い人ほど「有給は上司が嫌う」と思っている
2013/12/31 14:00
内閣府男女共同参画局は2013年12月17日付で、「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果の速報を公開した。その内容によれば労働者においては有給休暇の取得率が低い人ほど、「上司は有給休暇取得者を低く評価している」と考えていることが分かった。有給休暇取得率が低い人は高い人と比べ、有給を取る人は仕事が少なく、仕事より自分の予定を優先する人であるなどと、上司が評価している「と回答者自身が想っている」結果が出ている(【発表リリース:「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果速報を公表しました。】)。
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今調査のうち今件該当部分に関しては、2013年9月に20歳から59歳の男女で被雇用者を対象に、インターネット経由で行われたもの。有効回答数は3154人。正社員は2537人、非正規社員は617人。
有給休暇とはゆとりある生活を保障するために使用者から与えられる、有給の休暇。つまり休んでも賃金がそのまま維持される休暇を意味する。法令で一定期日以上勤続した人に対し、勤続期間に従った休暇数を付与しなければならないと定められている(【厚生労働省:年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。】)。他方、残業と同じように、勤勉に関して過度の傾注・敬愛を美徳とする傾向がある昨今では、有給休暇を取得することへの罪悪感を覚える、周囲からマイナスの評価を受けるのではとの不安を抱く人もいる。
今項目では有給休暇の消化率と、有給休暇の取得について上司がどのように考えているのか「と回答者自身が思っている」かの関係を尋ねたもの。回答者自身のイメージであり、実際に回答者の上司に尋ねているわけではないことに注意。
↑ 有給休暇を取得している人に対し、上司がどのように評価している「と(回答者自身が)思っている」か(有給休暇の消費率別)
有給休暇消費率が高い人は概して、「時間管理が上手」「オン・オフのメリハリがある」など、有給休暇の取得に対しプラスのイメージを上司が抱いていると「回答者自身が」考えている。有給をあまりとらない人は、プラスのイメージ率は低い。逆に有給休暇消化率が低い人ほど、「仕事が少ない人」「仕事より自分の予定を優先する人」のような、有給へのマイナスイメージを上司が持っていると「回答者自身が」考えている。
今件は「有給取得率」と「有給に対して『上司がこのように思っているだろう』との回答者の考え」との相関関係を裏付けたもの。因果関係、つまり「有給休暇を上司がマイナスに思っているだろうから、有給はあまり取らないでおこう」と回答者が行動を決定したとの確証まではできない。しかし両者の関係を察するに、少なからぬ因果関係もあるだろうことは想像が出来る。
実際に部下の有給休暇の取得に関して、その部下の上司の立場の人がどのような感想を抱いているかに関しては、今調査結果では見つけることは出来ない。しかし就業者の間に広まる「有給を取ると上司から低い評価を受けるかも」という考えが、有給取得率を低く抑える一因であると考えるには、十分な調査結果といえよう。
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