残業時間が長い人ほど「残業は上司が高評価する」と考えている
2013/12/30 20:00
内閣府男女共同参画局は2013年12月17日、「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果の速報を発表した。それによると就業者においては残業時間が長い人ほど、「上司は残業をしている人を高評価している」と考えていることが分かった。残業時間が長い人は短い人と比べ、残業をする人は頑張っている・責任感がある・仕事ができる人であるなどと、上司が評価している「と回答者自身が想っている」結果が出ている(【発表リリース:「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果速報を公表しました。】)。
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今調査のうち今件該当部分においては、2013年9月に20-59歳の男女で被雇用者を対象に、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は3154人。正社員は2537人、非正規社員は617人。
他国と比べて日本の就業者は、長時間労働を美徳とする傾向が強いと言われている。日本では法令上原則として、使用者は1日8時間、週40時間を超えて労働をさせてはならないとされているものの、ガッチリと守っている企業がどれほどあるか、首を傾げざるを得ない。
今調査項目では、その残業美徳傾向の一因を推し量れる実情を把握できる。就業者に対し、残業行為を上司がどのように評価している「と回答者自身が思っている」かについて尋ねた結果だが、概して「残業する人は上司から高い評価を受けている」という認識を持つ人が、残業時間が長い人ほど多い結果が出ている。
↑ 残業している人に対し、上司がどのように評価していると「(回答者自身が)思っている」か(1日あたりの労働時間別)
残業時間が長い人ほど、残業すれば上司から頑張っている、責任感が強い、仕事が出来るなどとプラスの評価を受ける「と自分で思っている」人が多い。今件では「上司から高評価を受けていそうなので、残業を積極的にこなす」という状況、つまり「残業行為」と「上司の評価想定」における因果関係までは説明できないが、少なくとも相関関係はすぐに説明ができる。そして両者の関係を推し量れば、因果関係もありそうだということは容易に想像がつく。
そしてポジティブシンキングとも表現できるが、残業時間が長い人ほど、残業によるマイナスイメージについて想定する人が少なくなる。
↑ 残業している人に対し、上司がどのように評価していると「(回答者自身が)思っている」か(1日あたりの労働時間別)(マイナス系イメージ)
残業時間が少ない人ほど、残業に対して上司がマイナス評価をしていると回答者自身が思っている割合が高く、残業が多い人ほど割合は低くなる。こちらも因果関係は説明できないが、「残業でマイナス評価を上司から受けることはないだろうから、(そしてプラス評価を受けるだろうから)残業をしてもかまわない」という自分自身の残業行為への後押しをしている感は否めない。
残念ながら今調査(速報分)では、実際に上司がどのように考えているかに関する調査報告は無い。よって、就業者の残業と上司の評価に関する思惑が、正しいものか否かを判断することは出来ない。しかし少なくとも、就業者自身がこのように考えていることが、日本における残業美徳化傾向の一因にあると考えても、何ら不思議はないだろう。
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