映画情報どこから入手?! テレビやラジオのCMが圧倒的多数
2013/12/09 11:30
ディムズドライブのネットリサーチは2013年12月4日、映画館に関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団のうち映画館に行く人においては、テレビやラジオのCMから映画の情報を入手している人が7割を超えていることが分かった。次いで映画館での予告編、新聞が続いているが、3割にも届かず、CMが圧倒的な効果を発揮していることがわかる(【発表リリース:「映画館」に関するアンケート2013】)。
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映画情報はテレビやラジオのCM経由が圧倒的
今調査は2013年4月4日から19日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は5548人。男女比は55.7%対44.3%。世代構成比は10代から60代と70代以上でそれぞれ0.5%・5.5%・20.8%・32.9%・24.0%・12.3%・4.0%。
大型テレビの普及やインターネットによる映像配信の浸透、さらには娯楽の多様化をはじめとしたライフスタイルの変化に伴い、映画館に足を運んで映画鑑賞をするという娯楽は、かつての勢いを覚えることは出来ない。それでもなお、毎年数百本もの映画が新規に映画館で上映され、多くの来場客を楽しませている。
今件調査対象母集団ではメディア・ルートを問わず映画を観る人は90.3%、そのうち映画館に足を運んで観賞する人は85.7%。全体比では76.5%(90.3%×85.7%)の人が、頻度はともあれ映画館で映画鑑賞をしている。そこでそれらの人に、映画に関する情報はどのような経由で入手しているのかを聞いた結果が次のグラフ。
↑ 映画についての情報はどのようなところから入手しているか(複数回答、映画館に行く人限定)
第2位の「映画館で上映される予告編」に3倍近い差をつけて、「テレビやラジオのCM」がトップについている。回答率は71.2%。映画館に足を運ぶ人の7割強は、テレビやラジオのCMを参考にしていることになる。テレビやラジオがいかに映画の情報公知に貢献しているか、CMが効果を発揮しているかが分かる結果といえる。従来メディアという視点では「新聞」も上位に顔を見せているが、25.8%と効果は約1/3。動体・音声を使えない以上、仕方がないのかもしれない。
また上位には「映画館で上映される予告編」「映画館の建物やウェブでの近日上映予告」など、映画館そのものや関連媒体をチェックしていないと認知できないルートが顔を連ねている。これは多分に映画館へ通う人がリピーター化しており、「映画館へ足を運ぶ」「映画を観る」「新規上映予定の情報を知る」「その映画を観るために再び映画館へ足を運ぶ」のループが生じていることが分かる。
他方、ソーシャルメディアやバナー広告などはそれなりに効果は出ているものの、それほど大きな影響は与えていない。またトレインチャンネルに代表される電車内のモニターを用いたCMを含む「電車内の広告、モニターCM」経由との意見が1割を超えており、映画鑑賞者にもそれなりの影響力を与えていることが分かる。
映画館へ足を運ぶ時のイメージは?
映画館に足を運ぶ人のうち7割以上がテレビやラジオのCMで具体的な映画の情報を事前に入手している。当然ながら映画館へは、特定の映画を鑑賞する目的で行くことになる。
↑ 映画館に足を運ぶ時のイメージとして近いもの(複数回答、映画館に行く人限定)
6割近くの人が特定の映画を特定の時間に観ると決めて、映画館へ足を運んでいる。目的意識と時間をしっかりと見定めている、一番映画館の利用スタイルとしてはオーソドックスで、しかも本来設定されているタイプ。
一方「友人や家族等と一緒に『お出かけ』として」「友人や家族などに付き合って」「空いた時間を埋めるために」など、自らの強い映画視聴の意志では無く、他の目的の代替、あるいは解決手段として映画館での映画視聴が行われる事例が続いている。これらは状況次第で容易に他の娯楽に置換されてしまいかねず、映画館側としてはこのパターンの層の足を引き留めるための工夫が求められる。
新作映画などではしばしば舞台挨拶やインタビューなどが行われることがある。その様子はテレビなどで宣伝も兼ねて伝えられるが、やはり生の雰囲気にかなうものはない。しかしながらそれ自身を主目的として映画館へ来館する人はほとんどいないようである。
「テレビやラジオのCMの圧倒的な効果」「リピーターの多さ」「映画の視聴そのものをメインとする層以外に、映画視聴を目的では無く手段として映画館を来館する層が相当数いる」など、今件調査項目部分でも、昨今の映画館を取り巻く事情に関して、いくつかの現況を確認できる。
映画そのものに魅力があることは今も昔も変わらない。しかし周辺環境が大きく変化していることで、相対的な魅力が変わってしまっていることも否めない。作品や映画館そのものの質の維持向上はもとより、周辺環境の移り変わりに対応した対策が求められよう。
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