お金持ちほどオンライン!? 今年の米年末商戦の来店傾向を探る
2013/12/08 10:00
アメリカの大手民間調査機関【ギャラップ社】は2013年12月6日、アメリカの年末商戦(ブラックフライデー)における商品の購入店舗の選択傾向に関する調査結果を発表した。それによると年収が高い人ほどオンラインストアを使い、低い人ほどディスカウントストアや専門店を用いて商品を購入する傾向があることが分かった。男女別では女性の方がデパートやディスカウントストアを多用し、男性はオンラインをよく使う動きを示している(【発表リリース:In U.S., Wealthier Most Likely to Do Holiday Shopping Online】)。
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今調査は2013年11月7日から10日にかけてアメリカ合衆国内に居住している人を対象に、ランダムで電話番号を選択した1039人(固定電話と携帯電話はほぼ半々で割り当て)に対し、口述インタビュー形式で行ったもの。国勢調査の結果によるウェイトバックが実施されている。
アメリカの年末商戦は、感謝祭の翌日にあたる11月第4金曜日にクリスマス・年末商戦が始まることで、ようやく小売店が黒字になることから、ブラックフライデーと呼ばれている。ちなみにオンラインショップなどでは感謝祭明けの月曜日に売り上げが急増し、年末商戦がスタートすることからサイバーマンデーと呼称されている。
サイバーマンデーという言葉が使われ始めた2005年から数年間は、多くの人に鼻で笑われた状況ではあった。しかしインターネットが普及し、モバイル端末の浸透で多くの人が気軽にネット通販を利用できる環境が整備されるに連れて、オンラインショッピング市場も拡大。サイバーマンデーにおける盛況ぶりも年々規模が大きなものとなり、今では誰もその存在感を疑う者はいない。
今回ギャラップ社が調査の対象としたのは、今年のアメリカの年末商戦において、どのような購入ルートを用いるかというもの。オンライン、デパート、ディスカウントストア、専門店、カタログ通販と5つのルートを例示し、それぞれについて年末商戦のお買物で、どれ程使うかを「とてもよく使う」「それなりに使う」「あまり使わない」「全然使わない」の4選択肢の中から一つ選んでもらっている。次以降のグラフは、そのうち「とてもよく使う」の回答率を示したものである。
↑ 今年のクリスマスの買物に次のお店をとても良く使う人の割合(米、2013年11月、男女別)(複数回答)
男女別ではオンラインの利用に差はほとんどない。一方、デパートやディスカウントストア、カタログ通販では女性が高い値を示している。女性は多様なルートを介して商品を品定めし、購入していることが分かる。見方を変えれば、男性は女性と比べ、年末商戦の商品全体に占めるオンラインショップでの購入性向が強いということだ。
↑ 今年のクリスマスの買物に次のお店をとても良く使う人の割合(米、2013年11月、世代別)(複数回答)
世代別ではカタログ通販を除き、概して若年層ほど各ルートでの購入性向が高い。多種多様なルートを用い、積極的に購入している様子がうかがえる。一方でリアル店舗、具体的にはデパートやディスカウントストアにおける世代別変化と比べ、オンラインでのそれは非常に大きな差異を示している。これは実店舗への来店のアクティブさ以上に、普段からのオンラインショップの利用性向の違いが大きいことが要因。高齢者にとってはデパートへ足を運んで品定めをするより、オンラインショップで商品を選択して購入する方がハードルが高いのである。
また専門店もオンラインと似たような世代間格差が確認できる。これは商品購入時の面倒くささが高齢者に嫌われているのだろう。つまり一つ一つ専門の店で購入するより、デパートのような多種多様な商品が揃っている場所で、まとめて購入してしまいたというものだ。
↑ 今年のクリスマスの買物に次のお店をとても良く使う人の割合(米、2013年11月、世年収別)(複数回答)
最後は年収別。低年収ほどディスカウントストアや専門店を、高年収ほどオンラインやデパートを使うようになる。デパート・専門店・カタログ通販では年収による差異はほとんどないが、オンラインでは高年収ほど高利用、ディスカウントストアでは低年収ほど高利用という形で大きな差が出ている。前者はインターネットの環境整備状況や利用頻度による慣れの違い、後者は商品選択の際の重要視するポイント(価格の安さを最優先)、さらには普段良く使うか否かによって差が生じているものと思われる。
今件では詳細値は未公開だが、回答者の学歴による結果も出ているようで、その部分の説明によると「高学歴ほどオンラインを利用し、低学歴ほどディスカウントストアなどを使う」とある。ただしこれは直接学歴と関係するのではなく、「高学歴ほど高年収という相関関係が多分にあるため、年収の違いによる動きと似たような結果が出た」ものとレポートでは分析している。概してこの類の調査ではそのような動きが確認できるため、この推論も的外れなものではあるまい。
昨今ではスマートフォンの普及に伴い、オンラインショップを使う機会が加速度的に増加している。デパートやディスカウントストアが用いられなくなることはありえないが、今後さらにオンライン経由で年末商戦の買物をする人は増加し、サイバーマンデーにおける売上は跳ね上がるに違いない。
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