日本のアメリカ合衆国への親近感87.4%、対中親近感は悪化(最新)

2024/01/28 02:49

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2024-0121内閣府は2024年1月19日、外交に関する世論調査を発表した。その内容によると調査時点においてアメリカ合衆国への親近感を抱いている人は87.4%に達していることが分かった。去年の値87.2%と比べると0.2%ポイント上昇し、諸外国中では最高値の立ち位置にある。提示された選択肢の中では次いでヨーロッパ、東南アジア、韓国、インドが続いている。中国は前回調査から親近感は悪化したが、選択肢の中では最低値のロシアと比べれば高い値となっている。そのロシアへの親近感は前回調査からいくぶん上昇している(【発表リリース:外交に関する世論調査】)。

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今調査は2023年9月7日から10月15日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1732人。男女比は48.3%対51.7%、年齢階層別構成比は18-19歳1.1%・20代7.5%・30代11.6%・40代16.0%・50代17.6%・60代18.0%・70歳以上28.2%。なお調査方法について2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査以降では新型コロナウイルスの流行により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が以前の調査と比べて有意に少なくなっているなど)。

調査対象母集団に対し諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の4選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらい、その結果を集計したものが次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(2023年)
↑ 諸外国との親近感(2023年)

留意すべきは赤系統色の回答部分。「(どちらかというと)親しみを感じない」は回答者の心境的に「親しみの対象にならない」(無関心的な部分。「無回答」とは異なる)と「憎悪の対象となる」の2通りに解釈できる、あるいは可能性として存在すること。赤系統色の回答率が多い国・地域が、日本から「憎まれている」との解釈には必ずしもたどり着かない。単に好まれていない、親しみを覚える対象にはならないだけの話。

結果を見るとまず目にとまるのが、アメリカ合衆国への親近感の高さ。親しみを覚えない人は1割程度で、今回の提示された国などではもっとも少ない。これは元々同国との間には親密な関係が継続されていたのに加え、【対米89%、好感度もうなぎ昇り…対外国・震災対策評価】など複数の調査結果で明らかにされている通り、2011年3月の東日本大地震・震災における「オペレーション・トモダチ」をはじめとした、同国による大規模な救援活動の実態を見聞き、あるいは実際に支援を受けた結果によるところが大きい。

次いでヨーロッパが続く。青系統色が7割強。マイナスイメージでの情報伝聞が少ないのが要因だろうか。その次に東南アジアが続くが、各値はヨーロッパと類似している。

さらに韓国、インドが続くが、これらの国でも親しみを感じる派の方が多くなっている。

他方、中国やロシアのような、いわゆる(元)共産圏諸国との親近感は非常に低い。ロシアでは「親しみを感じない」の値がもっとも高いものとなっているが、これはロシアによるウクライナへの侵略戦争で生じた印象が大きく影響しているのだろう。

ここ数年大きな親近感が下落傾向にある中国と韓国だが、今回調査分(2023年実施)について前回調査分(2022年実施)と比べると、中国は減少し、韓国は増加を示している。中国の動きは日々報道される強圧的な対外姿勢と、ロシア寄りの外交姿勢の結果と考えるのが妥当ではある。韓国は逆で、前回調査時と比べると報じられ方が大人しくなってきたことによるものだろう。



好意的な選択肢「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を足した値を「親近感」と設定。そして今回調査分の2023年分と前回2022年調査分双方で選択肢として挙げられた国に関して、その変移を算出した結果が次のグラフ。細かい変移を参照できるよう、米中韓に限定してではあるが、詳細区分を再整理したものも併記する。

↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2023年における前回調査との差異、ppt)
↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2023年における前回調査との差異、ppt)

↑ 諸外国との親近感(対米中韓限定)
↑ 諸外国との親近感(対米中韓限定)

韓国とロシアが増加、アメリカ合衆国が微増、中国が減少。アメリカ合衆国の増加は統計上の誤差範囲とみてよいだろう。韓国とロシアの増加は、報道のされ方が大人しくなったからと考えるのが無難。そして中国の大きな減少は上記の通り、ロシアによるウクライナへの侵略戦争に対する姿勢や日本近海における侵略的施策が影響したものと思われる。

詳細は別の機会に解説するが、中国への親近感は低い値を記録し続けている。昨今の動向をかんがみれば、それもある程度納得ができてしまうものである。


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