スーパー、コンビニ、ファストフード…中食料理の食卓登場度を探る
2013/11/26 15:30
パルシステム生活協同組合連合会が2013年11月20日付で公式サイト上で発表した「家族の食卓に関する調査結果」には、多方面から家庭の食卓事情を推し量れる貴重なデータが盛り込まれている。今回はその中から、スーパーやコンビニなどの中食、例えばスーパーの弁当やコンビニの惣菜、ホットスナック(カウンター食品)が、どの程度食卓内に浸透しているかを確認できる値を精査し、現状を垣間見ることにする(【発表リリース:「家族の食卓に関する調査2013」を集計しました】)。
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今調査は2013年11月1日から5日に渡り、携帯電話を利用したインターネット経由で、20代から50代の既婚女性を対象として行われたもの。有効回答数は1000件、世代構成比は10歳区切りで均等割り当て。調査対象母集団中、子供を有する世帯は82.3%。調査機関はネットエイジア。
兼業主婦の増加や就労時間の長期化、コンビニなどの小売店舗の商用エリアの拡大、主に女性陣のライフスタイルの変化、さらには家族そろって食卓を囲む食事スタイルの見直し機運などに伴い、スーパーやコンビニのお弁当や惣菜を購入して自宅で食する「中食」が注目を集め、需要を高めつつある。それに伴い(あるいは後押しする形で)、特にコンビニではカウンターフーズ(揚げ物や中華まん、おでんのような、レジ周辺に置かれた食品群)をはじめ各種中食用食品に注力を注ぐ様子が見受けられる。
今回スポットライトを当てるのは、スーパーやコンビニ、そしてファストフードなど、中食を支える各小売・外食店の食材を、どの程度の頻度で食卓に上げているかについて。回答者が既婚女性、つまりほぼ全員が家庭の食卓を預かる立場にあることから、夫婦世帯における現状を表していると見なせる、貴重なデータといえる。
↑ 家庭で食卓に上がる頻度(スーパー編)
まずはスーパーだが、惣菜の需要が圧倒的に多い。ほぼ毎日使う人もいる程。ボリュームゾーンは週1から月2、3回で、週1以上で区切っても4割近い世帯で使われている。お弁当はやや低めでボリュームゾーンは月1。まったく使わない世帯も1/4近くに登る。一品追加という感じで食卓に用いるのならともかく、メインの料理としてスーパーのお弁当を使うパターンは、あまり好まれていないようだ。
↑ 家庭で食卓に上がる頻度(コンビニ編)
続いてコンビニ。過去のデータが無く経年変化が確認できないのが残念だが、スーパーと比べて利用率は惣菜、お弁当、そしてホットスナック共に低い。惣菜は比較的高い頻度で使われているように見えるが、それでも利用経験が無い世帯も半分近くに達している。昨今コンビニが力を入れているホットスナック(主に揚げ物系の食品。からあげやコロッケなどが好例)だが、思ったほどには(夫婦世帯の)食卓にはあがっていないようだ。お弁当の購入頻度は特に低いが、疲れて料理をするのが困難な時、興味関心を引くお弁当が発売された時など、イベント的にのみ買うということなのだろうか、月1から年1程度での購入世帯が比較的多い。
↑ 家庭で食卓に上がる頻度(その他編)
最後はファストフードやデリバリーフード。身近さという点ではコンビニとさほど変わりはないが、ファストフードが食卓に上がる機会はコンビニの食材より少なめに見える。ただし月2-3日や月1の利用頻度が多いことから、定期的に何らかの理由づけ(セットのオマケを手に入れるため、調理を休むため)で利用しているパターンが多々あることがうかがえる。イベント的にイレギュラーな使い方としてはピザなどのデリバリーフードが多いようで、数か月に一回程度の利用が多々見られる。
これらのグラフで各食材の中食としての利用性向は把握できるものの、概要的にパッと見で分かるデータが欲しいところ。そこで各期間の区切りの中央値を基に、概算値ではあるが年あたりの利用日数を算出したのが次のグラフ。
↑ 家庭で食卓に上がる頻度(年あたりの日数、概算平均)
スーパーの惣菜がもっとも多用されており、年50日近く。月に4日強の割合。次いでファストフードの頻度が高いのは(食卓に並ぶという点で)やや意外かもしれないが、これは多分に上記にある通り、月に1回から数回の頻度で使う人が多いのが要因。手を抜きたいがコストがかかりすぎるのも問題という点では、ファストフードが一番無難なのだろう。
以下ほぼ横並びでスーパーのお弁当・コンビニの惣菜が続き、やや頻度が下がってコンビニ弁当、コンビニのホットスナックが名前を連ねる。コンビニのホットスナックは1か月に1日も使われていない計算になる。
今件はあくまでも既婚女性の回答によるものであり、独身世帯は範ちゅうにない。調理の点でハードルが高い独身世帯では、もう少し各種食材の利用頻度は高いものと考えられる。とはいえ、特にコンビニ周りの利用頻度における、現状での食卓への浸透度を知るのには、十分な結果といえよう。
今後スーパー、コンビニがさらに中食に切り込みをかける中、食卓に並ぶ度合いがどのように変化をとげていくのか、注目していきたい。
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