運動を理解するための情報提供の充実、新聞やテレビの活用、学校教育の充実…北方領土返還運動の参加促進として望まれるもの(最新)
2024/01/27 02:40
内閣府では2024年1月12日に北方領土問題に関する世論調査の結果を公開したが、その内容によれば北方領土返還運動において、参加促進手法としてもっとも多くの人が重要視しているのは「運動をより理解するための情報提供の充実」だった。2/3近くの人が望んでいる。次いで「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題に関する情報の拡散」「北方領土の問題についての学校教育の充実」が続いている(【内閣府 世論調査一覧ページ】)。
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今調査の調査要件や北方領土そのものに関しては、先行記事【北方領土問題認知度99.1%、テレビ・ラジオ、新聞が主な情報源(最新)】を参考のこと。
先の記事にあるように、北方領土の返還を要求する運動が多様な手法で行われているが、参加意思を持つ人は1/3強でしかない。
↑ 北方領土返還運動に参加したいか(再録)
今件運動では、その中心となってきた元島民をはじめとした関係者が高齢化しており、新しい参加者と運動の継続・意欲の高まりが強く求められている。そこでどのようにすれば新たな参加者を運動に取り組むことができるのか、複数回答で聞いた結果が次のグラフ。最上位には「運動をより理解するための情報提供の充実」が65.6%でついている。
↑ 北方領土返還運動に関する活動に参加してもらうにはどのような取り組みが必要か(複数回答)(2023年)
トップの理由は見方を変えれば、現状では情報を提供する手段・機会が不足しているから、運動が理解されず、望んでいるほどの参加者が集まらなくなっていると認識されていることになる。情報を提供する手段の拡充、さらには提供される情報そのものの充実も求められよう。
次いで「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題に関する情報の拡散」。トップの理由よりも手段が具体化しており、新聞やテレビ、ラジオなどが情報提供のツールとして有益だと認識されているとも解釈できる。その次に「北方領土の問題についての学校教育の充実」とあるが、こちらは主に学校経由で子供達に知らしめるべき、つまり見方を変えれば現状では子供達への周知が不足しているとの結論によるものだと考えられる。
先行記事「北方領土問題認知度99.1%、テレビ・ラジオ、新聞が主な情報源(最新)」にもある通り北方領土問題の認知ルートとしてはテレビ・ラジオや新聞のような4マスが有効性が高く、学校の授業で知った人は32.5%にとどまっている。その上で学校教育の充実を求める声が第3位として入っているのは、「子供のうちから」との思いが強く反映されているのだろう。
「現状では全然足りない」との点では「ウェブサイトやSNSでの広報・啓発の充実」も上位の選択肢と同じ。特に認知ルートとしてはホームページやインターネットのニュースは16.4%、SNSは11.6%でしかないのにもかかわらず、「ウェブサイトやSNSでの広報・啓発の充実」について28.4%の人が必要と考えており、インターネットに対する期待が大きいことを表している。
他方、「気軽に参加できる広報啓発イベントの充実」「団体関係者などが一堂に会する大会の充実」のような、実際に足を運ぶ、日常生活の時間を新たに割くような行動の同意者は低め。「受け手にとって新たな負担となるようなものは避け、日常生活に溶け込むような負担の無い、軽い切り口でアピールすべき」との総意が透けて見えてくる。
特にインターネット関連の展開は重要と思われるが、同時に行政によるインターネットにかかわる「仕掛け」はピント外れ、旧態依然の手法をそのまま取り組んで大いに空振りする傾向が強い。海外の事例も参考にした上で、鼻で笑われないような手立てを講じてほしいものだ。
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