「ネット上に自分の写真がある」2/3、若年層は9割…米プライバシー公開事情
2013/11/07 14:45
アメリカの大手民間調査機関【Pew Research Center】は2013年9月5日付で、同国内のインターネットを利用する時のプライバシーやセキュリティに関わる調査報告書【Anonymity, Privacy, and Security Online】を公表した。それによると調査対象母集団のうちネット利用者では、2/3の人が自分自身の姿を映した写真がネット上に掲載されていると回答した。誕生日は半数、実名記載のコンテンツは4割近くに登る。若年層は概して自らのプライバシー情報への公開率が高く、例えば自らの写真は9割に及んでいる。
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今調査に関する調査要件は先行する記事【2/3が「クッキーや履歴削除」…米ネット活動でのプライバシー保護行動】で確認のこと。また別記事でも解説しているように、インターネット利用者においては若年層ほど自分の本名やハンドルネームなどで投稿する傾向がある。
↑ 創作物投稿の際にどのような名を使うか(世代別)(米、2013年7月、インターネット利用者限定)(再録)
それでは実のところ、自分自身のプライバシー的な情報がどれほどネット上に公開されているのだろうか。これは本人の投稿による公開以外に、第三者が間接的に公開し、それを知っている(承認している)ものも含まれている。
↑ インターネット上に自分に関する次の項目が掲載されている(世代別)(米、2013年7月、インターネット利用者限定)
もっとも多いのは「自分自身の写真」で66%。Facebookでは自分の肖像画の掲載が原則となっており、そのために掲載している人が多いものと考えれば道理は通る。またYouTubeや海外の掲示板でも、自前の写真(色々と書き足したりコスプレをしているものもあるが……)をプロフィールアイコンに使う人は多い。ただし自分を映した動画の掲載は21%に留まっている。動画投稿者自身がさほど多くないことを考えれば、当然の話。
誕生日は50%。実名が記されたコンテンツは4割近く。誕生日にしても実名にしても、個人がある程度特定しうるプライベートな情報であるだけに、案外多くの人が公開しているのに驚く人も少なくあるまい。
世代別に見ると、今回取り上げられた項目では概して若年層の公開率が高い。自分が望んでいる情報の開示には積極的であることは、すでに以前の記事で触れている通りなので、「これ位なら」と認識しているのだろう。もっとも若年層なら「誕生日」で歳が明らかになってもあまり問題となるような、恥ずかしい想いをすることはないだろうし、「自分が所属する団体等」が暴露されても学校名ならば大きな問題にはなりにくい(大人で所属企業名が明らかになると、何かあった際には企業全体の責任問題に発展し、解雇されるリスクが生じる)。
一方、詳細値が公開されていないのでグラフには反映していないが、報告書では「若年層では実住所の公開率が、上の世代と比べると低い。若年層では15%でしかないが、それより上の世代では3割を超える」「自宅の固定電話番号の公開率も若年層の方が低い」と報告している。現住所の公開率が若年層で低いのは、保護者に止められていることや、犯罪リスクを考慮してのものだろう。
後者に関しては、そもそも論として若年層は固定電話を有さずに携帯電話のみで電話を使っているから、公開できない事例が多いのは当然の話とも説明している。確かに【米電話普及率推移】にもある通り、若年層ほど「電話は携帯電話のみ」の人が多い。
↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境「携帯のみ」の回答率(米、年齢階層別による回答)(-2012年下半期)(再録)
無いものは公開のしようがない。当たり前の話だが、この解説ならば納得がいくというものだ。
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