実名やハンドルネームで投稿する? 米ネット利用者の名前利用

2013/11/07 11:30

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米民間大手調査機関【Pew Research Center】は2013年9月5日付で同公式サイトに、同国内のインターネットを利用する際のプライバシーやセキュリティに関する調査報告書【Anonymity, Privacy, and Security Online】を掲載した。その内容によれば調査対象母集団のうちネット利用者では、ほぼ半分が自分の創作物などを投稿する際に、実名を用いたことがあると回答した。ハンドルネームを使った人もほぼ同率、匿名による投稿は1/4に留まっている。世代別では若年層による実名・ハンドル名による投稿率が高い傾向が確認されている。



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今調査に関する調査要件は先行記事の【2/3が「クッキーや履歴削除」…米ネット活動でのプライバシー保護行動】にある通り。その記事で解説しているが、自分の意図しない範囲でのプライバシーの漏えいを防ぐための手立ては、若年層の方が積極的に行っている。

↑ プライバシー保護のためにしていること(米、2013年7月、インターネット利用者限定)(世代別)(再録)
↑ プライバシー保護のためにしていること(米、2013年7月、インターネット利用者限定)(世代別)(再録)

それでは自分の意志で実名などを展開する事例はどれほどあるのだろうか。コメントや記事、画像や動画などインターネット上への創生物を投稿する際の、投稿主としての三つのパターン「実名」「ハンドルネーム(常用していて第三者から特定人物(実名に非ず)と認識される)」「匿名(不特定多数として。例:名無しさん)」を挙げ、それぞれの事例の経験の有無を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 創作物投稿の際にどのような名を使うか(世代別)(米、2013年7月、インターネット利用者限定)
↑ 創作物投稿の際にどのような名を使うか(世代別)(米、2013年7月、インターネット利用者限定)

実名投稿経験者は5割近く。これは世代差がほとんどない。大きな違いが生じているのはハンドル名の利用。若年層は7割を超えるが中堅層は4割前後、高齢層では2割程度に留まる。また匿名は若年層が4割で、高齢層は1割にも届かない。

この動きから分かることは、先の「2/3が「クッキーや履歴削除」…米ネット活動でのプライバシー保護行動」でも触れているが、若年層、つまりネット世代は「自分が意図しない情報への秘匿性向が強い一方、公知したい自分の情報はより積極的にアピールする」姿勢を示していること。要は情報開示がいかなるものか、どのような効用を示すかを良く知っていることになる。

また、若年層に限れば実名よりもハンドルネームの方を多用している点も興味深い。実名を挙げてリアルな世界での知名度を上げるより、ネット世界での存在を底上げしたい、あるいは現実とネット上での存在を完全に分離して考えているのかもしれない。

一方、注意しなければならないのは、今件が「投稿者対象」ではなく「インターネット利用者対象」であること。実名にせよハンドルネームにせよ匿名にせよ、まずは投稿機会が無ければ使えない。例えば【増える米自作写真・動画投稿者、若年層は8割を超える】で解説しているが、自作写真や動画の投稿は、概して若年層の方が多く行っている。

↑ 自作写真・動画投稿者(米、インターネット利用者限定)(再録)
↑ 自作写真・動画投稿者(米、インターネット利用者限定)(再録)

投稿する人の割合が高ければ、当然どのような名前を使うにせよ、回答率は上昇する。高齢層のハンドル名・匿名利用率が低いのは、投稿率そのものが低いのも一因であることを考慮すべきである。

もっとも「実名」「ハンドル」「匿名」の3パターンに限定し、投稿事例におけるそれぞれの比率を試算すると、若年層では「実名3割強、ハンドル4割強」、高齢層では「実名6割近く、ハンドル3割」となる。やはり若年層の方がハンドルネームを多用していることに間違いはなさそうだ。


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