やっぱりね・じわじわ増える「今後も電子書籍をメインに使いたい」

2013/11/02 10:00

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ライフメディアのリサーチバンクは2013年10月30日、読書に関する調査結果を同公式サイト上で公開した。今調査は2013年だけでなく、2010年以降毎年ほぼ同じ時期・条件下で同様のものが行われており、複数項目で経年変化を確認することができる。そこで今回は電子書籍(今件では書籍を電子化したものだけでなく、雑誌や漫画の電子化したものも含む)の利用者における、今後の読書におけるメインとなる媒体の選択、要は「紙か電子か」の傾向変化について見ていくことにする(【直近分の発表リリース:読書に関する調査】)。



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今調査のうち直近のものは2013年10月18日から23日に渡りインターネット経由で、10代から60代の男女を対象に実施されたもの。有効回答数は1200件。男女比や世代構成比(10歳区切り)で均等割り当て。過去の調査もほぼ同様の条件下で実施されている。

先に【この4年間の電子書籍利用者推移を探る】で伝えたように、2013年のみ「直近一年間限定」と設問に条件が加わったためやや対象者率が減ってしまったものの、概して電子書籍の利用者率は上昇する傾向にある。電子書籍そのものの冊数増加に加え、専用端末や利用が容易なモバイル端末、具体的にはスマートフォンやタブレット機の急速な普及が大きな後押しとなっている。

↑ 電子書籍を利用したか(2013年のみ「過去一年間」の条件付き)(再録)
↑ 電子書籍を利用したか(2013年のみ「過去一年間」の条件付き)(再録)

それではこれら電子書籍利用者に対し、今後読書について、紙の本と電子書籍のどちらを主に使いたいか、と尋ねた結果が次のグラフ。要は【電子書籍利用者に聞きました「今後、紙と電子どちらを主に使いたい?」】の経年変化版という次第。

↑ 今後、紙の本と電子書籍、どちらを主に利用したいか(電子書籍を利用した人限定)(2013年は直近1年間での利用者限定)
↑ 今後、紙の本と電子書籍、どちらを主に利用したいか(電子書籍を利用した人限定)(2013年は直近1年間での利用者限定)

上記にある通り2013年に限り直近1年間での利用者となっており、2012年までと比べてより一層電子書籍に対する思い入れ・親近感が強く(2012年までは「この1年ほどは使っていないが、昔使ったことがある」人も回答対象者となっている)、その分電子書籍寄りの回答が出ている可能性がある。それでも2012年と比べて「紙派」の比率にほとんど変化は無い。電子書籍を使っても、現時点の環境では紙の本を優先する人が多数の状況に変化は無いようだ。

一方、「電子派」は毎年確実に、少しずつではあるが増加の傾向にある。2010年時点では6.0%に過ぎなかったが、2013年では2倍以上の14.4%にまで伸びている。他の回答項目との関連を見ると、当初は「紙派」の減少分を「同じ位」と分け合っていたような状況だったものが、ここ一、二年では「同じ位」のシェアを削り取る感がある。

電子書籍周りの実情、利用している人の声に耳を傾けると、もっと多用したいのは山々だが、電子書籍の利点であるはずの「コストダウンによる低価格化」「スピーディーな出版」「ラインアップの充実性」などの点において、望む状況には程遠い現実があり、紙の本をメインとせざるを得ないとの意見が多い。このあたりの事情は、例えば【電子版の新聞購読率は6.5%、有料版に限れば2%足らず】で解説したように、同じく紙と電子の間でつばぜり合いが起きている新聞と似たような状況にあるといえる。

多分に時代の流れ、過渡期における問題点の露呈といえるが、今後は確実に電子書籍利用者が増加していくに違いない。また先日、絶版配信サービスのJコミが試験運用を開始した、掲載上の作品をオンデマンド印刷で紙の本として販売する【Jコミで印刷できるってよ(ブログ「(株)Jコミの中の人」)】のように、「電子書籍の浸透が紙の本の促進をも促す」仕組みも開発・展開されることで、紙の本と電子書籍がシェアを奪い合うのではなく、お互いが読者を拡大していくような仕組みも広まっていくことだろう。



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