契約社員5割・パートやアルバイトの3割は「正社員に成れなくて仕方なく」
2013/10/27 14:00
連合は2013年10月24日、有期契約労働者(非正社員)に関する調査結果を発表した。それによると契約社員・パート・アルバイトから成る調査対象母集団においては、自ら進んで非正社員となった人は約半数、正社員になれなくて仕方なくなった人は1/3強であることが分かった。また今後、正社員になりたい人は約4割だが、「元々正社員を希望していたがなれなかった人」に限ればほぼ3/4に達している。正社員の立場を望んだが非正社員に成らざるを得なかった人の多くは、現在でも正社員化を強く望んでいるようだ(【連合:世論調査一覧ページ】)。
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正社員になりたくて、でもなれなくて
今調査は2013年9月14日から23日にかけて、週20時間以上労働する民間企業の有期契約労働者(非正社員)のうち、契約社員・パート・アルバイトを対象に、携帯電話を利用したインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。国勢調査の職業等基本集計結果の性年代構成比を基に割付している(男女比は1対3)。調査実施機関はネットエイジア。
今調査対象母集団、つまり非正社員を対象に、有期契約で働くことになった状況・理由を聞いたところ、全体では「自ら進んで」は51.0%、「正社員になりたかったがなれなくて仕方なく」が35.1%となった。半数は自分の意志で非正社員となったものの、1/3強は望まない形での就業状態にあることが分かる。
↑ 気持ち・考えはどちらに近いか「A:自ら進んで」「B:正社員になれなくて」(有期契約で働くことになった状況)
これを雇用形態別に見ると、パート・アルバイトでは自ら進んで就いた人は60.9%となり、ほぼ3/5に達している。これは多分に中堅女性・兼業主婦によるパートやアルバイトの事例が該当するものと考えられる。就業にあてられる時間の都合や、スケジュールの自由度の点で、パートやアルバイトの方が有りがたいという次第。
他方契約社員(嘱託、臨時社員)では47.6%が正社員による就労を希望していた、現在の非正社員という立場は望んでいなかったと答えている。自ら望んで非正社員として働いている契約社員は32.4%。パートやアルバイトと比べると半分程度の割合でしかない。
仕方なく非正社員、でもやはり正社員になりたい
それでは今後、現在の非正社員の立場のままで働き続けたいか、それとも正社員になりたいか、希望するこれからの就業上の立場について聞いたところ、全体では37.5%が「このままで良い」、40.7%が「正社員になりたい」と回答しており、正社員としての立場的格上げを望む人の方がわずかに多い結果となった。
↑ 気持ち・考えはどちらに近いか「A:このままでよい」「B:正社員になりたい」(今後の働き方の希望)(有期契約労働者になった状況別)
「全体」ではやや正社員への転換希望派が多いが、現状の非正社員の立場についた事情別ではほぼ正反対の結果が出ている。自ら非正社員にある人(上の解説の通り、多分にパートやアルバイトの女性だろう)は大半が現状維持を望み、正社員になることを望むのは2割にも届かない。
一方、正社員を望んでいたが仕方なく非正社員の人は73.5%もの人が正社員への道を希望している。正社員への願望を持ち、その夢を果たせずに非正社員にいる人の多くは、今なお正社員になることを強く(48.1%)望んでいることになる。
見方を変えれば「正社員を希望したが果たせず、仕方なく非正社員の立場にある人の3/4は、現状の就業状況を良しと思っていない、転職なり就労状態の転換を望んでいる」。当然、仕事の上でのモチベーションも上がりにくい。
具体的には別の機会で解説するが、同じ非正社員でも「自ら進んでその立場に居る人」に比べ「正社員になれなくて仕方なく」の人の方が、今の仕事のやりがいを感じる人は少なく、職場に対する不満も多い。これでは効率的な成果を求めるのは難しい。
非正社員という就業状態は雇用の需給によるところが大きいが、仮に労働力の点で同じ人的リソースが得られたとしても、内情的・士気面では問題を多く抱えることとなる。雇用する側はその点を十分配慮する必要があり、例えば正社員化を望む非正社員には、その門戸を開く制度を整備するなどの対応が求められよう。もっとも先の労働契約法の改正で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合、労働者が申込むことで、期間の定めのない労働契約、つまり無期労働契約に転換できるようになってはいるのだが……。
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