「好きにテレビ観ていいよ」は3割止まり…乳幼児のテレビ視聴事情

2013/10/28 08:45

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NHK放送文化研究所は2013年9月4日付で同所公式サイトにおいて、「2013年幼児生活時間調査」の概要を発表した。その内容によれば、乳幼児にテレビ視聴の制限を設けている保護者(母親)は6割強で、自由にテレビを観せているのは3割でしかなかった。また、母親のテレビ視聴時間と乳幼児のそれとの間には相関関係があることが確認できる結果が出ている。母子共にテレビ観賞をする事例が多いものと思われる(【NHK放送文化研究所:世論調査一覧ページ】)。



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制限なしは31%、過去と比べるとやや減少中?


今調査は2013年3月3日から4日に渡って、首都圏に居住する0歳4か月以上就学(小学校入学)前の幼児を対象としたもの。調査票配布回収法で実施された結果を集計し、その概要が公開されている。記入は乳幼児本人では不可能なので、その保護者が行っている。有効回答数は985人。

先に【進む乳幼児のテレビ離れ、10年間で30分強減少】などで今調査対象母集団における乳幼児のテレビ視聴動向を精査した。今回はそれに対する保護者(母親)の姿勢について見ていくことになる。まず最初は、保護者が子供にテレビ視聴に関する制限をしているか否か。制限方法として容易に想定される選択肢、そして無制限を挙げ、どれか一つを選んでもらった結果が次のグラフ。

ちなみに設問を見る限りでは「テレビを見る」行為は据え置き型のテレビに限らず、携帯テレビ、スマートフォンなどのワンセグによるものも含まれると考えて良い(据置テレビの視聴は制限ありだが、ワンセグ経由なら無制限という視聴制限は、常識的に考えれば道理が通らない)。

↑ 乳幼児に対するテレビ視聴制限の有無(択一)
↑ 乳幼児に対するテレビ視聴制限の有無(択一)

制限方法としては「時間のみ制限」「時間と対象番組の制限」がほぼ同程度で、やや番組まで制限する方が多いという程度。時間は無制限だが番組のみを制限するという事例は少ない。制限派としては時間と内容双方、やや内容の方をより強く気にかけているようだ。さらにはテレビそのものを封印するという保護者もわずかながらいる。2013年においては5%、20人に1人の割合である。

経年変化を見ると過去の調査と比較して「制限なし」派が減り、番組への制限を強化する動きがみられる。一つ前の調査ですら10年前なので、短期間の動向を推し量ることは出来ないが、番組の質に対する保護者の懸念は大きくなっているように見える。「テレビ封印」派が漸増しているのも、それが一因なのだろうか。

母子で共にテレビを観るから? 母親と子供の視聴時間に連動性


子供の2/3ほどに対して何らかの視聴制限を設けている保護者(母親)だが、自身も当然その多くはテレビを観ている。そこで母親のテレビ視聴時間で区分した上で、子供の平均視聴時間を見たのが次のグラフ。

↑ 乳幼児のテレビ視聴時間(母親の視聴時間別・月曜)(分)
↑ 乳幼児のテレビ視聴時間(母親の視聴時間別・月曜)(分)

母親のテレビ視聴時間が長くなるに連れて、子供のテレビ視聴時間も長くなる。今回の公表資料では具体的な値は公開されていないが、設問には保護者のテレビ視聴の解答欄に「母テレビ」以外に「母子テレビ(調査相手の子供と一緒にテレビを観た時間)」が確認できる。母子が一緒になってテレビを視聴した時間が多分にある結果、両者に連動性が生じているものと考えられる。

また経年別に見るとこの10年間でいずれの時間区分でも2割前後の減少がみられる。これは上記の「進む乳幼児のテレビ離れ、10年間で30分強減少」で記した通り、乳幼児のテレビ離れが進んでいることによるものと考えられる。



子供が接するメディアの多様化・高機能化に伴い、テレビへの相対的な価値観は下げられ、視聴時間は減少している。また質的な問題からか、保護者による制限も厳しいものとなりつつある。しかしそれでもなお、母子にとって共にテレビを観る時間は、有意義な娯楽、コミュニケーションの機会の一つであることに違いはないようだ。


■関連記事:
【子供の「テレビ漬け」を避けるための保護者向けヒント】
【子供の「テレビ観過ぎ」が引き起こしかねない問題とは】



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