4割視聴・2割が投稿…米携帯保有者の動画事情を探る
2013/10/23 11:30
米大手調査機関【Pew Research Center】では2013年10月10日に同社公式サイトで、同国内のインターネット上における動画視聴の動向調査報告書【Online Video 2013】を公開した。その内容によれば調査対象母集団のうち携帯電話(一般携帯電話(フィーチャーフォン)とスマートフォン双方を含む)の保有者の4割が、その携帯電話で動画視聴をしていることが分かった。動画保存もほぼ同率の人が行っている。さらにその携帯で動画を投稿する人も2割に達していた。若年層に限れば4割近くが携帯での動画投稿経験があるとしている。
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今調査の調査要件については先行記事【米ネット利用者の7割は動画視聴、若年層なら9割を超える】に詳細を説明しているので、そちらで確認のこと。
先の記事【米ネット利用者の3割は動画投稿経験あり、2割近くは自作動画をアップ】にもある通り、インターネット利用者の18%、調査対象母集団全体比では1割強が、(端末を問わず)自作動画をインターネット上にアップロードして公開している。それなりに動画に関して積極的な行動意欲が見受けられる。
↑ 動画アップロードの行動性向(米、2013年7月、インターネット利用者対象)(再録)
それではこの数年、急速にスマートフォンが普及することで大きく変貌を遂げた携帯電話周りの動画事情は、どのような状況となっているだろうか。次のグラフは携帯電話保有者(調査対象母集団の90%)に尋ねた結果。機動力の高さ、画質や処理能力の高性能さ、そして何よりも再生だけでなく、録画と投稿まで1つの端末で可能という手軽さは、動画利用者には大いにプラスとなっている。
↑ 携帯電話での動画関連行動性向(米、2013年7月、携帯電話保有者限定)
携帯電話保有者の4割が、その携帯を使って動画を視聴し、保存(と非通信下での再生や他端末への転送、あるいは転載)を行っている。多分にスマートフォンでの実行と考えられるが、携帯電話は半ば携帯テレビ的な使われ方をしているともいえる。
他方、投稿意欲も旺盛。全体では2割が自前の携帯で動画を投稿していると答えている。直前の回答項目「動画保存」で保存した動画を転載する場合もあるが、むしろ機動力を活かしてさまざまな現場で撮影した動画を投稿する事例が多いのだろう。
現場で直に体験したことをそのまま動画で伝えるという、まるで報道記者のような所業を動画投稿で行う。あるいは説明用の画面写真のように動画を撮影して掲載する。気軽にマルチメディアを用いるという観点で、携帯電話(特にスマートフォン)は大きな役割を果たしている。
中でも後者「画像のようにお気軽動画撮影と投稿」については、その需要に目を付け、ツイッターが今年1月から始めた新サービス「Vine」に注目しておきたい。これはスマートフォン用の無料アプリで、最長6秒間の動画を撮影し、編集し、投稿できるもの(ツイッターやFacebookで共有できる)。
↑ CNETによるVine解説動画。写真感覚で動画を撮影し投稿できるのが分かる。:CNET How To : Get started with Vine
世代別ではスマートフォン所有の有無も大きく関係していることもあり、若年層の方が動画行動性向が高い。特に若年層では7割が視聴、6割強が保存、そして4割近くが投稿しており、きわめて積極的な姿勢が見受けられる。
学歴別・年収別では連動性も合わせ、高学歴・高年収ほど押し並べて行動意欲が旺盛。一因として世代別同様にスマートフォンの所有性向があるが、他にも動画の必要性、環境整備の程度なども要因として挙げられる。特に高年収層では3割が動画投稿を行っており、その意欲の高さが把握できる。
今後スマートフォンがさらに普及し、動画関連サービスとソーシャルメディアの連動性が注目されるに伴い、携帯電話による動画の視聴・投稿はますます活性化していく。無論それに伴い、新しいサービスや流行、風潮が沸きあがり、また問題点も生じていくものと考えられる。
ともあれ、総携帯電話保有者による「映像記者時代」はすでに到来している。今後世の中がどのような動きを示していくのか。Pew Research社による動画関連周りの継続データを確認しながら、その動きを追いかけていきたい。
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