「ハッカー」の本当の意味知ってる? 本来と異なる意味で多用される言葉トップ10
2013/10/21 11:30
小学館は2013年10月15日、同社発行の国語辞典「大辞泉」編集部調査の結果として、「間違った意味で使われる言葉ランキング」「言い間違いされる言葉ランキング」を発表した。それによると、「普段よく使われる意味」が「本来の意味」とは異なる(つまり誤用されている)言葉の最上位についたのは「ハッカー」だった。本来の意味「コンピューターやインターネットに詳しい人」で使っていたのは13%足らずなのに対し、本来とは異なる意味「コンピューターに侵入し、不正行為を行う人」の利用者は78%にも達していた(【発表リリース:間違った意味で使われる言葉ランキング 第1位は「ハッカー」と判明】)。
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今調査は2013年9月20日から23日にかけて15歳以上の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1200件。男女比、世代構成比(15-19歳、20代、30代、40代、50代、60歳以上)は均等割りあて。
誕生の古い新しいを問わず、言葉の意味は使用されていく過程でさまざまな理由により、本来・従来の意味とは異なる意味合いを有し、使われ方をしていく事例がある。有名人が間違って使ったのをきっかけにして、報道が誤解釈で用いたのがトリガーとなり、その言葉と関連性のある事件やイベントが元で新たな意味が誕生するなど、まさに言葉の数だけ歴史と意味の変遷は興りうる。
今件では50の言葉を例示し、それぞれに「本来の意味」と「本来とは異なるが良く使われている意味」の2事例を提示し、「回答者が良く使う内容・意味」を答えてもらっている。そして後者、「本来とは異なるが良く使われている意味」の回答率が高い言葉上位10個を、その回答率と共にグラフ化したのが次の図。
↑ 次の言葉を普段どのような意味で使っているか(本来の意味は問わず)(良く見かける、本来と異なる意味の回答率が高い事例・上位1-5位と6-10位)(赤着色棒が本来の意味)
もっとも誤用されている言い回しは「ハッカー」。冒頭にもある通り、本来は単なるデジタル系技術に長けた人を意味していたのだが、昨今ではその技術を用いて悪いことをする人のように用いられている。新聞やテレビなどの各メディアでも概してその使われ方がされているが、本来はその意味で用いるのは「クラッカー」である。
第二位の「確信犯」も「ハッカー」同様、誤用がされやすい言葉。意味は正反対となるので注意が必要である(誤用の場合は「悪い事を認識している」のに対し、本来の意味では「自分は悪い事はしていない、正しい事をしているとの認識」の上での行為となる)。
また第三位以降も「破天荒」「姑息」「失笑」など、普段良く用いられているものの、実は本来の意味とは異なる意味合いで良く使われている・使っている言い回しが多い。多くはインターネット上の言葉のやり取りでも利用されるもので、意志疎通上で齟齬をもたらすリスクも生じてしまう(50の選択肢の中には無いが「苦笑」もインターネット上では良く間違われた意味で使われる言い回しである)。
リリースでは国語辞典「大辞泉」編集部の立場として、「言葉はそれ自身も意味も時代によって変わっていくのも事実であり、今件で『本来とは異なる言い方』の内容も、必ずしも間違いとは言い切れない場合もある」と説明している。例えば最上位の「ハッカー」の場合、今やデジタル技術に長けた人を褒め称える意味で「ハッカー」と呼んでも、相手が本来の意味で受け取って喜ぶ人はほとんどいないだろう。むしろ呼ばれた本人だけでなく周囲の第三者も含め、顔をしかめるに違いない。
どのあたりまでが「本来の意味」を重要視すべきなのか、それとも「現在使われている意味」で使うべきなのかは判断に迷うところがある。誤解を招きかねない文脈の中で、あるいは誤解されると後々困るような場面では、十分注意を払う、あるいはあえて使用を避けるのが無難かもしれない。
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