米ネット利用者の7割は動画視聴、若年層なら9割を超える
2013/10/14 14:00
アメリカの大手調査機関【Pew Research Center】は2013年10月10日、同国内のインターネット上における動画視聴の動向を調べた報告書【Online Video 2013】を公開した。それによると調査対象母集団のうちインターネット利用者においては、72%の人が動画共有サイトで動画を視聴していることが分かった。30歳未満の若年層に限れば92%に達している。またSNS(ソーシャルメディア)やモバイル端末経由で動画を視聴する人は56%、さらに後程視聴するためにパソコンやモバイル端末に動画ファイルをダウンロードする人は36%にも登っていた。
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YouTubeなどの動画共有サイトの利用率はネットユーザーの72%
今調査は2013年7月25日から28日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対し、英語による電話経由でのインタビュー形式にて行われたもので、有効回答数は1003人。そのうち固定電話による回答は501人、携帯電話による回答は502人(固定電話非保有者は230人)。インターネット利用者は781人(78%)。
インターネット端末自身の高性能化、インフラの整備によるブロードバンド化、動画配信技術の進歩と提供サービスの増加に伴い、インターネットで動画を視聴する行動は、ごく普通の、それこそ普通の静止画像を観るのと同じ感覚で行える様式と成りつつある。特に2005年からサービスを開始したYouTubeをはじめとする、動画共有サイトの影響は大きい。
まず最初に確認するのは、その動画共有サイトで動画を視聴しているか否か。全体ではインターネット利用者のうち72%が動画共有サイト(YouTubeやVimeoなど)で動画を視聴している。これにはパソコン以外にモバイル端末も含まれる。概算すると米成人の5割強がインターネットの動画共有サイトで動画を視聴していることになる。
↑ 動画共有サイトで動画を視聴(米、2013年7月、インターネット利用者対象)
世代別に見ると、若年層ほど視聴率は高く、30歳未満に限定すれば実に9割を超える人が動画共有サイトを利用している。とはいえ、50歳以上でも(インターネットを利用しているという前提があるが)半数が利用していると答えており、動画共有サイトの汎用性の高さがうかがえる。
学歴別、世帯年収別ではいくぶんぶれがあるものの、概して高学歴・高年収の方が視聴率は高い。インターネットを利用できる状態には違いないが、その環境の中身(回線品質や端末の機能)の差異が、利用のしやすさとなって現れ、それが利用動向に反映されているのだろう(そして概して学歴と年収は連動していることを忘れてはならない)。
動画を落とす人は4割近く
動画の視聴を別の視点で見た結果が次のグラフ。具体的には「ソーシャルメディア上やモバイル端末上で観た人」「後で視聴するために、自分のパソコンやモバイル端末上に動画を落としている人」の割合である。
↑ 動画関連の行動性向(米、2013年7月、インターネット利用者対象)
今やもっとも動画視聴のスタイルとして普及している「動画共有サイトでの視聴」と比べれば率は低めだが、それでも5割超の人がソーシャルメディア経由などで動画を観ている。また、ストリーミングではなく、後で繰り返し自前の端末で観るために、動画を落としている人も36%ほど確認できる。
動画のダウンロード率だが、世代別では50歳未満まではほぼ変わらず4割強、50歳を過ぎると2割に急減する。後程繰り替えし観るほどの強い関心を抱いていないのか、あるいはダウンロードと再生のプロセスが面倒なのかもしれない。
また、学歴・年収別では高卒以下においてソーシャルメディア経由・動画のダウンロード共に低い値を示すものの、それ以外の属性では差異はあまり無い。高年収が幾分高めかな、という程度である。低学歴の場合は、動画共有サイト以外の経由で、あるいは一度ダウンロードしてまで繰り返し視聴するほどの興味を抱く動画があまり無いのかもしれない(エンタメ系の動画は概して一度観れば満足してしまう。娯楽として割り切って視聴しており、同一ジャンルのものは次から次へと新作が登場するため、こだわりを持つ必要が無いからである)。
いずれにせよ、アメリカではすでにネット利用者の7割、全体では5割強が動画共有サイトを用い、ネット利用者の5割強がソーシャルメディアやモバイル経由で動画を閲覧し、4割近くが動画のダウンロードをしている。インターネットを楽しむ切り口の一つとして、動画が大いに浸透していることは間違いない。そして今後スマートフォンの浸透に連れて、動画視聴率はさらに高まりを見せるのも、ほぼ確実といえよう。
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