使えないけど使いたい、その時助けは必要? 米国インターネット非利用者事情
2013/10/11 08:45
アメリカの大手調査機関の一つ【Pew Research Center】は2013年9月25日付で、同国内のインターネットの「非」利用状況における調査報告書【Who’s Not Online and Why】を公開した。それによれば同国成人の15%はインターネットを利用していない状況が明らかになった。そしてその人たちの2/3近くは、「仮にネットにアクセスしたくなった場合、誰か他人の助力が必要である」と答えている。多分にノウハウ不足がインターネット非利用者におけるハードルとなっていることがうかがえる。
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今調査の調査様式などは先行する同調査関連の記事【米成人の非ネット利用率15%、高齢者なら4割を超える】を参考のこと。その記事で解説した通り、今調査対象母集団では85%の人がインターネットを利用している。つまり15%はインターネット非利用者。その非利用者の主な理由を聞いたところ、「興味が無い」「時間の無駄」「忙しすぎる」などで構成される「自分に合わない」とする意見が1/3強を占め、「難しすぎる」「歳を取りすぎた」「やり方が分からない」などの「利用上の問題」が1/3近くを占めていた。
↑ なぜインターネットをしないのか(しない人限定)(米、2013年5月、最大理由)(大まかなまとめ区分)(再録)
これらの「インターネットをしていない人」の中にも、何らかの必要に迫られてネット上で無ければ出来ないことをしたい、せざるを得ない場面は起きてくる。例えばテレビを観ているとインターネット経由で無ければ応募できない懸賞があったとか、ネット上の公的機関のデータベースでないと取得できない値が必要不可欠な仕事を任されたなどが良い例である。あるいはネット上限定の「俳優自らが撮影したプライベート映像」の視聴もネットアクセスの動機になるかもしれない。
そこでネットは使っていない・使えないので、家族や友達にネット上での作業を代わりにしてもらうようお願いをした経験があるか否かを聞いたところ、過半数は「一度も無い」と答えていた。見方を変えれば4割強は「自分はネットを使っていないが、使いたい・使わざるを得ない場面があり、代わってやってもらった」経験を有していることになる。
↑ これまで友達や家族に、インターネット上で調べものや何かの作業をしてもらうようお願いをした経験はあるか(米、2013年5月、インターネット非利用者限定)
自分の願望を満たすためか、仕事などで仕方なくか、理由は多種多様。それでも4割近くは「必要性の点で、使えるのならばインターネットを使いたい」と考えている人がいることを示唆する結果ともいえる。
それでは仮に、今は使えなくとも将来インターネットを使う機会が生まれた時、あるいは(今はすでに環境などは整っているが、やる気が無くて離れているものの)使いたくなった時、誰か他の人の助けは必要だろうか。
↑ 将来インターネットにアクセスしたくなった場合、誰かの助けは必要か(米、2013年5月、インターネット非利用者限定)
63%が「自力では無理。スキルを持つ人の助けが必要」と回答している。現在インターネットを利用していない人の多数は、技術的困難さがハードルの一つとなっていることが分かる。
一方17%は「十分知識があるので自分自身で大丈夫」と答えている。この自信が事実に裏付けされているか否かはさておき、知識があるにも関わらずインターネットにアクセスしていない人も2割近く居ることがうかがえる。パソコンを持っていなかったり、時間が足りないのが主要因だろう。あるいは回線などのインフラ問題も関係しているのかもしれない。
他方13%は「インターネットをするつもりはない」と回答している。今後気変わりが生じるかもしれないが、現時点ではネット非利用者のうち13%は「金輪際利用はしない」との意思を持っていることになる。見方を変えれば無回答も合わせて計算すると、「現在インターネットを利用していない人のうち約8割は、将来インターネットを使えるようになりたい」と考えていることになる。そしてそのうち8割近くは「自力では(難しくて)無理なので助けが欲しい」という想いを抱いている。
インターネットは普及率や必要性では冷蔵庫や洗濯機と同じようなものだが、利用の際の技術的ハードルが高いのが特徴にして問題点の一つ。本来ならば利用上のマナーも含め、自動車運転時に必要な免許取得のように、ノウハウを持つ人による教習などが必要。自ら学ぶ手もあるが、知識を持たない人は「どうすれば自ら学べるのか」「何を使えば学ぶことができるのか」自身が分からないのが常というもの。
この事情は日本でもあまり変わらない。インターネットが今や社会生活の上で必要不可欠な「インフラ」としての立ち位置を確かなものとしつつある今、技術的な指導の観点でも、利用を望む初心者に対して支援をする仕組みが必要なのかもしれない。
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