疑問の言葉を調べよう、男性はネット・女性は紙の辞書をよく使う傾向
2013/09/30 15:45
文化庁は2013年9月24日付で、毎年発表している「国語に関する世論調査」の最新版(2012年度版)の概要を公開した。それによると言葉の意味や使い方が分からない時に、紙の辞書を使う人は4割強に達していることが分かった。一方インターネット上辞書を使う人は男性は紙の辞書以上の割合で居るものの、女性は4割足らずに留まっていた。また「誰か別の人に教えてもらう」と回答したのは男性が3割強なのに対し、女性は4割強に登っていた。分からない物事に対する姿勢で、男女に微妙な差異が見受けられる(【発表リリース(PDF):平成24年度「国語に関する世論調査」について】)。
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男女で変わらぬ紙の辞書、大きく違うネットの辞書と「他人に聞く」
今調査は2013年3月に個別面接調査方式で16歳以上の男女に対して行われたもので、有効回答数は2153人。
読書をしたりネット上の文章に目を通していたりテレビを観ている際に、自分の知らない言い回しや意味が分からない単語を見聞きすることがある。前後の関係から何となく分かったような感じになり「別に知らなくてもいいか」と打ち捨てる場合も少なくないが、時には「気になるのでやはり意味をしっかりと知っておきたい」「使い方を確認しておきたい」と思うことも多い(特に間違っているような言い回しが使われていて「この使い方、どこかおかしいな」と感じた時には事実を確認したくなる)。
そこでそのような事態が生じた時に、何を使ってその疑問を解消するかについて尋ねたところ、男性では「ネット上の辞書を使う」がもっとも多く49.2%、女性では「紙の辞書を引く」が最多回答項目で48.1%との結果が出た。
↑ 言葉の意味や使い方が分からない時にどうするか(複数回答)
「紙の辞書を引く」項目そのものでは男女で大きな違いはないものの、「ネット上の辞書を使う」は男性が、「誰かに教えてもらう」では女性がそれぞれ10%ポイント以上高い値を占めている。また男女別で順位を見ると、「男性…ネット辞書、紙の辞書、誰かに教えてもらう」「女性…紙の辞書、誰かに教えてもらう、ネット辞書」の順となっている。デジタルツールで即時回答を求めるか、対人コミュニケーションで答えを聞き出すか、男女のコミュニケーションへの姿勢の違いが見えてきて興味深い。
紙の辞書を好むシニア、ネット辞書は若年層
これを世代別に区分したのが次のグラフ。
↑ 言葉の意味や使い方が分からない時にどうするか(複数回答)(世代別)
紙の辞書は高齢層ほど、ネット上の辞書は若年層ほど利用率が高い。これは容易に納得できる。デジタルに慣れ親しんでいるか否かがそのまま表れている。興味深いのは「ネット上のサイトを利用」で世代間格差があまり出ていないこと(60歳以上は除く)。辞書では無く、ネット上の文献やレポートなどを探して自分の疑問を解消する際には、世代を超えて検索経由でサイトを活用していることがうかがえる。
また「誰かに教えてもらう」も若年層ほど高く、高齢層ほど低い値を示しているのにも目が留まる。歳を経るほど言葉の意味・使い方を他人に聞くのに気恥ずかしさを覚えるのかもしれない。
もっとも、いわゆる流行語や最近になって意味が変わった、新しく作られた造語などもあり、それらの言葉は高齢層は知る機会も少ない現状を考えると、知らない言葉、使い方が分からない言葉があっても何の不思議も無い。コミュニケーションのきっかけにもなることからも、積極的に質問するべきであるし、聞かれた側も面倒くさがらずに答えてほしいものだ。
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