子供のスマホ利用、不安を覚える大人は7割強

2013/09/26 08:45

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内閣府は2013年9月9日、子供の安全に関する世論調査の結果を発表した。それによると子供が一般携帯電話(フィーチャーフォン)からスマートフォンに利用端末を変更することで、より大きな不安を感じる人は7割強に達していることが分かった。具体的な不安内容としては「サイトやアプリの利用でトラブルや犯罪に巻き込まれるかもしれない」「悪影響を及ぼす情報閲覧の可能性がある」がそれぞれ7割前後を占めている(【発表リリース: 子どもの安全に関する世論調査】)。



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「スマホの方が不安は大きい」7割超え


今調査は2013年7月11日から21日にかけて、日本国内の20歳以上の日本国籍を有する人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われたもの。有効回答数は1801人。男女比は828対973。

大人はもちろん子供の間でも、携帯電話の主流は一般携帯電話からスマートフォンに移行しつつある。それでは子供が使用する携帯電話において、一般携帯と比較してスマートフォンを利用することについて、より大きな不安を感じるか否かを聞いたところ、全体では71.9%が「より大きな不安を感じる」と回答した。不安を感じない人は13.6%に過ぎなかった。


↑ 子供がスマートフォンを利用することについてより大きな不安を感じるか(一般携帯電話と比較して)

パソコンに近い機能を持つスマートフォンは、一般携帯と比べれば桁違いに利用の幅が広がる。従来パソコンでしかアクセスできなかったサイトの大部分が利用でき、動画も自在に視聴可能となる。当然、利用時間は増え、没頭する度合いも強くなり、(定額制なら話は別だが)通信料金はかさみ、課金制のサービスに没頭すればさらに金銭的負担は重くなる。大人から見れば、リスクが跳ね上がるという判断は妥当なもの。

男女別では圧倒的に女性の方が不安度が大きい。これは子供と居る時間が長く、子育てを行う(母親の)立場にいる人が多いからに他ならない。世代別で30-40代が高めなのも似たような理由で、若年層の子供がいる可能性が高い世代だからだろう。他方60歳以上になると、不安を感じる人はある一定数いるものの、状況が良く把握できず「分からない」とする回答が多くなるのも特徴的。

「子育てを行う(母親の)立場にいる人が多いから」については、次のグラフで再確認が出来る。これは回答者に子供や孫が居るか否かで区分したものだが、居る人の方が不安度は高い。


↑ 子供がスマートフォンを利用することについてより大きな不安を感じるか(一般携帯電話と比較して)(子供や孫のある無し別)

「不安を覚える派」の割合はさほどの違いは無いが、強度の上では「(強く)感じる」は10%ポイントほどの差異が開いている。自分の子供がスマートフォンをすでに持っている、あるいは持つかもしれないというリアルな状況を想像すると、不安も大きくなるのだろう。

具体的な不安要因は?


それでは、より強い不安を覚えた人は、具体的にどのような心配をしているのか。いくつか具体例を挙げて、複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。


↑ 子供のスマートフォン利用に関する不安の内容(不安を「感じる」「どちらかといえば感じる』対象者限定、複数回答)

もっとも不安視されている事象は「インターネット上のウェブサイトやアプリを利用することにより、他者とのトラブルや犯罪被害に巻き込まれるおそれが高くなること」。一般携帯と比べればアクセスできる領域は増え、表現能力も格段に向上する。また、パソコンのサイトへのアクセスも(ほぼ)出来るようになる。アクセス領域が増えれば、リスクがその分増加するのも当然であり、心配をせざるを得なくなる。また、問題視されるような内容のサイトだけでなく、普通のコミュニティサイトでも交友関係が広がるにつれ、他者とのいざこざに巻き込まれる可能性も増加するのだから、保護者の立場にすれば気が気でない。

第二位は「インターネット上で子どもに悪影響を与える情報を閲覧するおそれが高くなること」。これは直上で触れた「パソコン向けサイトのアクセスが可能になる」に直結する。純粋に大人向けの内容を有するサイトや、歳は関係なく問題視されうるサイトにたどり着いてしまうかもしれない。しかも、パソコンの場合は保護者がすぐそばについて監視することも可能だが、スマートフォンならばそれもかなわない。保護者が不安がるのも理解できる。

また【高一の半数近くは毎日二時間以上スマホを操作している】【7割は「スマートフォンに買い替えて利用時間が増えた」・1割近くは一日3時間を超えた利用も】などで指摘している通り、スマートフォン利用者は概して一般携帯利用者と比べて、長時間利用する傾向がある。出来ることが格段に増えるのだから当たり前の話なのだが、保護者の視点で見れば不安視せざるを得ない。



携帯電話販売会社がほとんどスマートフォンしか新機種を発売しなくなったのも大きな理由だが、今後さらに子供の携帯電話としてもスマートフォンは浸透していく。高機能を有するのは良いことであるはずなのだが、それが子供にとっては仇となる場合も多い。保護者の不安を解消するには、どのような手立てを講じるべきか。フィルタリングソフトの拡充化に限らず、携帯電話関連会社はこれを「新しい需要」ととらえ、対応策を講じていくべきだろう。


■関連記事:
【子供にスマホを持たせる時の条件、最上位は「課金サイトの利用禁止」】



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