推計約65万人、理由は「退職」「人間関係」「中学校時代の不登校」「コロナ禍」…ひきこもりの現状(最新)
2024/10/16 02:39


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今調査は2022年11月10日から25日にかけて、層化二段無作為抽出法で選ばれた10〜39歳の男女2万人と、40〜69歳の男女1万人を対象に実施したもので、調査方法は郵送法(オンライン回答併用)。有効回答数は10〜39歳が8555人、40〜69歳が5214人。
今調査結果によれば15-39歳において、広義でのひきこもり認定者は2.05%との結果となった。なおグラフにもある通り、「自室からは出るが、自宅からは出ないまたは自室からほとんど出ない」「普段は自宅にいるが近所のコンビニなどには出かける」が狭義のひきこもり、「普段は家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」が準ひきこもり、双方を合わせて広義のひきこもりである。

↑ ひきこもり該当定義内容と推計人数(15-39歳対象、該当状況において半年以上継続している人のみカウント、万人)(2022年)

↑ ひきこもり該当定義内容と該当年齢階層全体比(15-39歳対象、該当状況において半年以上継続している人のみカウント)(2022年)
単純に人口推計(調査年2022年の10月1日時点での総人口)と合わせて換算すると、狭義ひきこもり数は35.0万人・広義は65.3万人となる。ただし「ひきこもり」の定義にはグラフにある通りいくつかの段階区分があり、注意が必要となる。
さらに調査における非回答者内では、回答者よりも該当者の比率が高いと思われるため、実態としてはもう少し上回ると考えた方がよい。
一方、グラフ中の注意書きにもあるが、心身的な病気によるもの、自宅就労者、家事手伝いなどをしている人などは今回の「ひきこもり」には該当しない。例えば花嫁修業中の人、SOHOスタイルで働いている人、妊娠している人は対象外となるので注意が必要。
ひきこもり状態に陥るのには何らかの理由があるはずだが、それを尋ねた結果が次のグラフ。大きな理由は「退職」「人間関係」「中学校時代の不登校」「コロナ禍」である。

↑ 現在の外出状況(ひきこもり)になった理由(複数回答、広義のひきこもりに該当する人限定)(2022年)
最大の理由は「退職」。生きがい、社会人としての夢や希望、将来設計などを打ち砕かれて、心身ともに大きなダメージを受けてしまったのだろうか。そして学校・職場を問わずに「人間関係がうまくいかず」が続いている。さらに「中学校時代の不登校」が続き、就学時期の不登校としては小学校や高校、大学よりも中学校時代のものが大きな影響を与えているのが分かる。同率で「コロナ禍」が入っており、新型コロナウイルスの流行による巣ごもり現象や社会様式の変化が、ひきこもり化を後押ししてしまったことがうかがえる。
「その他」が1割強を占めているのは、「ひきこもり」化するトリガーが一様ではなく、人により多様なものであることがうかがえる。あるいは匿名による調査であっても他人には語ることが難しい理由や、具体的な言語化には難儀する「もやもやとした心境」によるものもあるのだろう。「もやもやとした心境」の観点では、「特に理由なし」「分からない」もあてはまるかもしれない。
今調査の報告書を確認する限り、個々の資質の積み重ねと、何らかの大きなきっかけが相互作用した結果、ひきこもり化したパターンが多いように見受けられる(例えば「ひきこもり」対象者はそれ以外の人と比べ、自分の感情を表に出すのが苦手な人が多い)。見方を変えれば、たとえ資質があったとしても、きっかけを乗り越えることができれば、ひきこもり化は避けられる可能性はある。
無論それには個々の対象者自身だけでなく、保護者をはじめとした周囲のサポートが必要なのは言うまでもない。
余談ではあるが。今調査では中高年(40〜69歳)を対象に同様の調査を行い、結果を開示している。調査結果の概要としては次の通りとなる(65〜69歳は「中高年ひきこもり」としても定義としてあやういところがあるため、併記されていた40〜64歳の値を用いる)。

↑ ひきこもり推計人数と有効回収数に占める割合(年齢階層別)
今朝結果とそれを基にした推計の限りでは、40-64歳のひきこもり数は85.2万人で、15-39歳のひきこもり数65.3万人より多い。もっとも、該当年齢階層全体に対する割合では少ないのが実情である。
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