ネット上の情報拡散の元ネタ、トップは新聞社サイトでもYahoo!ニュースでも無く…
2013/09/19 08:45
電通グループの電通パブリックリレーションズは2013年9月6日に同公式サイトで、「インターネット上の情報流通構造に関する調査結果」を公開した。その発表内容によると「ソーシャルメディア上で」リンクを含めた情報を第三者にシェア(共有)した経験を有する調査対象母集団では、インターネット上で拡散した情報のソースとしてもっともよく使われているのは「テレビ」だった。4割近くの人が用いている。次いで「Yahoo!ニュース」「ツイッターのタイムライン」「新聞社サイト」が続く。「テレビ」を情報源に使う人は女性の方が多く、特に若年層では高い利用率を示している(【発表リリース:電通PRがインターネット上の「情報流通構造調査」の結果を発表】)。
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今調査の調査対象母集団の詳細に関しては先行記事【SNSで拡散されやすいネタ元は友達のブログやツイート】で詳しく説明している。そちらを参照してほしい。
今調査対象母集団はネット上に多種多様な情報をシェア・拡散しているが、その情報はどこのものをソースとしているのだろうか。Facebookやツイッターのように、自分の目に留まった他社の情報を簡単にシェアできる仕組み(「いいね!」や公式RT)がシェア手段として多用される昨今だが、情報源はそれだけに限らない。他のオンライン上の情報経由(例えば新聞社のサイトで見た情報をコピー&ペーストしたり、シェアするために配されているSNS向けのボタンを押す)、さらには自分で買った雑誌や専門書からの情報、そしてテレビやラジオで見聞きした情報のシェアもありうる。
↑ オンラインで拡散したことがある情報源(複数回答)
今項目は「オンラインで」シェアした情報の情報源を聞いているが、それにも関わらずトップに上げられたのはオフラインの「テレビ」だった。全体では36.8%、1/3を超えている。先行する今調査解説記事【ネット口コミが好きな人はその情報のリアルへの口コミも良く行う】にもある通り、ネット上で情報拡散を行う傾向を持つ今調査対象母集団では、ネット上の情報をオフライン上に持ち込んで口コミする傾向が多分にあった。今回の項目を見る限り、その逆にオフライン上の情報をオンライン上に持ち込む行為も日常茶飯事的に行っていることにある。
同じオフラインの媒体としては「雑誌」「新聞」が目に留まる。いずれも比較的高い値を示しており、ある程度の信頼性・重要性を認知され、インターネット上でシェアする情報源として活用されているのが分かる。伝達時間に時間がかかる、伝達内容が正確である確証は持てないものの、情報のシェアという視点において、(少なくとも情報をシェアする人には)オンライン・オフラインの垣根はさほど高くなく、容易に飛び越えられていることが理解できよう。
オンライン上の情報源としては「Yahoo!ニュース」がトップ、次いで「ツイッターのタイムライン」「新聞社サイト」が続く。「Yahoo!ニュース」「新聞社サイト」は確証性・信頼性の高さ、「ツイッターのタイムライン」はシェアのしやすさに起因するものなのだろう。
オフライン媒体のテレビと新聞のネットへの拡散傾向を確認
オンライン上の情報源を差し置いて、オフラインの「テレビ」がトップについている状況は、ある意味驚きかもしれない。そこでインターネット上に情報がシェアされやすいオフライン媒体として「テレビ」「新聞」の二つを抽出し、その属性別のシェア動向を確認してみる。まずは「テレビ」。
↑ オンラインで拡散したことがある情報源(複数回答)(テレビ)(属性別)
概して女性の方がテレビ情報のネットへのシェア率は高い。特に10代・20代は大きな差が開いている。これが30代以降になると男性とあまり変わらず、60歳以降ではむしろ女性の方が低い値を示す。これは情報のシェア性向に加えて、テレビそのものの視聴傾向も多分に作用していると考えられる。そもそも論としてテレビを注視しない限り、その情報を発信しようとは考えないからだ。
一方男性は20代以降、ほとんど横ばい。これは男性において、一定数のテレビ視聴者・情報が居ることを示している(無論情報発信に長けた人限定での話)。
「オフラインの情報をオンラインに発信するためには、まずそのオフライン媒体を視聴する必要がある」。これが如実に分かるのが「新聞」。
↑ オンラインで拡散したことがある情報源(複数回答)(新聞)(属性別)
男性20代でややイレギュラーがあるが(会社で某経済新聞を読まされているのかもしれない)、概して若年層ほど低く、高齢層ほど高い値を示す。また男女別では男性の方がシェア率が高い。いずれも新聞そのものの購読性向に等しく(【新聞購読率減退中、増えているのは高齢者のみ】)、シェアをするにはまず目を通す必要があることがあらためて理解できる。
「ラジオ」は元資料のデータにも見当たらなかったが、従来4メディアの多くがインターネット上でシェアされる情報のソースとしても活用されていることに違いは無い。特にテレビは利用形態を思い返せば、新聞や雑誌と異なり「インターネットにアクセスしながら」利用できるため、マルチタスク的なシェアが可能となる。いわゆる「実況」というもので、大手掲示板やチャットスタイルのソーシャルメディアでは自然発生的なイベントが日常茶飯事的に行われている。
突き詰めればオフラインもオンラインも情報の伝達手段、ツールでしかなく、その間にはある程度のハードルが設けられているに過ぎない。それを飛び越えるだけの価値ある情報が発信されていれば、少なくともシェア好きな人は喜んでそのハードルを飛び越え、情報を摂取し、シェアしていく。テレビがソースの最上位につくのも、ある意味当然なのだろう。
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