拡散されやすい情報は「ニュース」「日常」「面白ネタ」
2013/09/17 15:45
電通グループの電通パブリックリレーションズでは2013年9月6日に、「インターネット上の情報流通構造に関する調査結果」を発表した。その内容によれば、「ソーシャルメディア上で」リンクを含めた情報を第三者にシェア(共有)した経験を有する調査対象母集団では、シェアにより拡散する情報の種類としてもっとも多くの人が挙げたのは「事件・事故などのニュース」だった。5割強の人がネット上で拡散していると答えている。次いで「日常生活の話題」「笑ってしまう面白い情報・ネタ」が続く。属性別では例えば20代男性は「自分の趣味領域の話題」を広める場合が多く、内容別では「政治系の話題」は10代以外の男性で概して高い値を示しているなど、属性や個々の情報種類によった特徴が見受けられる(【発表リリース:電通PRがインターネット上の「情報流通構造調査」の結果を発表】)。
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もっとも拡散されやすいのは「事件・事故などのニュース」
今調査の調査対象母集団の詳細に関しては先行記事の【SNSで拡散されやすいネタ元は友達のブログやツイート】で詳しく説明済み。そちらで確認してほしい。その「SNSで拡散されやすいネタ元は-」にある通り、インターネット上でシェアされ、拡散される情報の情報源は「友達のブログやSNS、ツイッター」「ニュースサイト、ニュースアプリ」をはじめ、多種多様なサイト上のソースが存在する(機会を改めて詳細を解説するが、テレビや雑誌などサイト以外からリアルな場をソースとしてネット上にシェアする場合も多い)。
それではシェアされ拡散される情報は、どのようなジャンルなのだろうか。個々の選択肢に対し、インターネット上でシェアして拡散した経験があるジャンルを選んでもらった結果が次のグラフ。最上位は「事件・事故などのニュース」で55.2%に達していた。
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)
雑誌や新聞と異なりインターネット上の情報は、情報元での事象発生から瞬時に広範囲に拡散される可能性がある。先日発生した竜巻に関する画像や映像が、発生時から数時間も経たないうちにネット上に展開され、多くの人の目に触れたことは記憶に新しい。単純に伝達スピードが速いだけでなく、不特定多数が情報発信源となりうることから、従来メディアと比べて拡散しやすく・されやすく、人の目にも留まりやすいことが、多くの人が対象としている理由だろう。
↑ 9月2日に埼玉県で発生した竜巻を捕えた映像。映像取得機器が普及した現在では、誰もが取材者・情報取得者に成りうる。:竜巻発生 2013.9.2 埼玉県越谷市
次いで多いのは「日常生活の話題」。「あるある話」やお役立ちメモ的な話、身の回りで起きたちょっと不思議なこと、さらには飼い猫の挙動など、従来なら記録をするどころか頭の中で思い浮かべてオシマイ的な話題が、拡散される対象となりやすい。内容は珠玉混合だが、数が多ければ「広めたい」と思われるネタも増えてくるのが道理。あるいは拡散を介して「他愛もないおしゃべり」的な雰囲気を楽しんでいる面もある。
「笑ってしまう面白い情報・ネタ」や「アニメ、ゲーム、音楽など自分の趣味領域の話題」「新商品やサービスの話題」は拡散されるのに納得はいくが、意外なのが「政治系の話題」「経済系の話題」。真面目な話はあまりシェアされにくい雰囲気もあるが、案外高いシェア率を示している。むしろ高いと思われた「芸能・ゴシップ」が順位では随分と下にあるのに、驚く人もいるかもしれない。
20代男性の特異性をチェック
次にグラフ化したのは、上記でも挙げた「SNSで拡散されやすいネタ元は-」で、情報シェアのソースとなるサイトの傾向で、やや特異な動きを示していた男性20代の動向。スマートフォンの普及率・アクセス頻度共に高く、アグレッシブなネットへのアクセスと情報の拡散が容易に想像できる世代である。
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)(20代男性)
最多回答項目は「事件・事故などのニュース」だが、全体平均と比べて20%ポイント以上も高い値を示している。この属性の多くが、ニュースに飛びつき、高い頻度で情報をシェアしていることがうかがえる。次に多いのは「自分の趣味領域の話題」。自分のこだわりを他人にアピールしたり、同じような趣味を持つ人に情報を分かち合いたいとの想いが強いのだろう。
意外なのは「政治系の話題」「笑える面白情報・ネタ」が同率で高順位につけていること。後者はともかく前者について、若年層は政治系の話は苦手、拡散もしないというイメージを持つ人も多分にいると思われるが、少なくとも今調査の限りにおいては、そうでもないことが分かる。「経済系の話題」も高い値を示しており、単に面白系、インパクトのある内容ばかりをシェアしているのではなく、真面目な話にも注目しているようすがうかがえる。
「面白」「真面目」で変わる、変わらないシェア動向
「若年層が政治・経済ネタをシェアする傾向がある」と意外な結果が見えたところで、その点も含め、今度はいくつかの項目について世代・性別の属性別でシェア動向を見ていくことにする。まずは全体ではトップの「事件・事故などのニュース」。
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)(事件・事故などのニュース)(属性別)
全体的に高い値であるのはもちろんだが、「世代別の変移がさほどない」「女性より男性の方が高率でシェアしている」との2つの傾向がつかみ取れる。他項目と比べれば高値には違いないが、女性は男性と比べ、ニュースをシェアするモチベーションは低いようだ。
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)(笑ってしまう面白い情報・ネタ)(属性別)
面白系のネタの拡散は、男女とも概して若年層の方が高い値を示している。男性は40代ではほぼ同率だが、女性はいくぶん大きめな起伏が生じているのが興味深い(もっとも細分属性の母数は50人なので、多少のぶれが生じている可能性もある)。見方を変えると、60歳以上でも(元々拡散経験を持つ人のうち)3割を超える人が面白ネタを拡散しているのも事実である。
↑ インターネットで拡散することのある情報の内容(複数回答)(政治系の話題)(属性別)
最後は真面目系情報の代表ともいえる「政治系の話題」。男女別では男性が大いに高く、女性は低い。情報そのものの関心度の違いが、そのまま拡散率に表れている。
他方女性はキレイな形で「若年層=低拡散率」「高齢層=高拡散率」の結果が出ているのに対し、男性は20代以降50代までほぼ均等な高値を維持している。情報の拡散をするからには、多かれ少なかれその情報自身に興味関心を抱いていることを考えれば、少なくとも情報シェアをしている男性は、政治への関心が高めであると見て良いだろう。
今回はグラフ生成を略するが、例えば「経済系の話題」は政治系とほぼ同じ傾向を示していたり、「画像・動画系の話題」は男性よりも女性の方が高い拡散率を示しているなど、「情報の頒布拡散」という観点で見ると、興味をそそられる動きが多数確認できる。
元資料の値を眺めると、今件の「ネット上で情報拡散意欲のある男性は、得てして政治ネタに深い関心を抱いている」など、インターネットにおける情報の伝播スピードや深みについて、色々と見えてくるものがありそうだ。
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