若年層からシェアされやすいリンクを探る
2013/09/13 07:55
電通グループの電通パブリックリレーションズが2013年9月6日に発表した「インターネット上の情報流通構造に関する調査結果」によると「ソーシャルメディア上で」リンクを含めた情報を第三者にシェア(共有)した経験を有する調査対象母集団においては、シェアの対象となりうるリンクとしてもっとも多くの人が挙げたのは「新聞社サイト」のものだった。一方属性別の動向を確認すると、男女、世代別に小さからぬ差異が確認できる。今回はその中から、20-30代の男女のデータを抜粋し、その動向を推し量ることにする(【発表リリース:電通PRがインターネット上の「情報流通構造調査」の結果を発表】)。
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今調査の調査対象母集団の詳細に関しては先行記事【SNSで拡散されやすいネタ元は友達のブログやツイート】で詳しく説明している。そちらで確認してほしい。
先の記事にもある通り、リンク付きの情報をシェア(公式RT、引用によるツイート、Facebookでの「いいね!」など手段は問わず)する際、その対象となりやすいのは「新聞社サイト」で、次いで「Yahoo!ニュース」「ブログ記事」が続いていた。情報そのものの信頼性やシェアしたいジャンルの情報が掲載されていること、セキュリティ上の安全面など理由は複数挙げられる。
↑ どのようなリンクが張ってあったらシェアするか(複数回答)(再録)
それでは若年層(今回は20-30代で仕切り)に限ると、この動向はどのような変化を見せるだろうか。男女間でも大きな違いがあるため、まずは男性に限ってグラフを作成し、その動きを眺めてみる。
↑ どのようなリンクが張ってあったらシェアするか(複数回答)(男性20-30代)
20-30代で大きな違いは無いが、全体値と比べて押し並べて高い値を示している。これは男性のこの世代が積極的にリンク付き情報のシェアをしていることを意味する。また項目の並びは全体値で高い順にしてあるが、その全体値と比べると「ネタ系ニュースサイト」「2ちゃんまとめサイト」「NAVERまとめ」「TV局サイト」がやや高く、「ブログ記事」が低めなのが目に留まる。正確さ、厳密性は二の次で、面白いエンタメ系情報を求め、シェアすることを求める傾向が強いようだ。特に20代では「ネタ系ニュースサイト」「2ちゃんまとめサイト」は、「Yahoo!ニュース」に近しいほどのシェアされやすさを見せている。
これが女性になると、様相は一変する。男性と比べやすいよう、縦軸の句切りは男性のに合わせてある。
↑ どのようなリンクが張ってあったらシェアするか(複数回答)(女性20-30代)
全般的に男性と比べてだけでなく、全体値と比べても低い値に留まっている。女性は男性と比べ、リンク付き情報のシェアには腰が引けているようだ。
ただしその中でも口コミ系の様相が強い「ブログ記事」「2ちゃんまとめサイト」「NAVERまとめ」は高めで、特に20代の「NAVERまとめ」は男性すら超える勢いを見せている。それ以外にも男性と比べると「まとめ系サイト」のシェア率は他のサイトと比べてあまり差異が無い。リンクシェアの観点で女性においては(絶対値は低いものの)、「まとめ系サイト」は他のサイト同様の評価を得ていると考えても良いだろう。
シェアの手法として「手段は問わず」と記述したが、今件は「ソーシャルメディアで情報をシェアした人」を対象としており、基本はソーシャルメディア上でのシェアとなる。そして昨今では若年層でスマートフォンの普及が急速に進み、それと共にソーシャルメディアの利用率も急上昇を見せている。当然、情報のお気軽なシェアの機会も増えてくる。
ただでさえ情報の新鮮味に目ざとい若年層が、機動力の高いスマートフォンで、情報のシェアが容易な仕組みが多数用意してあるソーシャルメディアを用いることにより、情報が拡散される頻度、そして総量が加速度的に増えていくことは容易に想像できる。それだけに、偽情報の瞬時浸透もあり得る(というより実例がすでに多数見受けられる)次第で、懸念される状況でもある。
特に昨今、中堅層より若年層に支持の厚い「まとめ系サイト」で、アクセス数稼ぎのために煽り的な編集や偽情報、真偽が確定していない段階で確定情報かのように仕上げた内容などを公知し、多くの人にシェアされ、真実であるかのように情報が伝播されてしまう問題が多発している。その理由の一つが今件結果からも明らかにされたことになる。今後さらに大きな問題となる前に、各方面で対応が求められよう。
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【ツイッター44%、LINE38%…若年層のソーシャルメディア利用動向】
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