学習意欲・経験はインターネット・リテラシーの向上に貢献する法則
2013/09/16 21:00
総務省が2013年9月3日付で発表した2013年度版「青少年のインターネット・リテラシー指標など」によると、高校一年生から成る調査対象母集団では、インターネット上のリスクについて学習意欲がある人の方が無い人より、学習経験がある人の方が無い人よりも、インターネットを安全に利用する際に欠かせない知識・セキュリティ関連の常識を良く把握していることが分かった。学習意欲と学習経験が、インターネット上のリテラシー(正しく、安全に使うための能力)の向上に役立つことを裏付ける結果といえる(【発表リリース:「平成25年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」の公表】)。
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今調査は2013年6月から7月にかけて全国24の公立・私立の高等学校において、合計3512名の高校一年生を対象に行われた。男女比は2041人対1420人(不明51人)。また、今調査結果で用いられている「ILAS指標」については先行記事の【高一のネット安全利用知識、スマホのみの利用者は低い傾向】を参考のこと。要はこの指標が高いほど、インターネット・リテラシーに長けていることになる。
このILAS指標について、インターネット上のリスクに関する学習をしたいか否かの意欲別で区分した結果が次のグラフ。全体、そして主要3項目いずれにおいても、学習意欲の高い人の方が、元々指標が高い、つまりネットの安全利用能力に長けていることになる。
↑ インターネット上のリスクに関する学習意欲別ILAS指標
「卵とニワトリ」の話ではないが、元々必要性の低い人ほどより一層学びたいのか、それとも学習意欲があるからこそこれまでも積極的に知識を吸収してその結果として高いリテラシーを得ているのか、この結果からだけでは分からない。後述する「学習経験別」の区分にある通り、意欲がある人は多分に、すでに何らかの学習経験をしている可能性もある。無論、学習意欲の低い人に対して手立てを講じ、インターネットリテラシーの修得をさせる必要性が高いことには違いない。
「学習をしても効果は無いのでは」という意見もあるかもしれないが、それを否定するのが次のグラフ。ネットリスクに関する学習経験のある無し別で指標動向を見たものだが、こちらも明らかな差異が出ている。
↑ インターネット上のリスクに関する学習経験別ILAS指標
学習の量別の区分が無いので、どの程度の学習が成されれば一定以上の成果が望めるかまでは分からないが、少なくとも「学習をした方がしないよりも高いリテラシーを取得できる」ことは間違いない。
これらの結果を受けて報告書では「ネットリスクに関する学習の意欲付けや機会提供が必要」「そのためには教員をはじめとした学習を指導する側の啓発をはじめとした、環境作りも欠かせない」と言及している。投入リソースに対して比例的な成果が出る類のものでは無いが(そのため概して腰は重いものとなるが)、教育現場においてネットリスク啓蒙のための場の構築、充実は必要不可欠ではないだろうか。
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