同僚男性の育児休業取得、5人に1人は「不快感」

2013/08/10 15:00

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ライフネット生命保険では2013年8月5日に、既婚有職者を対象とした「育児休業に関する意識調査」の結果が発表された。その内容によれば調査対象母集団では取得対象者が女性より男性、同僚より上司・管理職の立場の人ほど、育児休業を取得した際に、不快に思う人が多くなる傾向があることが分かった。また回答者の性別では概して男性の方が、女性よりも育児休業への不快感を覚える割合が高いことも判明している(【発表リリース:育児休業に関する意識調査】)。



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女性より男性、同僚より上司の方が取得すると不快感が増加


今調査に関する調査要件などは先行する記事【男性による育児休業取得の受け入れムード、2割強に留まる】を参考のこと。

別調査の解説記事で言及している通り、法制上では最長1年半まで認められている育児休業(それ以上の期間は企業側がルール化することで延長が可能)だが、政府側の施策方針「3年までは取得が可能となるよう、企業側のルール改正で対応してほしい」で、その有り方や取得環境に注目が集まっている。育児休業がなかなか浸透しない理由の一つとして、職場内における育児休業に対する雰囲気、姿勢、他の人の意識があるのではないかとする意見も少なくない(「育児休業取得中の家計の問題」など、その他の理由も多数考えられる)。

今件では勤務先で他の就業者が育児休業を取得した場合、「回答者が」(勤務先全般の雰囲気では無いことに注意)どのような心境を抱くかについて尋ねた結果が次のグラフ。概して不快感を覚えない人、つまり育児休業の取得に肯定的な人が多数を占めている。


↑ 勤務先の育児休業取得者に対する意識

一方、不快に思う(青系統の回答)も少なくない。「育児休業は女性が取るもの」という社会的な一般論が浸透しているからか、概して女性取得時よりも男性取得時の方が反発が強い。また対象が同じ性別でも、同僚よりは上司(管理職)の方が反発感が強くなる。これはどのような理由でも上役が長期間休業することで、回答者の業務上の負担がより大きくなることが予想されるからに他ならない。

不快感を覚える回答は、全体から見れば少数でしかないものの、それなりな率で存在するのも事実。リリースでは「“一部に不快に感じる人がいる”という状況だけで、育児休業を取得しやすいムードは形成されづらくなっているのかもしれません」と指摘しているが、それはまったくもって正しいものといえる。育児休業取得者が生じた時に発生しうる業務上の「穴」を上手く埋める企業内のシステムづくり・労働環境の整備や、企業全体の啓蒙が欠かせない。

男女間で大きく異なる育児休業への反発


今件について、回答者の性別に区分したのが次のグラフ。


↑ 勤務先の育児休業取得者を不快に思う人の割合

多少の差異はあるものの、概して女性よりも男性の方が、育児休業取得に対する反発は大きい。これは男性自身が出産を経験し得ないこと、一般世情的に男性による育児休業取得が女性と比べると稀な事例であることから、育児休業の必要性について心底理解できる割合が少ないからだと考えられる。

一方気になるのは、その男性において、異性である女性の取得者に対してよりも、同性の男性取得者に対する反発の方が大きくなる傾向があること。例えば上司の女性に対する不快感では、回答者の男女別差異は1.34倍。ところが上司の男性に対する不快感となると、回答者の男女別の違いは1.50倍にまで拡大する。同性だからある程度状況・心境を組して、「察する」ということは無く、かえって反発心を強めてしまうようだ。

育児休業取得そのものに対する不理解是正の必要性は上記項目で述べた通りだが、それと共に男性にも育児休業が必要になりうること、そして取得が正当な権利であることを周知啓蒙することが求められそうだ。



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