公示期間中のネット情報閲覧率3割、公示前と変わりなし
2013/07/23 14:45
マクロミルは2013年7月22日に、先日7月21日に投票が行われた第23回参議院議員選挙(以下参議院選挙と略)での、インターネット選挙活動関連の調査結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、公示前からネット上の選挙関連情報を閲覧していた人は30.6%、公示後は32.5%となり、ほとんど変化がなかったことが分かった。公示前から興味関心を持っていた人が、継続して閲覧した事例が多数で、公示後に新規閲覧した人はほとんどいなかったことが分かる。また投票棄権者の閲覧率は投票者と比べて低い値が出ており、選挙そのものに関心が低かったことが確認できる(【発表リリース:参院選有権者2,000人緊急意識調査】)。
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「ネット選挙解禁だから」と新規に閲覧した人はごく少数
今調査は2013年7月21日20時(参議院選挙投票終了直後)から翌日の22日8時までの間に、インターネット経由で行われている。調査対象は全国20代から60代の男女。有効回答数は2000人。2010年国勢調査の結果に基づき、性別・年齢別人口比率に合致するよう割付が行われている。
先日行われた第23回参議院選挙では、日本で初めてインターネット選挙運動が解禁された(ネット選挙「投票」ではないことに注意)。これに伴い一定の条件を満たせば、選挙公示期間中でも、インターネットで各選挙運動を行うことが可能となった(詳しくは【インターネット選挙活動解禁、知ってる人は9割近く・内容までなら2割足らず】などを参考のこと)。これにより、選挙公示期間中に、より多くの選挙関連の情報が関係者から配信され、投票先を選択する材料が増え、有権者の便益が増すことが期待された。
次のグラフは「公示前」「公示後」それぞれにおける、各選挙情報に関する閲覧状況を示したものである。
↑ 今参議院選挙で公示前・公示後に閲覧したことがある政党・立候補者の情報(複数回答)
一番右側の「閲覧したネット上の情報は皆無である」の回答率は、公示前が69.4%、公示後は67.5%。単純計算だが、公示前は情報を確認していなかったものの、今選挙から公示中も逐次更新されうるということで、興味を示して新たに閲覧した人は、1.9%でしかなかったことが分かる。
具体的に各項目を見ると、「政党・立候補者のサイトやブログ」「政党・立候補者が発信する動画サイト」のような、今回のネット選挙運動解禁でもっとも恩恵を受けた対象でやや高くなる傾向があるものの、普段から見慣れている非公式の情報元では逆に下がる動きがある。しかしそれらの動きもごくわずかなもので、少なくとも今選挙では「ネット選挙運動が解禁されたので、これまで日常的にはチェックをしていなかったが、期間中の更新を期待して多くの人がアクセスする」という状況には至らなかったことが分かる。
唯一興味深いのは、非公式ながらも、そして利用者絶対率は低いものの、「政策マッチングサービス」が大きな伸びを示していること。インターネットならではのサービスであることに加え、今選挙において、特に現与党支持者「以外」では、投票対象を絞りにくかった状況の現れともいえる。
棄権者は元々情報への関心も低い
これを今選挙の投票者・投票棄権者別に区分したのが次のグラフ。
↑ 今参議院選挙で公示後に閲覧したことがある政党・立候補者情報(複数回答、今選挙投票の是非別)
概して投票者より棄権者の方が、公示後での閲覧率は低い。右端の項目「閲覧したものナシ」では、両者間で20%ポイント近い差が出ている。棄権者は8割以上が公示後にネット上での閲覧経験は無し、としている。冒頭でも触れているが、選挙棄権者は元々選挙への興味関心が薄いため、必然的に「自発的でなければ情報を取得できない」インターネット上の情報には接していないことが確認できる。
また、投票した人でも6割以上は、公示後においてインターネット上の選挙情報を閲覧していないと答えている。今件調査がインターネット経由のものであることを考えると、情報開示に対する有権者の関心そのものが、さほど高くないことをうかがわせる。
今調査はインターネット経由である。従って世間全般、特にインターネットへの接触機会率が低い高齢層では、さらに今件結果からは低い値となることは容易に想像がつく。
また日本では初めてのインターネット選挙解禁ということもあり、行政も政党・候補者も多分に試行錯誤・暗中模索の中で行った感は強い。そして有権者側も戸惑いの中で情報取得をしていたようだ。
今後は本文中で触れた「政策マッチングサービス」のような、インターネットならではの需要に合った情報提供をはじめ、一般の選挙運動のスタイルにこだわらない形でのネット選挙運動の切り口が求められよう。それを果たすことができれば、有権者の興味関心も集められるに違いない。
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