OSアップデート・ウイルス対策・アプリ安全性、知ってる?守ってる?…スマートフォンの安全対策の認知・実施度の国際比較(2013年)
2013/07/27 14:00
総務省は2013年7月16日に【発表リリース:平成25年「情報通信に関する現状報告」(平成25年版情報通信白書)の公表】にもある通り、【情報通信白書】の最新版となる2013年版を一般公開した。この白書では春先に複数の解説記事にした「通信利用動向調査」の結果をはじめ、各種関連市場や国内外の実態を紹介し、解説を行っている。今回はその中から、スマートフォンに関するセキュリティ対策の認知度と実行度について、日本国内外の実情を比較している部分を見ていくことにする。
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スマホ安全対策3か条、日本では高い認知度
日本では【総務省のスマートフォン・クラウドセキュリティ研究会】にもある通り、スマートフォンの利用に関して最低限採るべき対策として、
2.ウイルス対策ソフトの利用を確認する
3.アプリケーションの入手に注意する
を「スマートフォン情報セキュリティ3か条」として掲げている。この「3か条」の各項目について、日本の他、アメリカ、イギリス、フランス、韓国、シンガポールのスマートフォン利用者に対し、「安全対策として守るべき事柄」として認識しているか否かを聞いた結果が次のグラフ。
↑ スマートフォンのセキュリティ対策の認知度(各国別、スマートフォン利用者限定)(「3か条」)
日本では該当3か条のうちOSアップデート・ウイルス対策ソフトについては2/3超、アプリの安全確認も6割近い認知度を示しており、いずれも他国より高い。
今回取り上げた他国ではアメリカやシンガポールでは高めの値を示しているが、イギリスやフランスではやや低め。特に「アプリの安全性の確認」は軒並み5割を切っており、イギリスでは4割、フランスでは3割台でしかない。見方を変えると、多国籍のアプリを利用しており、安全性にこだわっていては柔軟性のある使い方が出来ないという考え方があるのかもしれない。また、事業者以外のアプリ利用に慣れているのも一因だろう。
知っていても実行しなければ意味がない安全対策、だが…
日本では比較的高い認知度を示した「3か条」だが、実効性となると疑問が残る結果が出ている。
↑ スマートフォンのセキュリティ対策の実施度(各国別、スマートフォン利用者限定)(「3か条」)
OSのアップデートは比較的高い率、ウイルス対策は諸国では一番高い値が出ており、認知度に伴う実施度が確認できる。ところが「信頼できる場所からのアプリのインストール」の項目では、認知度が高いにも関わらず、実施度は低め。対象6か国では韓国に次ぐ低い値、34.3%に留まっている。
イギリスやフランス、シンガポールでは認知度よりも実施度が高い値を示しており、明確に認識していなくても「セキュリティ上、しなくてはならない」という考えが浸透しており、自然に対応しているものと考えられる。逆に日本では知っていても実行しない人が多く、「3か条」の周知啓蒙が付け焼刃的な結果に終わっている感は否めない。
また「3か条」以外のセキュリティ対策でも、日本の実施度は概して低めとの結果が出ている。
↑ スマートフォンのセキュリティ対策の実施度(各国別、スマートフォン利用者限定)(「3か条」以外、一部)
携帯電話の普及面での歴史を思い返すと、他国が「インターネットの利用がほとんどできない一般携帯電話(フィーチャーフォン)からスマートフォンへの切り替え」で進んでいるのに対し、日本では「ネットが使えない一般携帯電話から、ネットがそれなりに使える一般携帯電話(マルチメディアフォン。スマートフォンの一種とも定義づける場合がある)、そしてスマートフォンへの切り替え」という流れを歩んでいる。
そしてマルチメディアフォンでは、スマートフォンほどセキュリティ上の問題を気にせずにインターネットを利用できた。その分「携帯電話でインターネットを使う場合、パソコン同様に各種セキュリティに気を付ける必要がある」というルールに慣れていない。これが日本のスマートフォン利用時における、セキュリティ対策の実施度の低さの原因と考えられる。
時間の経過と共に、日本のセキュリティ対策実施度も他国と同水準に上昇していくものと考えられるが、指南啓蒙する側のかじ取りを誤ると、低いままでスマートフォンの普及がさらに進む可能性もある。行政や関連業界各界は、今まで以上に多方面から、施策に励むことが求められよう。
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