スマートフォン保有者の方が「ネット依存傾向」は強い法則
2013/07/13 15:00
総務省・情報通信政策研究所は2013年7月5日に、「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査」の報告書を公開した。その内容によると25歳までで構成される調査対象母集団においては、高校生が一番インターネットへの依存傾向が強いことが分かった。男女別ではほとんど違いはなく、スマートフォンの保有状況別では保有者の方が高い値を示している(【情報通信政策研究所:発表リリース一覧ページ】)。
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ヤング博士の「ネット依存的傾向」
今調査の調査要件などは先行記事【トップは「携帯メール」、次いで「携帯通話」…若年層は家族との連絡に何を使うか】を参考のこと。
詳細は元資料にあるが、1998年にピッツバーグ大学の心理学者キンバリー・ヤング博士による『インターネット中毒』で、8項目・20項目から成る2種類の診断基準が提唱されている(それぞれYoung8、Young20)。今件ではこのうちYoung20をベースとして、インターネットの利用が日常生活に与えている影響度合いを確認するため、「ネット依存的傾向」として得点化。20項目をそれぞれ「いつもある(5点)」「よくある(4点)」「ときどきある(3点)」「まれにある(2点)」「全くない(1点)」の5段階評価で自己判断してもらい、その合計から「70点以上(ネット依存的傾向 高)」「40-69点(同 中)」「20-39点(同 低)」と分類した。
具体的20項目は次の通り。
2.ネットを長く利用していたために、家庭での役割や家事(炊事、掃除、洗濯など)をおろそかにすることがあるか
3.配偶者や友だちと過ごすよりも、ネットを利用したいと思うことがあるか
4.ネットで新しく知り合いを作ることがあるか
5.周りの人から、ネットを利用する時間や頻度について文句を言われたことがあるか
6.ネットをしている時間が長くて、学校の成績や学業に支障をきたすことがあるか
7.ネットが原因で、仕事の能率や成果に悪影響が出ることがあるか
8.他にやらなければならないことがあっても、まず先に電子メールやSNSなどをチェックすることがあるか
9.人にネットで何をしているのか聞かれたとき、いいわけをしたり、隠そうとしたりすることがあるか
10.日々の生活の問題から気をそらすために、ネットで時間を過ごすことがあるか
11.気がつけば、また次のネット利用を楽しみにしていることがあるか
12.ネットのない生活は、退屈で、むなしく、わびしいだろうと不安に思うことがあるか
13.ネットをしている最中に誰かに邪魔をされると、いらいらしたり、怒ったり、言い返したりすることがあるか
14.夜遅くまでネットをすることが原因で、睡眠時間が短くなっているか
15.ネットをしていないときでも、ネットのことを考えてぼんやりしたり、ネットをしているところを空想したりすることがあるか
16.ネットをしているとき「あと数分だけ」と自分で言い訳していることがあるか
17.ネットをする時間や頻度を減らそうとしても、できないことがあるか
18.ネットをしている時間や頻度を、人に隠そうとすることがあるか
19.誰かと外出するより、ネットを利用することを選ぶことがあるか
20.ネットをしていないと憂うつになったり、いらいらしたりしても、再開すると嫌な気持ちが消えてしまうことがあるか
なお「ネット依存的傾向」が高い値を示したからといって、治療が必要となる「ネット依存」にそのままつながるわけではないことに留意する必要がある。その診断には専門家への受診が必要。
高校生が一番没頭、そしてスマートフォン保有者も
上記の指標を元に調査対象母集団に対して回答してもらい、その結果を区分したのが次のグラフだが、全体では6.3%がネット依存的傾向で「高」、37.5%が「中」という結果が出た。
↑ ネット依存傾向(Youngの区分に基づく、高得点ほど高依存)
男女別ではわずかに女性の方が高依存の動きを示すものの、誤差の範囲に留まっており、男女間で依存の高低に差はないと考えて良い。
所属学校種類別に見ると、小学生では低依存者が多いものの歳を経るにつれて高依存者が増え、高校生では最大の「高」9.2%・「中」50.8%となる。小学生・中学生が低いのは、単純にアクセス機会が少ないため。一方、ネットに接続できる各種情報通信端末の保有・利用率はむしろ大学生や社会人の方が上なのにも関わらず、高校生の方が値が高いのは、精神的な未熟さゆえに歯止めがかからない人が多いということか。
またスマートフォンの所有状況別では、スマートフォン所有者の方が高い値を示している。これはスマートフォンの機動力さから来るネットへのアクセスハードルの低さに加え、非保有者には携帯電話(スマートフォンに加え一般携帯電話)そのものを持っていない人もいるのが一因である。
元資料には「ネット依存的傾向」上記20項目それぞれに対する、調査対象母集団の回答傾向が記されている。全部を挙げるときりがないので省略するが、例えばこのような形のデータが確認できる。
↑ ①夜遅くまでネットをすることが原因で、睡眠時間が短くなっているか ②ネットをしている時「あと数分だけ」と自分で言い訳をしている事があるか(いつもある+よくあるの合計)
ネットのしすぎで睡眠時間が短くなる、「あと数分だけ」と自分で言い訳してアクセスを続ける。この2項目の動きをグラフ化したが、学校種類別では高校生がもっとも高い値を示しており、精神的な未熟さから歯止めがかからない様相が見て取れる。
またこの項目では男性よりも女性の方が高い、つまりネット依存的傾向が強い結果が出ている。時間周りでは男性よりも女性が、誘惑に負けやすいということか。チャットやメールを多用するとなると、実質的にはおしゃべりと同じ。ついつい長丁場になってしまうのも理解は出来なくもない。
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