PCメイン、迫るスマホ…家庭内での子供のインターネット利用状況(2013年発表)
2013/07/09 11:30

総務省は2013年6月14日、平成24年(2012年)時点での各種状況を調査した結果をまとめた、日本のインターネットや携帯電話など各種情報通信に関わる報告書「通信利用動向調査」を公開した(【発表ページ:通信利用動向調査】)。今回はその公開値を基に世帯単位での子供のインターネット利用状況について、昨年の同主旨の記事の様式に沿う形で、グラフを作成して現状を探ることにする。
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中学生では約9割が自宅内ネット利用、スマートフォンの大幅な伸び
今調査の調査要項の詳細は、「通信利用動向調査」を素材として用いた精査記事の中で先行掲載の【光回線浸透継続と意外なモノの伸び-自宅パソコンのネット接続回線の種類(2012年分反映版)】で解説済み。そちらで確認のこと。
まずは子供の世代(学校種類)別、子供のインターネット利用状況。なお以降のグラフでも同じことがいえるが、今件は回答者の保護者が把握している範囲での動向。例えば家庭外(友達の家や学校の端末)での利用は、回答には反映されていない。また「インターネットの利用」にはパソコン以外に一般携帯電話・スマートフォンなどによるものも含む。

↑ 子供のインターネット利用状況(自宅・家庭内把握範囲)(2012年末)(各世代の子供がいる世帯対象)
小学生未満は20.9%。これが小学校に入学すると4割近くに倍増、中学生に至ると9割近く、高校生になるとほぼ100%となる。昨年の結果と比べると一部でイレギュラーが生じているが、ほぼ全世代で値は上昇しており、子供の時分からのインターネット接触が年々積極的になっていることが分かる。
続いてこれらの「インターネット利用」がどのような機器で行われているのかを見ていく。大きく「自宅のパソコン」「一般携帯電話(フィーチャーフォン)」「スマートフォン」で区分しているが、各世代のネット機器の利用状況がつかみ取れる。

↑ 子供のインターネット利用状況(複数回答)(自宅・家庭内把握範囲)(2012年末)(主要機器別)(各世代の子供がいる世帯対象)

↑ 子供のインターネット利用状況(複数回答)(自宅・家庭内把握範囲)(2011年末)(主要機器別)(再録)
小学生未満でも自宅内のパソコンを使い、インターネットにアクセスさせている世帯は約1割。スマートフォンは12.2%とほぼ同数。これが小学生となると3割強にまで増加する。以後中学生・高校生は7割強と、多くの子供たちが自宅のパソコンを用いてインターネットへアクセスしている。
興味深いのはモバイル系端末利用率。一般携帯電話は小学生までは低めだが、中学生では1割強、高校生となると3割が利用している。昨年と比べれば減少しているものの、まだそれなりの値を示しているのは、1年では買い替えが進み切ってはいないのに加え、保護者側が「より安全な」一般携帯電話のみを許可している事例もあると考えられる。
そして何よりも注目すべきなのはスマートフォンの利用。未就学児でいきなり1割を超え、中学生では1/4超、高校生では6割を超えている。前回の値と比べて、いずれも2-3倍増となっており、すべての世代で一般携帯電話を凌駕する値を示している。【スマートフォンの伸び率が…小中高校生のパソコン使用率や携帯保有率の変化】でも記したが、(本人所有か保護者と共用かは別として)未成年者におけるスマートフォンの急速な普及ぶりがあらためて確認できる。
子供向け一般携帯電話はより少数に
最後は一般携帯電話の種類について。スマートフォンと比べて機能が限定されている、見方を変えれば安全性が高い一般携帯電話では、普通の機種以外に子供専用(アクセス制限機能など保護者の規制意向を反映できる仕様)が各企業から発売されている。その利用実態は次の通り。

↑ 子供のインターネット利用状況(複数回答)(自宅・家庭内把握範囲)(2011年末)(携帯電話の種類別)
いずれの世代でも通常の一般携帯電話の方が、子供向けよりも多く用いられている。そして歳を重ねるにつれてその差異は大きくなる。すべての保護者・子供との間で機能制限が望まれているわけでは無く、子供が大きくなるに連れて自己判断で任せる事例が増えてくる。その分、差が開いてくるのだろう。
また昨年の値と比較すると、一般携帯電話の利用率そのものが落ちていることもあり、子供向け・通常双方で値が大きく減少している。その分スマートフォンに移行しているのは明らかだが、そちらではフィルタリングをはじめとした利用制限は、専用のアプリケーション上で行っているものと考えられる。
子供のインターネット接触機会の増大は、一般携帯電話からスマートフォンへと、後押しの主役が代わりつつある。今後この動きはさらに加速し、来年分の値では「パソコン以上にスマートフォンを使っている」世代も現れるに違いない。
固定された場でのパソコンと異なり、利用者本人しか閲覧できない状態でアクセス可能なスマートフォンの普及と共に、子供に対するインターネット利用時の注意事項、倫理など、各種啓蒙の必要性も、今まで以上に高まっていく。保護者や各教育機関は、十分に留意することが求められよう。
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