定期更新記事:大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)
2019/09/16 15:19
■大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)
電気事業連合会が毎月定期的に発表している、大口電力の利用推移を介して、産業動向を推し量ろうという主旨の記事。昨今では震災後の節電促進情勢もあり、産業すう勢と大口電力との関連性は、以前と比べて薄くなっている。
更新開始は2009年9月計測・同年8月分。なお2014年1月更新分から「逐次更新型」に執筆スタイルを変更している。
★補足説明
大口電力とは一般に500kW以上の電力を指している。産業別の大口電力消費量(電力会社から見れば大口電力の販売量)は、各業種や産業の活力を表す指標の一つ。どのような産業でも(製造業はもちろんだが小売業、そして農林水産業でも)電力を消費し、その量は機器の稼働率や稼働時間に伴い増減するので、「電力消費量が大きい」=「その工場が活力に満ちあふれている」と判断できるからだ。電力は産業にとって血であり、水であり、食べ物的な存在である。逆の視点で見れば、残業無し・工場の平日休止などが相次ぐことにより、大口電力消費量も減少する(家庭でも暖冬でエアコンをあまり使わなければ、電気代が少なくなるのと同じ理屈)。
一方で2011年3月に発生した東日本大地震・震災に伴う、電力需給問題に端を発した節電対応(商品の需給とは直接関係の無い稼働率の変更、冷暖房の調整、機材の更新、照明のLED化など。そして生産力などに影響を与えうる自主的節電を、過去の失策によって半ば強要されている場面も少なくない)もあり、比例関係は以前と比べれば薄らいでいる。また夏期・冬期では前年の状況とも比べた上で、電力使用制限令や節電「要請」も兼ね合わせ、検証する必要がある。
さらに2011年分では、震災による物理的被害で生じた電力使用量減少も考慮しなければならない。それと比較する場合、復旧による電力消費量の増加影響にも留意しておく必要がある。もっとも短期的視点での物理的被害は、2011年末の時点でほぼ無視できる域にまで回復しており、これについてはあまり考慮する必要はない。無論、少なからず状況が回復していない面も、被災地を中心に存在するのも事実ではある。
●みなし節電や自家発電
下げ幅が気になる業種がいくつかあるが、例えば製紙業の場合、空調の調整やシフト勤務など細かなところまで合わせて節電対策を徹底し、さらに「みなし節電(自家発電分を節電したと換算する仕組み)」を実施し、電力会社からの供給を減らしている事例も少なくない。例えば「今夏の電力需給対策結果について-日本製紙八代工場の余剰電力を利用した「みなし節電」結果報告-(2012年9月、日本製紙グループ)」が好例。
この場合、一部自前で作った電力を用いるため、その分大口電力の需要は減るので、必然的に今件の値も減少することとなる。繊維業界でも例えば【合繊メーカーの節電/電力量、大きな懸念なし(2012年5月、繊維ニュース)】との話があり、東レの前年比13%の節電事例が挙げられている。他企業でも同様に、公開はされていないものの、大口電力消費量を減らす効果の高い節電(と自家発電)が行われている可能性は高い。「非鉄金属」「機械」とも合わせ、業界として生産率が低下しているための下落とは言い切れないようだ(このあたりは今後、さらに調べを進める必要があろう)。
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(2019.09.17.更新)
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