全体で77.0%、スマホのみだと72.9%…携帯電話などでのインターネット利用率(最新)
2024/08/01 02:41
従来型携帯電話では一部においてインターネットへのアクセスが不可能、あるいは意図的に止められる機種もあるが、昨今の携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン双方)では機種の保有・利用がほぼそのままイコールでインターネットの利用となっているのが実情。それでは実態として、現在における携帯電話などを利用したインターネットへのアクセスは、どの程度行われているのだろうか。総務省が2024年6月7日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」を基に、「携帯電話(従来型携帯電話だけでなくPHSやスマートフォンなどを含む)におけるインターネットの利用率」を確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。
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携帯インターネットは全体で3/4強、20-50代は9割を超える
今調査の調査要項は先行記事【光回線は59.1%、携帯電話回線は52.8%…自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(最新)】で解説済みなので、そちらを参考のこと。
まずは「携帯電話を使った」「インターネットの利用率」。タブレット型端末は携帯電話の範ちゅうからは外されている。今項目では後述する個別区分以外では、タブレット型端末は携帯電話には含まれず、従来型携帯電話(フィーチャーフォン、ガラケー)やスマートフォン、そしてPHSは携帯電話に該当するものとする。
次に示すのは2023年における全体・年齢階層別のグラフ。過去1年間に一度でも携帯電話を経由してインターネットにアクセスしたことがある人の割合を示している。例えば6-12歳では50.2%なので、調査母体のうち6-12歳全体の中で、過去1年間に携帯電話を使って一度でもインターネットにアクセスした人の割合は50.2%となる次第(インターネット利用についての設問そのものに無回答だった人は計算から除外している)。
↑ 携帯電話によるインターネット利用率(過去1年間、全体比、無回答者除く、従来型携帯電話・スマートフォン・PHS)(2023年)
携帯電話本体やインターネット全体の利用率同様に、携帯電話によるインターネットの利用率も成人若年層がピークで、その後は緩やかな下り坂を描いている。かつては定年退職後の年齢階層において、減少具合の急激さが見られたが、今では緩やかなカーブに代わっており、高齢層にも携帯経由のインターネットアクセスが地味に普及しつつあることをうかがわせる。
また、6-12歳が5割程度にとどまり、13-19歳も20代と比べて少なめなのは、多くの人が自分の収入で端末を入手できないこと、そして保護者から端末の利用許可を受けていないことが想像される。もっとも幼少時においてはタブレット型端末の利用率が伸びており、細かなレベルでの世代交代が起きているのも分かる。
これをさらに過去の調査データを用いて、5年間の推移を示したのが次のグラフ。
↑ 携帯電話によるインターネット利用率(過去1年間、全体比、無回答者除く、従来型携帯電話・スマートフォン・PHS)(直近5年間)
どの年齢階層でも、おおよそ値が増える動きにある。特に60歳以上の高齢層において、増え方が著しい。言い換えると、ここ5年ほどの間の携帯電話によるインターネットの浸透は、高齢層の間で力強く生じていると見ることができる。
主要機種別に年齢階層別・経年変化を眺めてみる
次に主要機種として従来型携帯電話とスマートフォン、そして上記「携帯電話」には該当しないものの、利用スタイル的には近いポジションにあるタブレット型端末について、年齢階層別、経年の変化を確認していく。
まずは直近2023年の年齢階層別動向。全年齢階層でスマートフォンが従来型携帯電話を超えているのが分かる。
↑ 携帯電話などによるインターネット利用率(過去1年間、全体比、無回答者除く、年齢階層別・主要機種別)(2023年)
今件は「保有」ではなく「インターネットの利用」であり、多分に保護者の端末を流用していると考えられるが、6-12歳の時点ですでに48.2%がスマートフォンを使ってインターネットにアクセスしている。これが13-19歳になると83.5%となる。従来型携帯電話は少数派。20代ではさらに増え、9割強。20歳を過ぎればさすがに保護者の端末を流用する事例も少ないことから、この9割強はスマートフォン利用者であると同時に保有者とも考えてよい。
一方、中年層以降になると、特に70代以降はスマートフォンの利用率は大きく減る。しかし80歳以上でもスマートフォンの利用率は従来型携帯電話より上であることから、全年齢階層がスマホ世代と考えてよさそうだ。
タブレット型端末利用率は少々興味深い動きを示している。最多利用率は6-12歳。中年層ではない。6-12歳では従来型携帯電話よりもタブレット型端末を使ったインターネットアクセスが多用されている。それどころかスマートフォン以上の値なのが実情。これは幼少時においてはスマートフォン同様にタブレット型端末が操作しやすく、また対応アプリケーションも数多く登場しているのが要因と考えられる。お絵かき帳やホワイトボード感覚で子供に使わせる事例も多々見られるようになった昨今の状況を、見事に裏付ける結果ともいえよう。
次に示すのは過去10年間、2014-2023年における、全体的なインターネット利用率。概況を示すものだが、これを見てもモバイル系インターネットの主流が、確実に従来型携帯電話からスマートフォンに移行する動きを示しているのが分かる。
↑ 携帯電話などによるインターネット利用率(過去1年間、全体比、無回答者除く、主要機種別)
従来型携帯電話の減少と、スマートフォン・タブレット型端末の増加がほぼ同じタイミングで起きており、従来型携帯電話からスマートフォンとタブレット型端末にシフトしているようすが分かる(今件は重複回答式のため、従来型携帯電話利用者がスマートフォンとタブレット型端末のいずれかのみにシフトするわけではなく、双方を利用している場合も多々ある)。
他方、ここ数年の動きの限りでは、従来型携帯電話の減少傾向が止まったような感はある。子供の連絡専用端末として、あるいは複雑な操作が苦手な高齢者などにとって、従来型携帯電話はまだそれなりに需要があるのだろう。
最後に各年齢階層別の前回年2022年から直近年の2023年における変移を算出したもの。各層のモバイル系インターネットの機種シフト具合が見えてくる。
↑ 携帯電話などよるインターネット利用率(過去1年間、全体比、前年比、無回答者除く、年齢階層別・主要機種別)(2023年)
従来型携帯電話が30代でほんのわずかに増加しているが、誤差の範囲だろう。あるいは、PHSのサービスが終了したこともあり、PHSから従来型携帯電話に乗り換えた層がいるのかもしれない。他方、明らかな動きとしては、タブレット型端末の未成年層と高齢層での増加と、スマートフォンの未成年層と、中年層から高齢層での増加。いずれも他調査などで同様の動きが確認できており、納得のいくものではある。
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