60代では総額2432万円、うち700万円・28.8%が定期…年齢階層別「お金の現状」の違い(最新)

2024/11/12 02:35

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024-1103これまで2024年5月17日付で2023年分の速報値が発表された総務省統計局の家計調査のうち「貯蓄・負債編」を基に、多方面から二人以上世帯におけるお金の流れ、現状を、貯蓄や負債の観点から確認した。今回はそのしめくくり的なものとして、貯蓄内容や額面、負債状況などに関して、年齢階層間によるお金関連の現状の違いを眺めていくことにする(【家計調査報告(貯蓄・負債編)-年平均結果速報-(二人以上の世帯)】)。

スポンサードリンク


就業状況別の構成と、年齢階層別貯蓄


今回使う各値は家計調査の「貯蓄・負債編」において詳細な値をデータベースのe-Statから直接抽出し、さらに当方で精査・再計算を実施している。直接の取得ファイルは「<貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」内の「8-5 世帯主の年齢階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯」。

この公開値から得た内容をもとに、まずは世帯主の年齢階層別、世帯構成人数を計算し、グラフに描き起こす。二人以上世帯において、世帯主の年齢階層別に、どのような年齢・就業状態の人から構成されているのかを示したもの。あくまでも平均値だが、状況を把握する参考資料としては有益に違いない。

↑ 世帯構成人数(二人以上世帯、世帯主年齢階層別・就業状況別、人)(2023年)
↑ 世帯構成人数(二人以上世帯、世帯主年齢階層別・就業状況別、人)(2023年)

若年層世帯では子供の数(18歳未満)は大体1人強で、世帯主が50代になるまでにはほぼ独り立ち・別居をし、該当世帯の人数カウントからは外れる。また、世帯主だけの専業就業(=配偶者は専業主婦・主夫、子供も無職との前提)なら「18-64歳有職」は1.0人となるはずなので、20-40代は大体5世帯につき3世帯強、50代になるとおおよそすべての世帯で共働き世帯であることが推定される。さらに、50代は「18-64歳有職」「18-64歳無職」を足すと2.46人となるため、両親に加えて18歳以上の子供が同一世帯内におり、少なからずが無職であることも想像できる。

一方、世帯主の年齢階層別貯蓄構成は次の通り。これまでの家計調査関連の記事で説明したように、今件は貯蓄のみの値であり、負債は考慮・相殺していないことに注意をする必要がある。

↑ 貯蓄構成(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2023年)
↑ 貯蓄構成(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2023年)

↑ 貯蓄構成(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、構成比)(2023年)
↑ 貯蓄構成(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、構成比)(2023年)

蓄財は言葉の通り財を積み重ねるものであり、年齢とともに貯蓄額は増加する。また、貯蓄額の増加とともに、通貨性預貯金比率が減り、定期性預貯金の比率が増加していく。収入が増えて余力が生じるため、その余力を普段出し入れしない、その分ほんのわずかだが利息が付加される定期に回す図式である。同時に有価証券の比率も上乗せされるが、定期性預貯金と比べればわずかな増加に過ぎない。

また、50代までは比率、60代までは金額面で生命保険の値が増加するが、それ以降は減っていく。新規加入にしても既存加入保険の追加にしても、保険料が高くなること、さらには受け取れる保険金とのバランスを考えて組み換え・解約していく事例が増えた結果といえる。

住宅ローンが大きな要素の「負債」


続いて世帯主の年齢階層別「負債」の構成内容。住宅ローンが中年層において大きな負担である実態がよく分かるグラフとなっている。

↑ 負債構成(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2023年)
↑ 負債構成(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2023年)

負債の多くは住宅取得のための借財、しかも30-40代にローンを組んでいる人が多数である状況が把握できる。そして60代までにはほぼ完済し、それに伴い負債そのものも大きく減っている。見方を変えればローンを完済した人、住宅購入の予定が無い人、相続などで住宅を取得済みの人は住宅ローンの負担が無いため、負債額全体も小さな額面で済んでいる。

なお年齢階層別の純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)は先行記事の【年齢階層別の収入や負債の推移】で示した通り。住宅ローンの重みがそのまま40代までの「純貯蓄額がマイナス」との状態に結びついている。

世帯主の年齢階層別・世帯数と貯蓄額比率


最後に世帯主の年齢階層別構成世帯数比と、貯蓄額の比率。こちらもまた現状認識のための概念的な結果。世帯別の貯蓄額は上にある通りで、しかも「二人以上世帯」に限定されてはいるが(単身世帯は含まれない)、貯蓄の片寄り具合が分かる図となっている。

↑ 世帯数比と貯蓄総額比(二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2023年)
↑ 世帯数比と貯蓄総額比(二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2023年)

負債が大きいと貯蓄の運用自由度は下がる。若年層は直上にある通り、住宅ローンを抱えている事例も多く、負債も大きいことから、実質的な「余力としての貯蓄」はもう少し青系統色の面積が大きなものとなる。

高齢世帯数そのものが増加している、経年による蓄財の効果が表れているのも要因の一つだが、富の「年齢階層で区分した各層間における」(個々世帯ではないことに注意)偏在があらためて分かる結果には違いない。


■関連記事:
【金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は1/4近く・単身は1/3強(最新)】
【20代でも15%は「老後の生活資金の貯蓄」を準備・計画している】
【単身世帯と二人以上世帯で大きく異なる老後の生活費の目当て(最新)】
【貯蓄率減少は本当なの? 家計の貯蓄率(最新)】

スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS